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ナラティブセラピーとは?メンタルヘルスの回復に"物語"が効く理由
「最近、ストレス過多で不安やイライラが溜まっている・・・」
「メンタルの調子が良くない・・・」
「このままずっと良くならないのでは・・・」
「また同じことを繰り返してしまうのでは・・・」
このような思いを抱えている方は少なくないのではないでしょうか。
日々の生活の中で、誰もが心の健康について悩む時期があります。そんな中で、新しい希望の光となるのが「ナラティブセラピー(物語療法)」です。
ナラティブセラピーとは?私の経験から
こちらの自己紹介でも書きました通り、私自身、長年にわたるうつ病を経験しました。
あの時期は、自分が何者なのかも分からなくなり、毎日が霧の中にいるような状態でした。
従来の治療法では、薬物療法や認知行動療法など、様々なアプローチを試みましたが、どこか物足りなさを感じていました。
民間の心理カウンセラー資格なども取得しましたが、役に立ったことは確かですが、やはりできることは限られている、という印象でした。
そんな中で去年、出会ったのが、ナラティブセラピー(物語セラピー)です。
この出会いは、私の人生を大きく変えることになりました。
問題と自分を切り離して考える視点を得たことで、相談を受けるメンタルに問題を抱える方々に、徐々に希望が見出だせることが増えてきたのです。
もともと物語創作論が好きだったこともまり、この経験が、私が支援者としての道を歩み始めるきっかけとなりました。
ナラティブセラピー(物語セラピー)の基本的な考え方とは?
ナラティブセラピー(物語セラピー)の最も重要な考え方は、「問題」と「その人自身」は別物だということです。
「私は不安な人間だ」という考えは、実は「不安が私に影響を与えている」という形で捉え直すことができます。
私たちは常に「物語」を生きています。
自分自身についての物語、家族についての物語、将来についての物語...。
時として、否定的な物語(ドミナントストーリー)が私たちの人生を支配してしまうことがあります。
しかし、それは唯一の物語ではありません。新しい物語(オルタナティブストーリー)を見つけ出す可能性は、常に開かれているのです。
なぜ「物語」なのか?効果が期待できる4つの理由
1. 問題との距離を取れる(外在化)
「私は不安になりやすい人間だ」という考えは、その人のアイデンティティ全体を規定してしまいます。
しかし、「不安が私に影響を与えている」と捉え直すことで、問題と適切な距離を取ることができます。
この視点の転換により、問題に対する新しいアプローチが可能になります。
2. 新しい意味づけが生まれる
失敗と思えた経験も、違う角度から見ることで「学びの機会」として捉え直すことができます。
例えば、仕事でのミスを「自分は無能だ」という物語にするのではなく、「この経験から学べることがある」という新しい物語に書き換えることができるのです。
3. 例外の発見から希望が生まれる
問題が支配的に見える状況でも、必ず例外的な瞬間があります。
不安に支配されているように感じる日々の中でも、穏やかに過ごせる時間は必ずあります。
そういった小さな成功体験に目を向けることで、新しい可能性が見えてきます。
4. つながりの再発見
私たちは決して一人ではありません。
人生物語を見直す過程で、自分を支えてくれる人々との関係性を再認識することができます。それは、自分を支える新しい人生物語の構築につながっていきます。
ナラティブセラピー(物語セラピー)の実践例
Aさん(30代・女性)は、職場での人間関係に悩み、休職を余儀なくされました。「自分にはコミュニケーション能力がない」という物語に支配されていました。
物語セラピーでの対話を通じて、実は過去に良好な人間関係を築いた経験があることに気づきました。
また、現在の職場でも、一部の同僚とは良い関係を保っていることが分かりました。
この「例外」に注目することで、「私には人との関係を築く力がある」という新しい物語が生まれ始めました。
その結果、徐々に自信を取り戻し、段階的な復職に成功。現在は、新しい部署で活き活きと働いています。
ナラティブセラピー(物語セラピー)の可能性
ナラティブセラピーは、メンタルヘルスケアの新しい選択肢として注目されています。
特に予防的な観点から、日常的なストレスマネジメントにも応用できる可能性があります。
自分の物語を書き留めるジャーナリングや、信頼できる人との対話を通じて、セルフケアとしても活用することができます。
まとめ:あなたの新しい物語のために
物語セラピーは、あなたが自分自身の人生の「著者」となることを支援します。それは、問題に支配された物語から、希望に満ちた新しい物語への転換を可能にします。
最初の一歩は、自分の物語を見つめ直すことから始まります。
それは決して容易なことではありませんが、必ず新しい可能性が開かれているはずです。
それではここまでお読みいただきありがとうございました^^
一般社団法人心のメンテナンス協会
代表理事 佐藤洋介