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大阪〜博多600km徒歩の旅(4)兵庫県姫路市〜赤穂市

大阪から博多へ 山陽道600km徒歩の旅
第4ステージ
兵庫県姫路市〜兵庫県赤穂市(33km)

身体のあちこちが痛い。2日目まであった膝の痛みはほぼなくなったけど、今度は足裏が強く痛む。簡単な旅ではないことはもちろん出発前からわかっていた。しかし実際にやって、身体で感じてみないと理解できない過酷さがある。

今のところ幸いなのは、足の指に関しては全然問題がないことだ。前回の徒歩旅では、マメができたり、指に水が溜まったりとトラブルが多かった。おそらく、今回の旅のために調達した5本指のインナーソックスが効いている。インジンジのライナークルーという商品。

マラソンランナーにも愛用者は多いそう。あくまで「インナー」なので、ぼくはこの上に登山用の厚めの靴下を履いている。

今朝も部屋でラスクとコーヒーを口に入れ、8時45分に姫路駅を出発。国道2号線の脇にかつての西国街道が通っているので、なるべくその道を歩くことにした。あるのかわからないけど、江戸時代の名残りを探してみたい。

2kmほど歩いたところに「BAKERY 54」というパン屋さんがあったので、あんぱんやソーセージパンなどを買い、歩きながら食べた。安くておいしかった。

歩いていると、いろんなことを思い出したり、考えたりする。次にやりたいことが浮かんできたりもする。

昔途中まで読んだ、司馬遼太郎の『俄』にもう一度チャレンジしたい。そして今度はちゃんと最後まで読みたい。主人公・明石屋万吉の、

「知恵より大事なのは覚悟や。覚悟さえすわれば、知恵は小知恵でもええ、浅知恵でもええ。あとは何とかなる」

という言葉に、大学時代のぼくは大きな影響を受けた。学生のうちにヨーロッパ自転車旅に挑戦しようと覚悟を決めたのは、この言葉に背中を押されたからだ。

それから、また全然違う話だけど、『全裸監督』のモデルとなった村西とおるさんの言葉に「人生、死んでしまいたいときには下を見ろ、俺がいる」というのがある。この言葉が好きで、方向性は違うかもしれないけど、ぼくもそんな気持ちでいる。

たとえば、良い大学に入って、良い会社に入って、という世間的に良しとされる価値観だけで生きていると、理想のレールから外れたときに辛くなってしまいがちだ。

そんなとき、「社会のために」みたいな立派な考えもなく、ただ博多を目指して歩いているぼくのことを思い出してもらえたら嬉しい。「こんなに外れてる人もいるんだから、そこまで重く考えることじゃないか」と。それぞれの人が自分の中で幸せを感じられていれば、レールに沿っていようが、外れていようが、どちらでも構わないと思う。

*****

わかりやすく江戸の面影を感じられるような景色はなかったけど、途中、西国街道の渋い道もあった。

けれど国道2号線はもちろん、西国街道でさえ、基本的にはそんなにおもしろい道ではない。ほとんど登らない代わりに景色のご褒美もない、長い長い登山をしているような感覚だ。けれどそこまで退屈さもない。キツいけど飽きずにできるから、他の人よりは性に合っている気がする。

揖保川を渡る。全国的に有名なそうめん「揖保乃糸」の工場が、この川の上流(兵庫県たつの市)にある。

しばらくして竜野駅があり、その駅の向かいに「ナカムラ」というカフェがあった。評価が高かったので、そこでランチを食べることにした。

お店の口コミを見ていたら、「マスターは海外在住経験が長い方」というコメントがあった。料理を待つ間、直接尋ねてみると、マスターの中村雅年さんはかつてプラント関係のお仕事をされていて、それでいろんな国に駐在していたそうだ。数年前には、フランスやイタリアへ少しだけ料理の勉強へ行ったそう。

お客さんもぼくだけだったので、おいしいキーマカレーをいただきながら、海外でのいろんなお話を伺った。

お会計を済ませて出ようとしたら、「ちょっと待ってくださいね」と言って、休憩中に食べられるようにローストビーフのサンドイッチを作ってくださった。

「午後も頑張ってください!」

人の親切に心温まる。本当にありがとうございました!

そこから5km歩いて、今晩の宿を取っている相生駅に到着した。駅の少し手前には、アスファルトを突き破って生えてきた大根として、かつて一世を風靡した「ど根性大根」大ちゃんの生誕地があった。

さて、すでに朝から24km歩いてきたのだが、この先の行程を考えると、今日のうちにもう少し先に進んでおきたい。

なので一度駅前の東横インにチェックインして、荷物を置いて、8〜9km先の有年(うね)駅までランニングすることにした。脚は痛いけど、リュックの負担がなくなるとかなり楽になる。

1時間20分で有年駅に到着し、17時43分のJR山陽本線に乗って相生に戻ってきた。電車だとわずか5分の距離だった。

ちなみに今日6〜7時間かけて必死に歩いてきた距離(姫路〜相生)も、電車だと19分で着いてしまう。ちょっと悲しくなってくる。もちろん、歩いたのが無駄だったとは一切思っていないけど、電車のあまりの速さには驚く。

夜は、相生にあるテイクアウト専門のお好み焼き屋さん「元祖 太平洋」で、そば入りのモダン焼きを買った。ひとつ500円と安い。

これとコンビニで買ったカップ味噌汁、そしてお昼にマスターからいただいたサンドイッチを部屋で食べたら、十分お腹がいっぱいになった。

ただ、さすがに疲れが限界にきているのを感じる。夕方から眠たかったし、油断すると体調を崩しそう。スマホのアプリで見たら、この4日間で140kmを歩いていた。そりゃあ疲れるはずだよなあ。今夜はnoteの更新よりも早く寝ることを優先する。寝ないとダメだ。

<今日の費用>
パン 390円
エナジーゼリー 220円
おにぎり 162円
ランチ 1300円
電車賃 200円
お菓子(うまいか) 288円
モダン焼き 500円
カップ味噌汁 130円
ホテル 6154円

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中村洋太
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