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大阪〜博多600km徒歩の旅(5)兵庫県赤穂市〜岡山県備前市

大阪から博多へ 山陽道600km徒歩の旅
第5ステージ
兵庫県赤穂市〜岡山県備前市(30km)

昨夜体調が悪かったのは、どうやら脱水症状が起きていたみたいだ。というのは、夜部屋で原稿を書いているとき、異常なほどに喉の渇きが止まらなかったから。飲んでも飲んでも、喉が渇く。夜だけで2リットルくらい水を飲んだのではないかというほど。

また、疲労が蓄積し、夕方くらいから眠かった。体調を崩したら元も子もないから、原稿だけ頑張って書き切って、XとInstagramに載せて、すぐに寝た。

幸い、今朝起きたときにはダルさもなく、喉の渇きも治っていた。noteの更新を済ませ、宿で朝食を取り(東横インは朝食無料なのが嬉しい)、9時3分の電車で昨日のゴール地点である有年駅へ向かった。

9時15分に有年駅をスタート。今日は峠を越えて、岡山県に入る日。

有年も西国街道の宿場のひとつで、本陣跡の場所には標識が建っていた。また、同じ場所に明治天皇が訪れた記念碑もあった。明治天皇は山陽道の様々な場所に立ち寄り、結果的にたくさんの記念碑が建つことになった。

しばらく歩いていくと、有年峠への登山道の入り口があった。ここから先の約3km区間は、人がほとんど通らない山道である。

しかしここは、西国街道において珍しく、現在も古くからの姿を残している道。戦国時代や江戸時代に、馬に乗った武士や、商人たちが、この山道を行き交ったと想像しながら歩く。車の音もほとんど聞こえず、とても貴重で良い時間だった。

やがて有年峠を越えて、再び一般道に戻ってきた。

※追記:有年峠を歩こうと思われている方に向けて
ぼくが訪れた際、厳密には登山道の入り口のところにゲートがありました。この道を整備したという昨年の記事や、一般の方が歩いて越えている投稿を多数目にしていたため、気軽に通過してしまいましたが、本来はあまり良くなかったのかもしれません。道自体は危険な箇所もなく良い体験になったのですが、あたかもゲートなどなかったかのような、誤解を与えてしまう書き方になっていたため、ここに訂正させていただきます。申し訳ございません。今後、さらなる道の整備が進み、多くの方が通行を楽しめるようになるよう願っております。

梨ケ原という有年の次の宿場を通り、坂道を登っていくと、そこに船坂峠があった。先日読んでいた司馬遼太郎の『新史 太閤記』に、織田信長配下の豊臣秀吉が中国地方の備中高松城を攻める際にこの船坂峠を越えていく描写があった。

東海道の箱根に比べたら大した山ではないけど、西国街道では船坂峠がいちばんの難所と言われた場所だそう。そしてここが県境になっているため、長かった兵庫県も終わり、ついに岡山県は備前市に突入した。

峠を下った先に、三石駅があり、そこに三石という町があるんだけども、駅前の通りがなんとも寂れていて、ほとんどが閉まっている。もう13時だし、ぼくはここでお昼を食べようと思っていた。しかし、町に一軒しかない飲食店は閉まっていて、どうしようもない。かろうじて自販機でポカリスウェットだけ買えた。

仕方ないので、昨日買っておいた相生名物の「うまいか」というするめフライをかじりながら先に進んだ。ここからまたしばらく町はなく、9km先にコンビニがあるみたいなので、そこで何か食べよう。うまいかは独特の食感で、なかなかおいしかった。

大型トラックが行き交う2号線の退屈な道を歩き続け、15時頃、ようやくローソンに到着。考えてみたら、今日18kmぶりに現れたコンビニである。おにぎりと水分を買えて、ローソンに命を救われた。

そこからラスト7kmくらいを歩き、目的の伊部駅に無事ゴールした。このあたりは備前焼の里である。

駅前には金色のポストがあった。これは、備前市出身の山本由伸選手(ドジャース)が、東京オリンピックの野球で金メダルを獲った功績を讃えた記念ポストだそう。ということは、きっと金メダリストたちそれぞれの地元に、この金色のポストがあるのだろう。

伊部駅の売店で「どらせん」という、どら焼きとせんべいを足したものを買った。備前焼の模様がかわいい。そして向かいの「UDO」というオシャレなカフェで、コスタリカのホットコーヒーをテイクアウトした。

伊部には宿がないので、JR赤穂線で伊部から4駅手前の日生(ひなせ)駅へ向かった。電車は1時間に1〜2本しかないから、この16時34分発の電車に乗るために頑張って歩いてきた。

瀬戸内海に面した日生は、駅を降りるとすぐ海が広がった。「旅館 たまや」という民宿に泊まった。おばちゃんがすぐにお風呂を沸かしてくれて、冷え切っていた身体を温められた。なんだか今日はいつもより風が冷たく、やけに寒いなと思っていたら、東京でも初雪があったらしい。全国的に寒いみたいだ。

夜は、「きたろう」というお店へ行き、日生で楽しみにしていた名物の「かきおこ」を食べた。

「かきおこ」とは、牡蠣のお好み焼きである。日生の漁港で採れた新鮮で大ぶりの牡蠣を、お好み焼きの上にたっぷり16個も載せて焼いてくれた。

メチャクチャおいしかった。ごはんと味噌汁もつけた。

「えー!? 大阪から歩いてー!?」

と店のおばちゃんが大声で言ったので、地元の常連さんたちも一斉にぼくの方を見て、一様に驚いてくれた。

「前に自転車の人はいたけど、歩いて旅する人は初めてだね」

皆さんから「博多まで頑張ってね〜」と送り出された。

<今日の費用>
電車賃 440円
ポカリスウェット 140円
おにぎり、水分 499円
どらせん 170円
コーヒー 324円
民宿 5000円
夕食 1750円

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中村洋太
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