大阪〜博多600km徒歩の旅(23)山口県宇部市〜山陽小野田市
大阪から博多へ 山陽道600km徒歩の旅
第23ステージ
山口県山口市〜山口県山陽小野田市(11km)
21時過ぎに就寝したため、この旅ではじめて9時間以上寝ることができた。しかし、深夜に襲われたのは最悪とも言える喉の痛みだった。
「これは、数日寝込むことになるのではないか」
という恐怖がよぎった。
朝7時半に起きたときも、まだ歩けるのかわからない状況だった。熱はなさそうだったが、少なくとも、当初の予定通り20km以上を歩くことはできないだろう。プランの修正が必要だ。
とりあえず、Bさんからいただいたカロリーメイトを食べ、市販薬を飲む。そして昨日の原稿を書きながら身体の様子を見た。
薬が効いて、少しは楽になってきた。今夜は厚狭(あさ)駅のホテルを予約している。今キャンセルしても100%料金を取られるから、そこまでは行くつもりでいた。たとえ歩けなくても電車で行けるから、移動面は心配ない。
一応病院には行っておこうと思い、10時にホテルをチェックアウトしてから、宇部新川駅を越えて、2km歩いて内科クリニックを訪れた。
「今日はどうされました?」
「昨日から喉が痛いんです。今、大阪から博多に向かって歩いている途中なんですけど、連日の疲労と睡眠不足でついに身体にガタがきたようで」
呆然とした様子で聴く先生からは、喉よりも頭を心配されているのではないかという気がした。
「ここまで何日かかったんですか?」
「どうして大阪から歩こうと思ったんですか?」
「毎日何キロ歩いているんですか?」
それはまるで、新種の病原体を見つけたかのような好奇の目だった。なんだかおかしくて、ぼくは少し元気が出た。
喉の様子を診て、「まあそんなに心配はないでしょう」という感じだった。
「医師としては、休養してくださいとしか言えないですが(笑)」
「そうですよね(笑)」
抗生物質と解熱鎮痛剤、トローチを処方してもらった。
雨が降っていたので、クリニックのすぐ向かいにあるコメダに入り、ランチをして、しばらく原稿を書いた。
いちばんの安全策は、最寄りの居能駅から電車で厚狭駅まで行ってしまうことだった。しかし路線の乗り換えが必要で、かつ本数が少ないため、かなり行きづらい。明日電車でまた戻ってくることも考えると、多少無理をしてでも9km離れた小野田駅まで歩いてしまう方が、総合的に見て最善の策と思えた。
今の身体の様子ならギリギリ行けるだろう、という感触があった。そして小野田駅であれば山陽本線で厚狭駅までわずか6分で着くので、明日の朝も戻ってきやすい。
そういうわけで、ぼくは14時40分にコメダを出て、2時間後の小野田駅16時39分発の電車を目指して歩き始めた。
誤算だったのは、思ったよりも雨が強かったことだ。レインウェアを着ていたから身体はほぼ無事だったが、手提げのエコバッグはグショグショになった。
屋根のあるところで水分補給しながら歩き、16時30分に小野田駅に到着した。この旅全体から考えれば「わずか9km」だが、明日の自分を楽にする大きな9kmだった。
地元の高校生たちに混じって電車に乗り、厚狭駅に着いた。そして駅前の「厚狭ステーションホテル」にチェックイン。身体が冷えていたから、すぐにお湯を溜めて、湯船に浸かった。今日もなんとか、試練を乗り越えた。無事で良かった。
このホテル周辺には飲食店がほとんどなく、あるのはローソンだけ。だから今夜はコンビニ飯だなと思っていた。
すると、そんな事情を知って、昨日一緒に5kmを歩いたBさんから連絡があった。
「何か食べるものを買っていくので、中村さんは部屋で早く寝るための準備をしていてください」
そして19時頃、仕事終わりにぼくのホテルに来てくれて、お弁当やスープはるさめ、ゼリー、ポカリ、のど飴などを買ってきてくださった。それまでの間、ぼくは原稿作業に集中できたので、本当にありがたかった。山口県に入ってから、たくさんの親切を受けている。
いただいたごはんをしっかり食べ、薬を飲んで、今夜も21時過ぎに寝た。そして9時間以上、寝ることができた。
Bさんからは、「楽しい二日間でした。無理せずお気をつけて😊」とメッセージが届いていた。本当にありがとうございました!
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