地明かりを効果的に使う
地明かりは角度調整ができないので、アジャスタブルダウンライトや
スポットライトよりも慎重に配置を検討する必要があります。
しかしそんなシンプルな器具だからこそ、うまく使いこなすことができれば
地明かりにしかできない、ミニマルで美しい空間をつくることができます。
今回はそんな地明かりに関する基礎知識から
実際の案件においての応用方法をまとめてみました。
地明かりとは
地明かりはもともと舞台照明の用語で「舞台全体を明るく照らす」という
意味があります。それが転じて建築照明のジャンルでも使われるようになり
空間全体を照らすことや、その器具自体のことを指すようになりました。
「間接照明を地明かりとして使う」などの応用テクニックもありますが
まずは地明かりのことを知ってもらうために最もメジャーな意味の
「地明かりダウンライト」について解説をしていきます。
施工方法による分類
◾️S形 ・・・ 断熱材の施工に対して特別な配慮が必要なもの。
断熱材施工された天井に対応しており、主に木造住宅向けの器具です。
熱の発生が少ない=出力が小さいので、同サイズのM形よりもパワーが弱く
同じ明るさで比較すると器具の直径がひと回りほど大きくなります。
S形の中でも、
ブローイング工法を含む断熱材全般に対応したものをSB形。
マット工法のみに対応したものをSGI形と言います。
安価に設定されていることが多いので、
商業空間においてもバックヤードなど
見た目にこだわらない空間で使うこともあります。
◾️M形 ・・・ 一般形。断熱材の施工がされた天井にはNG。
断熱材が施工された天井には使用できませんが、性能が高いので
コストや設置条件が合えば選ばない理由はないと思います。
ランプによる分類
◾️ランプ一体型 ・・・ 器具の筐体とランプが一体化されているもの。
部品が少なかったり、ランプ交換のための隙間がなく機構がシンプル
なため、小型に設計された器具が多いのがメリットです。
ランプ寿命や電源装置の不具合があった際には原因の特定や器具交換に
電気工事業者や照明メーカーのスタッフが必要なので
スピーディーにメンテナンスができないデメリットもあります。
◾️ランプ交換型 ・・・ ランプの付け外しが簡単にできるもの。
ランプ一体型に比べると外径がひとまわりほど大きくはなりますが
故障のリスクが小さく、不点灯になった際の原因は
ほぼ「ランプ切れ」のため、ランプ交換さえしつづければ
半永久的に使うことができるメリットがあります。
「色温度がイメージと違った」「もっと明るくしたい」といった場合にも
費用を抑えながら改善できるのが大きな魅力です。
メンテナンスがしやすいため住宅やホテルの客室でよく使われます。
配光による分類
1/2照度角を基準に、
4~5つの段階に分けることができます。
1/2照度角の意味がわからない方はこちらをご覧ください。
散光・・・90°以上
拡散・・・60°〜90°未満
広角・・・30°〜60°未満
中角・・・15°~30°未満
狭角・・・15°未満
光源から放出されるすべての光の量を「光束」と言い
ルーメン(Lm)という単位で表現をされます。
同じルーメン数で比較をすると
より配光の狭い器具は、中心照度が高く明暗差が強く出やすいので
空間にメリハリをつけたいときに使います。
より配光の広い器具は、中心照度は低く空間全体を均一に照らすので
柔らかい雰囲気をつくりたいときに使います。
計画している空間の目的や求められる機能、目指している雰囲気や
天井の高さなどを考慮し、
多角的な視点で最適なものを選んでいきましょう。
見た目による分類
「グレアレス」と「それ以外」に分けることができます。
「グレア」とは不快感や物の見えづらさを生じさせる「まぶしさ」です。
「グレアレス」は文字通り「グレアが無い」という意味です。
光源を直接見えないようにするなどの配慮をした器具のことを指します。
グレアレスでないものは光源の位置が浅くまぶしさを生じさせやすいですが
発光効率が良く空間の明るさ感が得られやすいというメリットもあります。
それぞれのメリットとデメリットが明快なので、
目的に合ったものを選ぶようにしましょう。
地明かりを使いこなそう
基礎的な知識について解説をしてきましたが、
ここからは具体的にどうやって地明かりを使うのか、
図を使ってその思考法を解説していきます。
光の重心をコントロールする
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