一般質問を振り返る#08その2 外房地区のごみ処理について
この質問は、令和5年9月に質問した件の続きとなるものです。当時指摘したことが半年後どうなっているか改めて問いました。サムネ画像の結論は最後にありますので是非お読みください。
外房地区(旧朝夷地区)のごみ処理は、千倉清掃センターと白浜清掃センターを廃止し、千倉地区宇田に新たな自己搬入施設(いわゆる持込み施設)を作って白浜の持込みもここへという計画が出ていました。この計画が私の上記の質問で市民の皆さんにも知られるところとなり、白浜地区では住民説明会を求める動きとなりました。今回の質問はそういった流れの中で行ったものです。
質問:
白浜清掃センターについて区長への説明会で出た意見はどのようなものであったか。また、それに対する市の見解はどういったものか。
市長:
これまで2回説明を行った中で、各区長からの意見としては、「白浜清掃センターを廃止しないで欲しい」、「廃止されると行政区で行う清掃活動で出た、ごみの持ち込み先が遠くなり不便になる」、「地元住民に対する説明会を開催して欲しい」といった意見があった。
意見に対する市の見解としては、市全体のごみ処理施設の再構築について検討した結果、内房地区に中継施設、外房地区に1か所の自己搬入施設を整備することとしましたので、白浜清掃センターを廃止することについて、ご理解いただきたいと思う。また、行政区等が行う清掃活動により集められたごみの取り扱いについては、清掃活動に支障がないような支援の方法について検討していく。
この区長さん達の意見は市も予見できていたでしょうね。一般的に、ごみ処理施設、し尿処理施設は「迷惑施設」といわれます。そのため、出来れば近くに欲しくないといわれる。実際、千倉清掃センターは地元区と「何年までに移転する」という協定があり、市からお願いして期限を延長してきた経緯があります。そういった背景もあり、このたび宇田区に実質的に移転となる計画です。
しかし、白浜清掃センターをいらないという白浜住民はほとんどいないと思います。実際にそんなお声も地域で聞きません。焼却処理をしなくなってからも、持込み施設として便利に活用してきているし、必要とされています。
たしかに、①富山に中継施設を造るし、②千倉もそういうわけで移転が必要だし、③白浜の施設も古くなってきたし、④統合すれば費用削減、という流れは一見妥当ではあります。でも市民の感覚とズレを感じる。まるでズボンを腰で合わせたあとでついでに裾を調整するような。ズボンはそういうものかもしれませんが、市民生活は足元から見たほうが実態を表すのではないでしょうか。
公共施設の統廃合は将来の市の財政のためにも検討すべきことです。しかし、かえって不効率なことになるものもあるのではないか。実際の数値上ではどうなのか。
質問:
白浜、千倉それぞれごみ1件あたり平均持ち込み量はどのくらいか。
建設環境部長:
令和4年度の実績では、市民の生活ごみの持込みは、千倉清掃センターで54キログラム、白浜清掃センターで37キログラム。また、事業系ごみの事業者による個別持込みについては、千倉が110キログラム、白浜が127キログラム。
許可業者のパッカー車による持込みにつきましても、1件ごとに計量カウントしており、平均持込み量は千倉で191キログラム、白浜で712キログラムとなっている。
表に直しました。こうなってます。
廃止するほど白浜清掃センターが低稼働であるようには見えません。地区の大きさを考えたらむしろバリバリ現役です。特に許可業者の持込み量が非常に多い。これは外房地区の生ごみはすべて白浜清掃センターに集められ、そこで大型車に積み替えて市外に搬出されているからです。市はこれを将来は富山の中継施設に集約する意向なわけです。(※許可業者とは、民間の収集事業者で、清掃センターに搬入できる許可がある業者のことをいいます)
しかし考えてみましょう。清掃センターに運び込まれるごみは市が収集する家庭ごみだけでしょうか。違います。ホテルや旅館、工場から出る生ごみも当然含まれます。各事業所の契約業者さんが和田丸山千倉白浜のごみを収集車で集めて、その受入を白浜清掃センターがしています。
そういう流れになっているものを、平均700kgくらい積んだ収集車にたいして「今後は富山の中継施設に持ってきてね」とそう簡単にいかない。移動距離も長くなり、運搬コストだってかなり違ってきます。今までと同じコストで運営するのは可能なのか。
質問:
両清掃センター廃止により、市は各業者に運搬コストの変化について聞き取りをしているのか。具体的な影響額の把握は?
建設環境部長:
昨年、許可業者の皆さんと意見交換会を行った。その際、清掃センターの廃止により運搬コストが上昇するだろうという懸念の声はお聞きした。市としては、安定的なごみ処理を継続し、均衡ある住民サービスを提供するための市域全体でのごみ処理施設の再編計画として、御理解をいただけるように説明をさせていただいたが、具体的な金額までの聞き取りは行っていない。
実は前回の質問でも同じことを聞いています。その時も、「もし運搬コストが上昇したら、その差分は市の施策に起因することになる。市は応分の負担をするのか。」と。その時の回答は、前述の通り市の新しいごみ処理計画に理解を求めるに留まっていました。なので、もう一度問いました。
質問:
改めて伺う。実際にコストが上がった場合、誰が負担すべきだと市は考えているのか。
建設環境部長:
コストの影響の度合いにもよると思うが、市域全体の均衡ある住民サービスの提供のため施設再編計画をしているので、事業者、市民の皆様に御理解をいただきたいと考えている。
つまり、コスト上昇分は業者かごみを出す事業者で吸収してほしい、そう言ってるに等しい。それでは特に富山まで遠くなる白浜地区の負担が上がることは明白です。
そういうのであればこそ、市が補塡とか補助するしないにもかかわらず、その影響度合いは把握しておくべきだと思います。今後の地域の持続可能なごみ処理のためにやるというのなら、費用対効果の測定や事業の検証をするためにも数字を持っておくことは大切です。そうしないと何か手を打つときの判断材料もない。言わば事業の解像度を上げるために、調査や聞き取りはしておいたほうがよい、と付け加えました。市からは「利便性向上のために工夫していく」との回答でしたが、この時点では正直なところ納得できないでいました。ただ、この問いかけを契機に、聞き取り調査を含め数字の精査を改めて行ったと後で聞きました。(後述)
最後の質問です。
質問:
市長にお尋ねする。市民の声として、住民の利便性を考慮した内容でもう一度検討してほしい、というものがあった。次回説明会は速やかに準備を進めてまいりたいとのことだが、次回はいつ頃開催しようとお考えか。
市長:
この間、初めての説明会を行い、様々な意見をいただいた。そうした意見を踏まえ、また我々としての考え方をお伝えする機会をなるべく早めに持ちたいと考えている。断言はできないが、できるだけ早く開催できればいいなというふうに考えているところ。
以上が当日の質問の流れです。
最後の市長への質問は、二度目の住民説明会の開催を指しています。市長が住民説明会を開催したのは一度のみでした。二度目の開催は行われなかったのは、説明会をする必要がなくなったから、といえます。
そして。。。実は・・・・なんと!!
この質問では、廃止計画を進める前に検討すべきポイントがいくつかあることは指摘しました。担当課も改めて業者にヒアリングするなど、運用ベースに落とし込んだらどうなるか、掘り下げて検討したと後で聞きました。
質問の翌月である4月に議員全員協議会が招集されました。そこでなんと市長から、「宿泊施設や工場などの事業所から排出されるごみの収集運搬などを考慮した結果、持続性あるごみ処理のためには白浜清掃センターは維持・活用していくことが望ましいことが判明した。これまで把握できていなかった部分もあり、事業系ごみを効率的に収集するためにも必要な施設である。同清掃センターから富山への中継施設への移動方法などは今後改めて検討していく。」という趣旨の説明がありました。
つまり、それは・・・・・
であります。質問を掘り下げてきたことで課題が見つかり、それをクリアすることで望ましい結果を得ることが出来ました。許可業者の皆さんも収集車の運行管理においても懸念が無くなりました。このことは地域の人達にも大変喜んで頂けたと思います。
本件は市の計画が根本的に間違っていたというわけではなく、その計画にはまだクリアしていない課題があるのではと指摘し、気づきを得て見直しをしたからこそであり、けっして無理を通して道理を引っ込ませたわけではありません。
市の財政や人口減少、公共施設の統廃合の必要性については、市民の皆さんも理屈は承知されていると私も思っています。
それでも、中継施設稼働開始後、何らかの不具合があるかもしれません。そのためのバックアップとして経過措置期間を設けて段階的に移行していくとか、施設は無人になっても、草木の受入れ程度はできるようにするとか、もしくは跡地を民間許可業者に活用してもらって、民業として機能維持を図るとか、様々考えられると伝えました。
この考え方ではどう?これは理解できるがその場合はこうでは?という、批判一辺倒ではない質疑の中で得られた結果と思います。私自身も良い経験となりました。
まとめ
繰り返しになりますが、白浜清掃センターは、白浜地区の人にとっては重要な施設です。迷惑施設と捉えている人はほとんどいないと断言できます。加えて、ごみは家庭ごみだけではありません。市は家庭ごみの収集と処分にウェイトが寄っていた印象があり、地域全体で発生しているごみの動きを俯瞰してみるべきと今回の質問では指摘しました。今後も独善的にならず、市と市民にとってより良い政策が行われるよう活動していこうと思います。
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