川瀬巴水『旅と郷愁の風景』展が最高だった
2月中旬頃に崖から転げ落ちる勢いでハマってしまった新版画の川瀬巴水。
「いま展示やってるのかーでも香川は流石に無理や…」とその時は断念。
太田記念美術館とかにも版画あるそうだから行きたいなと思っていたら、
なんと近く(車人間の「近く」は信用してはいけない)の
八王子市夢美術館で4/5〜6/2まで開催すると教えて頂いて!
2024年4月6日(土)に行ってきました!!!
巡回展示だったーーやったーー!!
図録も分厚い。これで2530円???
後述の展示感想で付記してある図録番号はこれ↓が参照元です。
ちなみに巴水が暮らしていた大田区、ホームページ内に
『川瀬巴水 学芸員コラム』ってのがあって異常に詳しいので知りたい方はどうぞ。いや何この熱量?
あとどうでもいいけど「"大"田区」なのに「"太"田記念美術館」ややこし。
★川瀬巴水(かわせ・はすい)って誰?
いや待って図録の説明読んでて初めて気付いたけど、
当初は「板」にこそ創意工夫の原点があるってこだわりを持って
「新"板"画」って呼んでたのか、渡邊庄三郎氏。
知らなかったそんなの・・・ごめん普通に新版画って言ってた。
まあ今は版画の方で通ってるので「新版画」って呼ぶね。
その新版画で風景画をおもに描いてたのが川瀬巴水。
旅好きを公言するだけあって色んな場所へ行って写生したものを版画にして・・・って事で趣味と実益を兼ねてるな。
実際、風景の捉え方がすごい上手くて、でも浮世絵っぽい大胆な構図も持ち合わせていてめちゃくちゃ好き。
色使いもめちゃくちゃ好き。
特に青系の色の使い方が好みすぎる・・・巴水ブルー、超好き。
個人的に、推しの絵は悩みつつも「牛堀」を挙げるくらい美しい。
浮世絵時代だと巴水くらい後半でも著作権が切れてるから絵を使っても合法なの有難い。
上画像は国立国会図書館のNDLイメージバンクからDLさせてもらいました。
浮世絵検索にもたくさん載ってるのでそちらも活用させてもらいます。
ちなみにこの本↓でも表紙に使われてる(図書館で借りた)
いやちゃうねん展示の話をしようとしたのに巴水の説明でこんな長くなるとは思わなかってん
とにかく!なんだかめちゃくちゃ好みに合う絵を量産されてるので是非現物を見たくて行ってきたんだけども、想像以上に良かった。最高だった。
★川瀬巴水『旅と郷愁の風景』展
どうやら数年前からこの企画の展示を巡回でやっていた模様。
ハマった時期にあわせて近くに来てくれた感がある。なんという。
しかも八王子市夢美術館、展示が900円なのに年パスが1400円っていうどう見てもバグってる金額である。
2回行けば元取れてしまうの意味分からんな。逆に心配になる。
車だと大通りから裏手に回って地下駐車場へ。
機械収納式なので誘導してもらって降りて受付してもらう。
受付のおじいさん?めちゃくちゃ親切だった。
どこ行くのか聞かれて道案内と、割引あるよって言ってくれた。やさしい。
上限600円で、夢美受付で100円割引してもらえるので500円。
ほぼ10時についたので開館と同時くらいに入れた。
年パス申し込んで名前と日付を記入してカードをもらう。
戻ってくる100円ロッカーが入り口左側にあるので手ぶらで見られる。
順路は右の壁づたいに奥まで行って戻ってくる感じ。大体年代順。
★展示感想(絵もあるよ)
言うまでもなく、なにが展示されてるかのネタバレ?にはなるので現地で新鮮な気持ちで味わいたい、という人は回れ右でお願いします。
さて、展示は最初に作成された塩原三部作から始まる・・・んだけど、
1枚目でその立体感にビビった。
画集でもだいたい収録されてるし、何度も見てはいたんだけど
実物見ると存在感が違った。
事前に浮世絵の立体感について動画↓を見ていたけど・・・
実際見てみると思った以上に浮き出てくる感覚なのが衝撃だった。
・・・という風に初っ端から度肝を抜かれた訳なんだけども。
そんな衝撃がひっきりなしに来まして。
全部まとめるとえらい事になるんで絞って・・・絞れる・・・?
と疑問を抱きつつ、さくさく行きましょう。
ひたすら画像と感想を羅列。
ちなみに空摺りで検索したら分かりやすい記事が!↓
と思ったら太田記念美術館さんで笑ってしまった流石である。
↑は塗り絵もあったのでやってみたけど、うん、無理!!!
★感想の感想
・・・終わったーーーーーーーーーー!!!!!!
っていうより終えたって感じ。
好きなのとかはまだまだたくさんあるけど、
あくまで「衝撃を受けた」「発見があった」のに絞ってみた。
それでも多いけど・・・いやしかし眼福でした。
個人の感想すぎるから間違ってる所もあるだろうけど現時点での知識と感性ということで。
あと版画の特性上、版によって色合いとか雰囲気が違うから
同じ絵でも実物と図録で違ったりするので、
ここが良いんだよ!って言っても全く同じものを見た人同士でないと共有できないのがなかなか難しい。
まあその分、同じ絵柄でも新鮮に楽しめるところもあるだろうけど。
そしてどの年代も良いんだけど、晩年の円熟期の辺りがまーーじで眼福でした。
遠目でぐるりと見渡した時のあの臨場感というか空気感というかリアル感。
なんと表現していいか分からないけどめっちゃくちゃ感激した。
あれは画像だけでは味わえない感覚だったので行ける人は是非とも経験してほしい。
もちろん人によるとは思うけど自分はすんごく心にきた。
あと最後にスティーブ・ジョブズのミニコーナーが。
ジョブズも巴水を好んでコレクションしてたんだよっていう説明とか。
巴水ではないけど、橋口五葉の「髪梳ける女」もあって、髪の1本1本の細かさがエグかった。彫師の技術どうなってんだ。
★その他気付いた事とか
・影の付け方が凄い乗算レイヤーで入れたみたいに見える
(版画の仕組みからして実際そんな感じなんだろうけど)
そのおかげで色の統一感と深みと立体感が出てる気がする
・遠くの風景は逆に凄く平面的にしてて、グラデーション1色だけだったりで質感をなくしてる
・明暗に凄い差をつけてるのが多い
暗闇の中の光とか、眩しいと錯覚させられる
明るい所にスポットライトが当たってるみたいに注目させられる。↓とか
・水辺を描いてる作品が多く、水面に映ってる描写が凄い上手い
・大胆な所は潔く、細かい所はめちゃくちゃ細かい。よくこんな線描けたなそして彫れたなって思う
・星が★の形になってるのがあってなんか可愛かった
・美術館入り口付近で流してる14分くらいの動画、これ↓の一部だな
(ナレーションは入っていなくて字幕だけ)(当然英語ではないが)
写生の模様辺りから刷りまでをコンパクトにまとめてる感じ
★落款のデザイン
あとサイン下の落款的なのがちょいちょい変異してて面白い。
画集見てた時は全然気に留めてなかったけど、実物見て、へえーって気付いて注目してみると面白かった。デザインセンスー!!
雑で申し訳ないけど大体こんな感じの形。
年代含めてざっくりの確認と推測なんで、なんとなく程度で。
同じ形でも手描きだったりリニューアル?でちょこちょこ違ってる。
とまあ、本当に情報量が多すぎてめちゃくちゃ長くなりました。
いやでも健忘録として記録しておきたかった・・・頑張った。
自分は一応絵を描いてる事もあってそういう目線でも見るけど、
純粋に絵の鑑賞対象として凄く良いので、ちょっとでも見てみたいかもと思ったら是非!GO!!
画集とかではあんまり気にならなくても実物を見ると「えっ!」と思うのも多かったので、本当見てみないと分からないもんだ。
こういう経験をするとやっぱ実物って・・・強いな・・・と思う。
本当に、行って良かった!!!!!!
と心から思える企画展だったのでとても充実した1日を過ごせました。
巡回有難うございます!!!あと数回は行く!!
川瀬巴水、今までの人生で1番好みなアート作品を生み出してくれてる画家さんなので感謝しかない。
生まれて初めて絵を飾りたいと思った。QOL爆上がりしそう。
美術館で売ってる複製版画とか、手が届かない値段だけども眼福だった。
「河口湖」とかめちゃくちゃ美しい。(↓2枚目にチラッと写ってる)
さて、記事長くなっちゃったので改めて、
川瀬巴水 旅と郷愁の風景
八王子市夢美術館で2024/4/5(金)〜6/2(日)の期間で開催してます。
行って損はない!パワーを感じてくれ!
ちなみに当日に音声でも感想を話してたりします。
テンションを感じたい人はどうぞ。
長々と語りにお付き合い頂き(頂いてるのかこれ・・・?)有難うございました!お疲れ様でした!!