大阪〜博多600km徒歩の旅(1)大阪府大阪市〜兵庫県神戸市
大阪から博多へ 山陽道600km徒歩の旅
第1ステージ
大阪府大阪市〜兵庫県神戸市(36km)
朝7時に起床。晴れているけど、気温は-1℃。朝風呂で身体を温め、部屋でおにぎりを食べた。
予定よりも遅れてしまい、8時20分に宿を出た。そして少し歩いて、「大阪市道路元標」にやってきた。
ここが、東京・日本橋から続く国道1号線の「終点」であり、同時に、北九州市まで続く国道2号線の「始点」である。だから今回の旅のスタート地点としてふさわしい。この場所を8時半に出発し、いよいよ徒歩の旅が始まった。
今日は神戸を目指す。国道2号線に沿って進むだけなので、道に迷う心配はなかった。淀川を渡り、北へまっすぐ進む。さらに神崎川と左門殿川を渡ったところで、兵庫県の尼崎市に突入した。スタートから1時間半で、意外とあっけなく大阪府は終わった。
ただ、わずか5kmばかり歩いただけで、もう身体はひしひしとキツくなってきていた。まず、リュックの負荷がしんどい。バランスが悪いのか、なぜか左肩だけ痛む。おそらくそのせいだと思うが、今朝起きたとき、左の後頭部に頭痛があった。肩や首にストレスがかかって、頭痛を引き起こしている気がする。バファリンで少し良くなったけど、毎日頭が痛くならないことを願う。
歩いているとどんどんカロリーを消費するようで、9kmくらい歩いたところでお腹が空いて、スーパーでヨモギ大福を買って食べた。
中間地点の西宮まではまだしばらくあるので、先日無料体験を開始したAudibleで本を聴くことにした。村上春樹の『猫を棄てる 父親について語るとき』という、短めのエッセイ本を選択した。ナレーターは中井貴一さんで、長さは1時間40分くらい。聴き終えた結論としては、とても良かった。
ときどきボーッとしていて内容が頭に入ってこないことが何度かあり、聴き直すのも面倒だからそのまますっ飛ばしていたけど、「こういう本なんだな」という全体像は掴めたし、心地良い文体のシャワーを浴びられた感じ。その後は同じく村上春樹の『職業としての小説家』を聴いた。これは一度本で読んでいるんだけど、内容を忘れているから、再び楽しめた。
やがて、16kmほど歩いて西宮に着いた。ちょうど12時。3時間半ぶっ通しで歩いたので、良いペースで来られた。
西宮駅で記念写真を撮っていると、やけに賑わっている。今日は三連休明けの平日のはずなのに、どうしてこんなに人が多いんだろう? それに、たくさんの屋台まで出ていた。よくわからないけど、ひとまずお昼を食べるため目当てのたこ焼き屋「マン福」に入った。昨日たこ焼きを食べられなかったから、今日こそ食べなくてはという気持ちだった。この際大阪じゃなくてもいい。兵庫県も大阪の隣なんだから、きっとおいしいたこ焼き屋さんは多いだろう。
店に入るとカウンターに座っていた全員がネギのたっぷり載ったたこ焼きを食べていた。メニューの写真を見るに、どうやら「ネギマヨ」のようだったので、それを頼んだ。これが大正解だった。たこ焼きが見えないほどの大量のネギ。おいしかった。
食べ終わり、店主に「この賑わいは何ですか?」と尋ねると、「今日から3日間、西宮神社の『十日えびす』です。一年でいちばん賑わう時期ですよ」と言われた。
すぐ裏に、商売繁盛の神様「えべっさん」で知られる西宮神社がある。そして「十日えびす」は、毎年1月9日から3日間続く行事で、とくに西宮神社が全国的に有名な理由は、1月10日の早朝に行われる、参拝一番乗りを目指して境内の230メートルを駆ける「福男選び」があるからだろう。
といっても、ぼくは今日ここに来るまで、あの福男選びがこの西宮神社で行われているのだと知らなかった。だからものすごい幸運だった。偶然にも1年でいちばん賑わう日に来られて、しかも明日福男選びが行われるというのだから。明日はたくさんのニュース番組でこの神社が映るだろう。
行列のできていた「御菓子司 君栄堂本舗」の酒まんじゅうを2つ買って食べてから、西宮神社に入った。するとものすごい人で、多くの人が「福笹」と呼ばれる笹を買い求めていた。福を引き寄せる縁起物なのだとか。
ぼくはこの旅のために、交通安全の御守りを買った。
売り子の女性たちは「福娘」と呼ばれ、ものすごい倍率の中で選ばれた方々だそう。昔は福娘に選ばれると就活や縁談でも有利だったのだとか。
大まぐろにお金を貼り付けて拝む場所もあった。外国人からしたらクレイジーな光景だろう。
満足して、再び歩き出した。後半戦もさらに15km以上歩く。
しばらくして芦屋市に入った。村上春樹が中1から高3まで暮らした街だという。こういう土地だったんだなあと思いながら歩いた。
西へ向かって歩いていると、右手側、つまり北側に六甲山系があり、緩やかな坂になっている。遠くの丘の斜面に家々が建っていて、その光景は南仏コートダジュールの景色を思い起こさせた。ネットで検索すると、どうやら同じことを感じた人は結構いるようだった。
神戸市に入り、灘高校の前を通った。15時半頃、またどうにも空腹に耐え切れなくなり、絶妙のタイミングで見つけたのが神戸のソウルフードと言われる「もっこす」のラーメン。通常の「中華そば」で、チャーシュー麺並のチャーシューの量。そしてどハマりするおいしさだった。もっこす最高だ。
午後は右膝の痛みが増した。やはり想像以上にキツい旅になりそうだ。明日以降の状況がかなり心配になる。
それでも、美しい夕日を眺めながら三ノ宮に到着。駅の周辺は洗練された雰囲気があり、しばらく滞在したら楽しそうな街だ。
そして17時10分、今日のゴールである元町に到着。何とか歩き切ることができた。よく頑張った。
「神戸プラザホテルウエスト」にチェックインし、ベッドに倒れ込む。10分ほど、気絶したように眠った。足がもう限界だった。ここまで歩けたのは良かったけど、果たしてこのペースの旅を1ヶ月弱も続けられるのか、正直わからない。明日の朝に「お疲れさまでした!」と荷物をまとめて東京へ帰ってもいいくらい疲れている。
まあ、博多まで行くと言ってしまったのだから楽しんで頑張ろう。
夜は、元町に職場があるナオさんと食事。2017年夏、アメリカ西海岸2500kmを自転車で縦断したぼくは、東京・京都・大阪で「旅の報告会」(講演会のようなもの)を開いた。ナオさんは大阪での報告会に参加してくれて、そのとき知り合った。
元町は中華街のある土地だから、おいしい中華が多い。今夜は「満園」という人気店で餃子やチャーハン、エビチリ、青椒肉絲などを味わった。どれもおいしかった。ナオさんがご馳走してくださった。ありがとうございました!
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