一般質問を振り返る#08その1 前編~ 市内の学校再編について ~
令和6年3月に行われた定例会一般質問です。順序でいけば令和5年12月の質問を先にアップするところですが、この7月30日、8月1日と白浜地区の小学校の今後について教育委員会から地域に説明会が開催されていますので、議会ではどのような質問をしたのか特に白浜地区の皆さんに知ってほしいので先に投稿します。長くなりそうなので、前後編として投稿します。
白浜・千倉地区の児童数の将来見込みについて
このたび、教育委員会から状況説明がありました。出生数が低下してきていることは皆さんもご存知と思いますが、説明では、白浜・千倉地区の児童数は、それぞれの合計数を令和6年度と令和12年度と比較すると、半数近くまで減少することが予測されるとのことでした。
また、白浜小学校では、令和12年度に確実に複式学級となる学年が発生することが予測されるとのことでした。今の6歳から0歳の子ども達がどの年齢でも10人未満になってきているからです。
以上のことから、今後について地域での協議・検討を開始していただくようお願いをしていきたい、という趣旨でありました。
私も白浜地区の住民です。心情として、中学の統合をやったばかりでもうそんな話をするのか。。というのが正直な気持ちです。一方、現時点で分かっている予測を黙ってみているのもおかしい。議会でも議論すべきことはしていくべきと思い、質問をしました。
質問:
複式学級が発生することが懸念事項のようだが、複式学級を避けたい理由は何か。
教育長:
例えば、小学校6学年がすべて1学級で、そのうちの2年生、3年生が複式学級とすると5学級となり、教員の配置は5学級プラス1の6名となる。通常多くの学校は、学級数よりも1多く配置された教員を学級担任として活用し、各学年1学級の6学級編成で学校運営を行う。学級担任以外の教員は、校長、教頭のみ。学級担任が会議等の出張や年次休暇の場合、その学級には校長、教頭が入るか、あるいは自習となる。複式学級が複数となった場合はこの対応ができず、複式学級がどうしても1学級できてしまう(注:配置教員数では物理的にカバーできない為)。
複式学級における学習形態は、2年生と3年生の学習を、1人の学級担任が同じ教室内で展開するもの。体育や音楽などは、工夫によって複数学年合同とすることも考えられるが、国語、算数などは、学年によって学習内容が異なる。また、教員が子どもに向き合う時間は、通常の学級の半分にならざるを得ない。
このような状況が予想されることから、複式学級は避けることを大前提としてこれまでも再編を進めてきた。
つまり、先生方のやりくりや学校運営上でも支障が出てくると。では、子どもたちは複式学級ではどういう授業形態になるのか。
質問:
一方の学年対象の授業がされる間、もう一方の学年は具体的にどう過ごすことになるのか。
教育長:
2年生と3年生が複式だとして、最初に2年生に学習内容を説明する場合には、3年生にはあらかじめ課題を与えている。2年生の学習を教師がやっている間、3年生は課題。2年生の学習が終わったら、課題に取り組んでいた3年生に今度は教師が教える。そういう形が一般的であるかと思う。
学校側であれ保護者側であれ、子供たちが心身ともに健やかに育ってほしいと思っていることは、皆さん同じでしょう。それは前提として、おそらく保護者が気になるだろうと思った質問があります。
質問:
複式では単式と比べて、学力レベルで差が出てしまうことはあるのか。
教育長:
ほかの要素が入ってくるので一概にそのことだけに理由を求められるものではないと思うが、お答えとしてはちょっと違うが、千倉地区の学校再編で4校を統合しようとしたときに、複式学級でもいいじゃないかというような御意見が出た。しかし、健田小学校の大貫分校があった時代に4年生までが大貫分校で、そこでは複式学級が展開されていた。それらの経験を持つ方が、即座に「複式は駄目だ」というようなことで、それ以上に議論にならなかったことがあった。
私どもが把握しているのはデータまでいかないが、やっぱり複式に対しては問題があるということは経験者のほうがお話ししている。場合によっては、同じ学年のものを2年勉強することになるから勉強できるようになるだろうというのは、極めて理解のよい子ではないかなと思う。通常、普通の子供とか、あるいは勉強苦手の子供は、先生が接する時間が半分になるわけで、やはり困難のほうが大きいのかなと思う。
隣の館山市ではどうか。現在、同市内では4校で複式学級が展開されています(神余、豊房、九重、西岬小)。神余小では複式学級が低学年、中学年、高学年という3学級編成とのこと。計画されている統合案では、房南学園と神余小を統合し、市内全域を学区とし希望者が通学できる小規模特認校を設置するようになっています。小さい学校としてこのような形態で白浜小もやっていけるのではないか。
質問:
館山市の小規模特認校の設置計画を教育委員会ではどのように受け止めているか。
教育次長:
館山市の計画は、他の小学校については北条小、館山小等の規模の大きい学校に集約するとも聞いている。これらの大規模校に対比する形で、小規模 特認校の設置を計画したのではないかと考えている。
学校の規模は12学級以上、18学級以下が標準とされている。千倉小と嶺南小が12学級規模であり、市内の他の4小学校がすでに小規模校で、本市において大規模校はない。そのような状況の中、本市においては、学習内容によって少人数によるグループ学習など、多様な学習形態を取り入れている。また、全小中学校で自然体験などの教育活動も積み重ねている。さらに、市内においては、指定された学校以外への学区外通学も認めている。このような状況から、あえて小規模特認校を設置する必要はないと考えている。
小規模校の定義を知らないまま質問したので勉強不足でした。もはや南房総市内は既に小規模校が多くある状況です。
今後、教育委員会は検討委員会の立ち上げを保護者PTA、地域に対し求めていくでしょう。どのような結論を得るにしても議論を先延ばしにする理由がありません。
地域に学校が無くなることの喪失感や親の不安感は理解できます。よって、統合を選ばない選択肢も当然あります。これは、いいとか悪いとかの話ではないことです。しかし、議論は教育委員会が主導するものでなく、あくまで地域において納得いくまで話し合いをして合意を形成することが大切です。市民 対 教育委員会というお話ではありません。「メニュー」が市や教育委員会から提示され、その中からメインを選びトッピングを相談するものではないことは、議論のスタートとして地区住民の皆さんにもご理解頂きたいと思います。みんなが当事者であり、そして未来の子ども達のために、そういう観点で皆さんと一緒に考えていければと思います。
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だからこそ
さて、こういうことになったのでこういう質問をしたわけですが、確かに白浜地区の出生数は急減した事実があります(他地区よりも減少度合いが強い)が、そもそも、市町村合併検討の時点でも今の状況は予想できたのではないでしょうか。是非はともかく、あの時、安房地区として合併していたら、少なくとも館山市と合併していたらこの問題は別の方向に向かっていたことは確かです。
それでも南房総市という行政単位における教育委員会である以上、あくまで市内で学校再編を検討せざるを得ないわけで、その中で当市教育委員会は最大限できることをしていると私は思います。事実、県下でも児童生徒あたりの教育予算はかなり多い方です。
だけれども、もはや学校のみならず地域の持続性も危ぶまれる状況になってきた。そんなわけで、議論を喚起するつもりで1つの質問を教育長にぶつけました。
「教育委員会の統合・広域化」
これについては後編でお伝えしたいと思います。