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大阪〜博多600km徒歩の旅(19)山口県岩国市〜周南市

大阪から博多へ 山陽道600km徒歩の旅
第19ステージ
山口県岩国市〜山口県周南市(32km)

6時半に起き、荷物をまとめて、急いで朝ごはんを食べた。

そして岩国駅から、昨日のゴール地点である周防高森駅に戻るため、8時9分発の電車に乗り込んだ。これを逃すと、次は11時26分発という恐怖の岩徳線。無事間に合ってひと安心。

8時50分に周防高森駅に到着し、ここから19日目の徒歩の旅がスタート。今日は山口県周南市の徳山を目指す。

駅前の雑草に、霜が降りていた。空気は冷たく澄んでいる。でも快晴で、川沿いの道が気持ちが良かった。

標識に「光 18km」と出てきた。ひかり。かっこいい地名だ。

オーディブルで鴻上尚史さんの『「空気」を読んでも従わない: 生き苦しさからラクになる』という本を聴いていた。素晴らしい内容だった。「人に迷惑をかけない生き方ではなく、あなたと人が幸せになる生き方を選ぶのです」という言葉が刺さった。2年前の秋に、鴻上さんの『孤独と不安のレッスン』という本を読んだ。今となってはどんな内容だったか覚えていないが、当時のぼくはこの本に随分「癒された」と記憶している。孤独や不安に悩んだときはぜひ読んでみてほしい。

しかし本の内容に頷きながら歩いていると、ふと地図を確認して、「しまった」と思った。ぼくはずいぶんと道を間違えていた。本来西に向かうべきところを、途中の分岐点で道を誤り、南西の方向に進んでしまっていた。このままだと光に向かってしまう。いや、「光に向かって歩く」ってなんだか響きは良いかもしれないけど。しかし道は間違えているのだ。おまけにもう、分岐点からは3kmも歩いてしまった。今から戻って、元の道へ行けば、それだけで6kmのロスである。

ぼくは地図を見て、抜け道を探した。そして見つかった。どうやら山を2つ越える道ではあったが、その小さな道を行けば、1km程度のロスで元の道に復帰できそうだった。気持ちを切り替え、寄り道も楽しもうとした。思わぬ失敗を必然に変えるために。

すると、坂の上で「熊毛ペット墓苑」という看板が目に入った。ペット用の墓地が存在するのか。ぼくは初めて見た。少し中に入ってみると、そこには「ペット観音」なる仏像があった。観音様の足元に、犬と猫がいた。

ペットたちのお墓も少し覗かせてもらった。いくつかのお墓にはまだ新しい花が供えられていた。お墓に刻まれた「思い出をありがとう」の言葉にグッときた。

無事に国道2号線に復帰でき、このあたりでランチを取ることにした。Googe Mapsで、評判の良い店を見つけた。

勝間駅近くの定食屋「なかがわ」だ。11時40分に入ったのに、お店は賑わっていて、カウンター席は最後の1席だった。ラッキーと思って座ると、その後続々とお客さんが入ってきて、すぐに行列ができてしまった。人気店のようだ。

日替わり定食(ごはん大盛り)850円は、
・ぶり大根
・きんぴらごぼう
・刺身

というメニューだった。いずれも絶品だった。会計時に心を込めて「とてもおいしかったです」と伝えずにはいられなかった。

ところで、お昼を食べているとき、びっくりする連絡が入った。

それは、山口県のラジオ局「エフエム山口」からの出演オファーだった。しかも、新山口に到着する1月29日(月)夕方、着いてすぐのスタジオ生出演である。たまたま予約していたホテルのすぐ目の前がエフエム山口のスタジオらしい。それもまたすごい偶然だ。

詳しいことはまた明日か明後日に書きたい。数分間の短い出演にはなるが、山口県の方に聴いていただけたら嬉しい。

午後は徳山駅までの残り15kmを頑張った。もう2号線をまっすぐ行くだけだから、道は間違えない。終盤に徳山駅方面に行くための分かれ道だけ気をつければ良かった。しかし肩はかなり痛かった。何度かコンビニで休憩しながら歩いた。

オーディブルは村上春樹の紀行エッセイ『辺境・近境』を聴いた。高松のディープなうどん紀行の話がおもしろい。またうどんを食べに高松へ行きたいと思う。

徐々に交通量が増え、地方都市らしい景色になってきた。

山陽地方で割とよく見かける大型商業施設「you me」。「ユーミー」かと思ったら、「ゆめタウン」と読むらしい。

16時過ぎ、徳山駅に到着。今日は32km歩いた。かなり疲弊した。

駅直結の「周南市立駅前図書館」は、スタバ併設のいわゆるTSUTAYA図書館。美しく、素敵な空間だった。地元・横須賀にもこんな図書館ができたらいいのに。

自身への「ゴールおめでとう」の気持ちで、スタバの新作「オペラフラペチーノ」を初めて飲んだ。おいしい。

今度は温かいものが飲みたくなり、「ブロンドラテ with オーツミルク」を注文。これも初めて飲んだが、おいしかった。

18時前、駅へ向かった。今夜は友人のご実家に泊めていただけることになり、JR山陽本線で2つ先の福川駅へ向かった(明日また徳山駅に戻ってスタートする)。

社会人になってからもよくフットサルをしていた中学サッカー部時代の同級生がいる。彼が大学時代に、ピースボートで世界一周の旅に出た。そして船で仲良くなったというメンバーを、帰国後に仲間内のフットサルや飲み会に連れてきたことがあった。ぼくもそこで、ピースボートに乗っていた何人かのメンバーと友達になった。

高松洋子さんもそのうちのひとりだった。彼女は愛知県の小学校で教諭をしていて、ぼくが7年前に東海道を徒歩で旅していた際、愛知県刈谷市でお世話になった。

それ以降しばらく連絡は途絶えていたのだが、つい先日、突然「山口県の周南市に実家があるから、良かったら泊まって」と連絡をくれた。彼女が山口の出身だったことにも、この徒歩の旅を認知してくれていたことにも驚いた。でも何よりも、自分が不在のなかで、「実家に泊まっていいよ」と言ってくれるおおらかさにいちばん驚いた。

だけど地元の方との交流は貴重なので、ありがたく泊めさせていただくことにした。

そして福川駅で合流し、高松さんのご両親にお世話になった。おいしい夕食をいただき、食後には周南コンビナートの美しい工場夜景ドライブにも連れて行ってくださった。

家のリビングに、高松洋子さんが掲載されている新聞記事があった。なんと、小学校教諭をしながら、絵本を出版したというのだ。

『ぼくは、カウアン』というその絵本は、彼女が実際に受け持ったカウアンくんという生徒との出会いと、JICAの青年海外協力隊として2年間赴任したブラジル・サンパウロでの経験が元になっている。多様性について考えさせられる内容だった。

2年間もプラジルに行っていたこと、そして絵本を出してしまう実行力、行動力に驚かされた。なかなか機会がないのだけど、また直接会えたときに色々と話を聞いてみたい。

お母さんから、この近くの和菓子屋「いよや」のどら焼きをいただいた。ありがとうございました!

<今日の費用>
電車代 420円
アクエリアス 179円
ランチ 850円
プロテインバー 162円
あんまん 140円
スタバ 90円(ギフトなどを利用)
電車代 200円

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中村洋太
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