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住民のニーズに応える政策とは

最近、どの自治体においても高齢化にともなって移動手段の問題がクローズアップされています。小豆島においても同様です。私は地域の人たちの人権を福祉で守っていく相談活動を8年間してきましたが、一番多い相談は、高齢者になって病院に行ったり買い物に行ったりするのに困っているといった移動手段の悩みです。

地域のニーズを聴きとり、相談活動を始めた2年目からこの移動手段の問題解決に向けていろいろな働きかけを各方面にしてきました。小豆警察署から年齢層別免許人数や交通事故などのデータを提供してもらい、デマンドタクシー化の企画書を作成して、役場や自治会・老人会の代表者に提案したり、若い人たちに向けてSNS(Facebook)を通して発信したりしました。

移動の相談を始めて受けた時、インフォーラム(非公式)な形ですが、自家用車に乗せてニーズに応える方法をとってきました。3年目からは公用車を利用する方法を取り出しましたが、まだ一般化したサービスではありません。

小豆島中央病院の開院(3年前)に伴い、島の路線バスが上限300円で乗車できるようになりました。これは地元住民にとっても観光客にとっても大変ありがたい官民が協力してできた政策です。

しかし、介護認定を受けている要支援1から要介護2の人たちは杖をついたり、手押し車を押したりして歩きかねているので、バス停まで行くことすら難しいことで、まして手助けなしでバスに乗ることはできません。だから独り暮らしの高齢者でバスに乗ることが困難な人たちは通院や買い物にタクシーを利用しています。しかし、年金の少ない生活困窮者や病院までの距離が遠い人は料金が非常に高い(福田〜小豆島中央病院間で片道約8600円)から病院に行きたくても行けない人もいます。

そこで、デマンドタクシー化を提案しています。島の路線バスと同じ料金(300円)での乗合タクシーです。利用者は原則として登録制で介護認定を受けた方で自力で歩ける方とします。利用できるのは平日のみで、福祉タクシーとして運用します。土日、祝日は観光タクシーとして運用します。また、福祉施設とタクシー会社と行政が協力して運用するので、各福祉施設の送迎をタクシー会社に委託します。だから福祉施設の送迎車を空いている時間は買い物などの送迎に利用したり、土日、祝日の観光タクシーにも利用したりできるので、障害者に優しい観光地としてもPRできます。福祉施設にとっても、人件費の削減に繋がります。

最近(この1、2年)、坂出市やさぬき市が乗合タクシーを始めました。《さぬき市はトライアルで無料(タクシー会社に委託し、かかった費用をさぬき市が支払う)》小豆島においても、北回りエリア(北浦、大部、小部、灘山、吉田、福田、当浜、橘)からトライアルで始めてもらいたいものです。

行政にソフト面の新しい事業を提案したときに、採算性があるかとか、費用対効果があるかとか言われて、なかなか始まりません。逆にハード面の事業は国の補助金などがあると積極的に取り組んでいるように感じます。(ランニングコストやメンテナンスや取り壊しなどの費用はあまり考えず失敗していることがあるにもかかわらず)

住民のニーズが高いソフト面での事業は本来、採算性や費用対効果などを言わずに取り組むべきだと思います。それは住民の税金で事業を行うからです。行政の職員も議会議員も全て住民の税金で雇われていることを忘れてはいけません。


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