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“Design for Rethinking of Meat Consumption Vol.1″ - Overview
近年の調査により、我々の食肉文化は環境破壊や食糧問題を引き起こす要因となっていることが判明している。
このプロジェクトは、現在の食肉文化における諸問題と、それらを解決し得る”培養肉”という技術を認知し、食肉文化を再考する機会を生むことを目的としている。
・培養肉という先端技術が実現することによって我々の食肉に対する価値観や認識はどのように変化しうるだろうか。またその是非は何を持って問うのか。
・変化した価値観によって生まれる製品やサービスの是非や、技術的な実現可能性についての議論
・培養技術の是非
Information
現在の食肉文化をとりまく諸問題は自然環境のみならず、衛生面、倫理面の問題と多岐にわたるため、理解に時間がかかる。よって、インフォグラフィックを制作し、理解の促進を図った。
またそれらを知った上で、現段階での、個々人の食肉に対する立場を明確にしてもらうため、YES/NOチャートを作成した。
これらの情報を明らかにし、同時に、”起こりうる”「培養肉のある世界」を提示することで、鑑賞者はその世界観や技術の是非を、自分の意見と対比させながら考えていくことが可能となる。
そのような世界を描く上で必要となるのは、その世界の住人の生活、価値観である。現状の食肉文化をとりまく人々の価値観を分析し、浮かび上がったグループを一つの社会として描くため、以下のような手法を用いる。
① Political Compass の使用
人々の価値観を認識するためにポリティカルコンパスというツールを用いる。( 参照:https://www.politicalcompass.org/ )
縦軸を社会、横軸を経済として人々の思想を分類することによって、どのような価値観を持つ集団、社会が生まれうるかを思考するツールとして機能する。これに現状の食肉に関する価値観を踏まえた上で、それらの社会と、培養肉というコンセプトからどのような製品・サービスが生まれ得るかを構想し、提示する。
② 現状の食肉に関する議論を整理し、グループ化する
様々な思想を持つ人々が、食肉文化や肉そのものに対して異なる認識(肉は動物の一部だ・肉は健康的に生きるための食糧だetc,,,)や価値観(肉を食べることは人間にとって良い・肉を食べることは動物にとって良くないetc,,,)を持っているが、食肉をとりまく問題としては
食糧安全(量や質が確保されていること)・衛生・健康・動物愛護・環境破壊
が議論の対象となっており、
A. 食糧安全、衛生、健康 > B.動物愛護、環境破壊
という価値観のグループと、その逆との2つのグループに大きく分けることができる。
https://www.slideshare.net/YukiHanyu/shojinmeat-project-2018-87233069P66を参照
③ ポリティカルコンパスにより見えてくる社会像における人々と食肉システムの関係性を整理する。
・Passive User (PU) - 管理経済、秩序を重んじる国家により食肉システムが管理されている。市民は政府によってコントロールされた質、量の肉で食肉文化を形成する。
・Active User (AU) - 管理経済だが個人の自由は尊重される。政府が推奨するシステムを市民自らが管理することで自分たちのニーズを満たしながら食肉文化を形成する。
・Passive Consumer (PC) - 自由経済において企業が食肉システムを管理している。消費者は企業が提案する多くの選択肢の中で食肉文化を形成する。
・Active Consumer (AC) - 自由経済の中で個人の自由も尊重された実験的な社会で、消費者が自己のためにシステムを管理している。自己責任が問われるが、ここの価値観を基にした自由な食肉文化を形成する。
④ ②の2つのグループを当てはめ、2つの社会像を描く
整理した4つの価値観の中で、前述した2つのグループがどこに当てはまるかを、以下の個人的経験に基づく解釈を交えてポリティカルコンパスに組み込み、2つの社会像を構想、提示する。
・生命倫理リテラシーの有無
・食肉をとりまくシステムに対するリテラシーと管理者意識の有無