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初めてつくった紙の本、3時間で完売&制作秘話

先日、自分の本をつくりました。文字数は1万1000字程度。文庫サイズで48ページの小さなエッセイだけど、初めてつくった紙の本です。

今年12月1日に東京ビッグサイトで開催される文学フリマで、ぼくは紙の本を販売しようと思っています。そこでは、また別のエッセイ集をつくろうとしているのですが、いかんせんその分量が大きく、またInDesignの操作にもまだ慣れていないため、「一旦、目に見える形にしてみないと本づくりのモチベーションが下がってしまいそう」と懸念していました。

そういえば、と思い出したのが、「BCCKS」というサービスでした。

「InDesignで紙の本をつくります」と宣言した1ヶ月ほど前、博多でお世話になったライターのキノシタアヤさんが、「もしInDesignにつまずいたり、ちょっと時間がない……となったら、BCCKSというサービスもあります。印刷に時間がかかるのと、ページ数きっちり入れないとカッコ悪いのとか、いろいろありますがお安いし、装丁も素敵にできます」とDMをくれたのです。

BCCKSは手軽に紙の本をつくれてしまうサービスで、1部から刷ることも可能です(ただし割高になるので、最低でも5部は刷ることをお勧めします)。

手元には、ちょうどnote創作大賞に応募した1万字のエッセイがありました。

推敲に推敲を重ねた完成原稿だから、もう何も手を加える必要がありません。あとは縦組みで入稿するだけでした。そこでBCCKSを利用して、紙の本にしてみることにしました。

BCCKSには簡易版InDesignみたいなのがあって、テキストデータをインポートすれば一瞬で原稿が入ります。あとは、数字を縦に変えたり、改行を整えたりして、すぐに本のためのデータができました。

しかし、問題は最低ページ数が48ページであること。このエッセイの文章量では、35ページほどにしかなりませんでした。このまま印刷すると、13ページ分の空白ができてしまい、カッコ悪いです。

そこで、エッセイに関連する写真を入れ込むことにしました。本文の印刷はモノクロですが、雰囲気は十分に伝わります。それで44ページほどまで埋まったので、残りの4ページ分は、note版では文字数の関係で泣く泣く削ることになった1000字程度のエピソードを加えることにしました。これで完成。

表紙のデザインは、昔和歌山を旅したときに撮った夕日の写真が綺麗にハマったので、「海外添乗員の話なのに和歌山の写真なのかよ」と一応自分にはツッコミを入れましたが、まあいいやと思い、他の候補を試すこともせず、一発で決めました。このエッセイを書いていたときの感覚や感情と、(読者として)読み終えたときの余韻が、この写真のイメージに近かったので、気に入っているのです。これは感覚的な問題です。題字のデザインはBCCKSが勝手にやってくれました。

表紙イメージ

正直、思いつきでつくった試作品なのですが、読み物としての完成度は高いのではないかと思っています。ただ、ぼくとしては紙質や手触りなど、「自分の文章が本になるとはどんなものなのかな」と試しに手に取ってみたかっただけなので、もともとはこれを販売するつもりもありませんでした。そもそも、加筆したとはいえ、既にnoteで出している内容ですしね。

でも、せっかくつくったものだし、うまくできた気がするから、もしかしたら欲しい人もいるかもしれないし、25部くらい刷ってみようかなと、思い切って発注してみました。まったく売れなかったら悲劇なのですが、「送料込み1200円で販売します」と6月26日のお昼にXで告知しました。

そしたら、ビックリしたことに、告知した直後からどんどんDMが届いたのです。「本買いたいです」と。いや、あなたこの内容、この前noteで読んでくれましたよね?

心配になって、何人かの方に「ほぼnoteと同内容ですけど、本当に大丈夫ですか?」と確認しました。そしたら「もちろんです!」と、そんなの確認してもらうまでもない、みたいな感じで言われました。「紙で読みたいんです」とか「あのエッセイを紙で読んだらどういう印象になるのか楽しみです」とか「手元に置いておきたいんです」とか「本ならいつでも好きなときに読めるから」とか、数々の嬉しいコメントをいただきました。

そして数日かけて売れたらいいなと思っていた25部が、なんとわずか3時間で完売しました。間に合わなくて買えなかった方も発生しました。申し訳ないです。こんなに売れるなら、もっと刷れば良かった。

とはいえ、完成品が手元に届くまでやっぱり少し不安もあります。印刷前のプレビュー画面は何度も確認しましたが、思わぬ失敗がないことを祈ります。なにせ初めての試みなので、25名の初版本の購入者の方は、記念品と思って大目に見ていただけますと幸いです。

7月中旬に手元に届く予定なので、その後随時発送する予定です。また希望者がいたら、7月に増刷しようかなと思います。

なんだかひとり出版社みたいで楽しいですね。試しにつくってみて良かったです。本づくりのモチベーションがアップしました。

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作家として、より自由に活動していくための挑戦です。 メンバーシップ会員限定記事で、日々の学びや思考…

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