非正規社員の生活を語る
私は50歳になる前まで、中学校の教師をしていました。小豆島では、教員の給料は高いうえ、夫婦そろって教員をしていましたので、それなりに贅沢な生活を送っていました。45歳くらいから尿道狭窄症になり、同じ箇所を3年間で5回手術したり、右足が蜂窩織炎(ほうかしきえん)になり、これも入院となりました。体調が悪くなると精神的に落ち込みがちになり、ついにはうつ病になってしまいました。1年ほど休職しましたが、教師としての自信がなくなり、続けていく心が折れてしまい、退職という選択をしました。
退職して1年間は自治会のお手伝いや子どもが所属するスポーツ少年団のお手伝いをしてリハビリ期間を過ごしましたが、やはりなにも仕事をしないわけにはいきません。タイミングよく渕崎にある富丘文化センターの館長さんが退任されるということで応募して後任に就くことができました。
隣保館の仕事は一言で言うと「福祉で人権を守る仕事」です。人の役に立つ仕事はやりがいがあります。高齢者や生活困窮者の支援を通して、地域の課題が見えてくるようになりました。隣保館職員の仕事は大きな方向性はあるものの、これをなさねばならぬといった細かなしばりはないので、自分で考えて何でもできるところが最大の魅力です。
しかし、給料は年収で比較すると教員時の約3分の1程度です。しかも8年間勤務していますが、昇給はありません。予算案をつくることもできませんし、執行することもできません。ただ良いところは1年ごとの辞令となりますが、随意契約で長期の見通しをもって働けることでした。
一昨年より、健康のことと、収入を補うことを考えて新聞配達をしています。(3年目です。)朝に強く寒さに強い私にはピッタリのアルバイトだと思います。私の同僚には40代で同じ役場の非正規職員で私の倍の量を配っている人もいます。
非正規職員は他にもうどん屋でバイトしている人やスーパーで働いている人もいます。特に若い人や子育て中の人たちはかけ持ちで働かないとやっていけないのです。
先日、昨年春に大学を卒業して、小学校の講師として働きだした息子の冬のボーナスを聞いてビックリしました。私の2.5倍です。給料もバイトして本業と合わせたものより多くあります。学校の先生は確かにブラック残業が当たり前で帰りがとても遅くなるのは分かっていますが、正規と非正規の格差が小さい職種です。
来年度から我々非正規職員は『会計年度任用職員』と言う立場になります。総務省がボーナスがない臨時職員やボーナスがあってもわずかしかない職員に正規並の2.6倍のボーナスを出すように国が予算を(地方交付税に含める)つけました。
これで非正規職員の給料(年収)が上がるはずですが、地方交付税に加算して含めるといっても、つかいかたは自治体に任されているので、毎月の給料を下げてボーナスに回して、年収としては少ししか上がらないというブラックな自治体もあるようです。(ネットの記事より)
とにかく、私は正規(天国)と非正規(地獄)の両方を知っています。労働のモチベーションを上げていい仕事をするためには、正しい評価としての賃金か、仕事のやりがい(人の役に立つ喜び)が必要です。
自治体や会社のリーダー、国のリーダーが誰からも信頼をしてもらえる人物で社会保障をきちんと整備しないと安心して働くことはできないと思います。