シドニー&メルボルンの旅(3)
昨夜も結局、深夜0時過ぎに作業を終え、就寝。おそらく毎晩こうなるのだろう。その日のうちに日記を書くのは大変な作業だが、後回しにすると記憶が薄れるし、書くモチベーションも下がってきてさらに重荷感が増すので、キツくてもやり切るのが大事。
朝8時半に起きて、荷造りを始めた。他の人たちもやがて起きてきて、それぞれに支度を始めた。部屋にはもうひとり日本人がいるようだったけど、今話しかけて雑談が始まっても困るので、日本語で書かれた物品をそれとなく隠しながら、無言で荷造りを続ける。
この宿には、日中韓でいえば中国人や韓国人の方が圧倒的に多いので、多分ぼくも彼からは韓国人とかだと思われていたのではないだろうか。正直、見た目だけでは意外とわからないことも多い。「あの人たち、日本人かな」と思ったら、韓国語を話したりする。
昨夜、日記を書き終えて部屋に戻ると彼が寝る支度をしていた。最初は韓国人かなと思ったけど、荷物を持ったときに小声で「よいしょ」と言うのが聞こえて、「あ、日本人だ」とわかった。無意識のちょっとした仕草に出てしまうものだ。もしかしたらぼくもバレてるかもしれないなと思い直した。
今日は移動日なので、観光の予定はない。そういえばポストカードを買いたかったんだと思い出し、チェックアウトをして、宿から5分のところにあるシドニー現代美術館(通称:MCA)に10時のオープンと同時に入った。きっとここのミュージアムショップになら、シャレたポストカードがあるんじゃないかと思って。
受付でスタッフから「スーツケースは預けてください」と言われた。そうか、展示を見に来たと思われているんだな。でも、待てよ? そういえばオーストラリアの美術館は無料だと聞いたばかりだった。
「この美術館は無料ですか?」
「特別展は有料だけど、常設展は無料よ」
やはり。せっかくなので、スーツケースを預けて常設展だけ足早に見学することにした。さほど展示は多くなく、アートだけなら10分くらいでひと通り見ることができた。民族性を感じる現代アートだった。ちょっと怖い絵もあったな。
結局、ショップに売っていたポストカードはその民族的なアートが描かれたポストカードが多く、あまり気に入らなかったため、サーキュラーキー駅前のお土産屋さんで買った。1枚0.8ドル。4ドルで5枚購入。
そこから電車に乗って約20分。シドニー空港の国内線エアポート駅で降りる。14時半の飛行機だけど、空港のレストランやラウンジでゆっくり過ごそうと思い、11時に空港に着いた。しかし、ジェットスターのチェックインカウンターに並び、ようやく自分の番が来ると、「出発の2時間前にならないと荷物は預けられないの。12時半にまた来てね」と言われてしまった。
なんてこった。まだ1時間半近くもある。時間を潰すような場所もない。こんなことなら、少しどこか観光してくるんだったなと後悔するが、気持ちを切り替えねば仕方ない。近くのテーブルが空いていたので、そこでさっき買ってきたポストカードに、日本への手紙を書くことにした。日本の住所を英語で書くのは苦手だが、考えてみれば日本で配達するのは日本人なのだから、住所は漢字で書いてOKなのだ。ただし、「AIR MAIL」と「To JAPAN」という文字だけ、赤字で目立つように書く。5枚書き終え、Twitterもゆっくりチェックできたし、ちょうど良い時間になった。メルボルンかシドニーの郵便局からハガキを出してみよう。
12時半に荷物を預け、保安検査を終えて、搭乗ゲートの方へやってきた。ここで待ちに待った「プライオリティ・パス」の出番がやってきた!
これは世界中の空港ラウンジやレストランで使えるパスで、ぼくはこれが使ってみたくて、2年ほど前にエポスカードをプラチナ会員に切り替えた。そうすると、プライオリティ・パスが無料で手に入るためだ。確か楽天プレミアムカードの会員も無料で手に入れられるはず。
しかし、これまで全然海外に出られなかったため、このカードを使うのは今回が初めて。出発時には羽田空港のTIATラウンジで利用することができた。そこには焼きそばやおにぎり、カップ麺などの軽食も置いてあり、これまで利用していたカードラウンジよりも内容は良かった。
そして、いよいよ海外で使う機会がやってきた。シドニー空港の第2ターミナルでは、「REXラウンジ」のほか、二ヶ所のレストランでプライオリティ・パスが利用できる。
まずは、1つ目のレストランである「Bistro 2020」へ行った。なんとプライオリティ・パスを持っていると、料理が36ドル(約3384円)分まで無料になるというのだ。物価の高いオーストラリアで、これは非常に大きい。
単品で36ドルするメニューは流石にないため、「どの組み合わせなら36ドルぴったりになるか」というドケチ根性と頭脳がここぞとばかりにフル回転する。
「KING PRAWNSのパスタ(29ドル)と、ジンジャーエール(7ドル)をください」
「ちょうど36ドルだね! 席で待ってて」
店員さんも気持ち良さそうな笑顔を見せてくれ、ますます嬉しくなる。出てきたパスタはチリトマトソースで結構辛かったけど、海老も大きく、とてもおいしかった。オーストラリアの良いところは、高いけどほぼ確実においしいものが食べられることかもしれない。ヨーロッパでは高くても微妙な味のときがあったから。。。
さらにハシゴして、2つ目のレストランは「The Fat Yak」。ここは、シドニーにある「Fat Yak」というクラフトビール会社が運営するレストランのようだ。ならばクラフトビールは絶対に飲まねばなるまい。
「ミニハンバーガー2個セット(16.5ドル)と4 Pines Pacific Aleのスモールサイズ(13.5ドル)と・・・」
これだとまだ足して30ドル。しかし6ドル以下の商品がメニューにはない。他に何か頼めばオーバーしてしまう。そんな悩んだ様子を察した店員さんが、「そこにあるポテトチップスが5.6ドルだよ」と教えてくれた。スナック類の値段は当然メニューには書かれていない。
「おお! じゃあそれください」
「OK! このベルが鳴ったら取りにきてね」
そういうわけで、計35.6ドル分の食事をゲットした。ハンバーガーもクラフトビールもおいしかった。
2つのレストランで合わせて72ドル分、食費が浮いた。パスタとミニハンバーガーとジンジャーエールとクラフトビールで約6800円と考えるとちょっと恐ろしいが、何にせよプライオリティ・パスを活かせて大満足である。いったいオーストラリア人はどれだけ稼いでいるんだ。。
最後に、搭乗時間まで残り15分くらいしかなかったけど、REXラウンジにも入ってみた。スナック類が充実していて、なかでもバナナケーキがあまりにおいしくてビックリした。お菓子とコーヒーをいただいて、無事メルボルン(アバロン)行きの飛行機に搭乗した。
シドニーからメルボルンまでは、飛行機でわずか1時間半ほど。前職の同期からは、「せっかくだから片道は鉄道で行って、帰りを飛行機で帰ってきたら? 途中で首都のキャンベラに寄れるし、オーストラリアの大きさを体感できる」と提案された。一度はそれも考えたが、距離が800kmあるため鉄道では11時間もかかってしまう。さすがに疲れてしまうので、往復飛行機にした。
そもそも、帰国便をメルボルン→羽田にすればよかったのだが、チケットを取ったときはそこまで頭が回らなかった。ぼくの落ち度である。
16時過ぎ、メルボルンのアバロン空港に到着。メルボルンには、メルボルン空港とアバロン空港、2つの空港がある。メルボルン空港の方が街に近くて便利だが、ジェットスターはアバロン空港がメインらしい。安いから文句は言えない。
アバロン空港からメルボルンのシティ(市街中心部)まではバスで約1時間。事前に予約していたSky Busでシティへ向かう。2階建てバスだった。往復47ドル。
街が近づいてくると、高層ビル群に圧倒された。メルボルンも思っていた以上に都会である。オーストラリア第二の都市だから、それもそうか。
バスはSouthern Cross駅に到着した。メルボルンの夜はシドニーよりも冷える。上着が必要だ。
中心部は京都のように碁盤目状になっているため、道がわかりやすい。駅から歩いて15分ほどで「Europa Melbourne」というゲストハウスに到着。今日からここに4泊する。今度は12人部屋だった。
通常のホテルのシングルルームに泊まると、最低でも1泊1万円はする。そんななかこのゲストハウスは、4泊で1万5000円だった。この国では破格である。これからいろんな場所を訪れたいので、そのためならできる限り宿泊費を削りたい。一方で、この旅2日目にして、「たまには一人部屋に泊まってゆっくり風呂に浸かりたい」と思ったのも事実である。
もう18時過ぎているから、「Melbourne Central」という商業施設まで散歩し、Colesというスーパーへ行った。
シドニーでも訪ねた「Woolworths」とこの「Coles」が、オーストラリアの2大スーパー。Colesは初めて来たが、クッキーコーナーは微妙に品揃えが異なる。今日は数名に勧められたAnzacビスケットを購入。水は1.5リットルを0.8ドルで買えた。
そのColesの向かいに、「SHSHI HUB」というユニークな寿司屋を発見した。おもしろいのでカリフォルニアロールの太巻き(4ドル)とスパイシーサーモン握り(2.3ドル)を購入。2つで約600円だけど、ちゃんとおいしかった。
最後にその上の階のスタバで原稿作業。オーストラリアではカフェが閉まるのが早く、21時までやっているカフェはスタバ以外にほとんどない。その代わり多くのカフェは朝6時半くらいから開いてたりする。シドニーでも、コーヒーを片手に出勤する人たちをたくさん見かけた。みんなお気に入りの店で朝の一杯を楽しむのだろう。そういう文化がカフェの営業時間に表れている。
スタバには日本のようなドリップコーヒーは存在せず、ブラックだとこちらではロングブラック(エスプレッソをお湯で割ったもの)が主流。スモールサイズで4.8ドル(約450円)だった。
まだ数時間しか過ごしていないが、この街は若者で溢れかえり、実に活気を感じる。アジア人も非常に多い。留学かワーホリかわからないが、街を歩いていると20代の日本人グループとも頻繁にすれ違う。
明日は早朝から終日、現地ツアーに参加する。寝坊しないよう気をつけたい。