内反モーメント(KAM)について
内反モーメント(KAM)について
装具から少し離れますが、膝装具を考える上で必要な知識だと思いますので書いていきます。
膝OAってなんで痛いのでしょうか?
内反することで痛いってイメージはあると思いますが、なぜ?って聞かれてすぐに答えられるでしょうか?
疼痛発生のメカニズムとしては
①羅患軟骨下骨の骨髄内小脈のうっ血
②関節包の骨棘などの関節軟骨周辺での摩擦による滑膜炎
③変形や拘縮に伴う関節周囲の筋腱付着部炎
などが主な原因と考えられているようです。
https://www.hmv.co.jp/artist_古賀良生_200000000287936/item_変形性膝関節症-病態と保存療法_3059688
より
内反により軟骨が削れるとかよく聞くと思いますが、軟骨や半月板には痛覚神経は乏しいです。うっ血、滑膜炎、筋腱付着部炎などの二次的な炎症による疼痛が大部分と考えられているようです。
軟骨は元に戻すことはできませんか、炎症は減らす手段はありそうですよね。そう考えると膝OAに対しても治療戦略の幅も広がると思います。
炎症を起こしてしまう一つの原因はやはり内反ストレスになります。
この内反により膝関節内側にストレスがかかります。
膝内側にかかるストレスをはかる指標として外部膝内反モーメント=KAM(external knee adduction moment)があります。
KAMは床反力ベクトルの大きさとレバーアームの長さで決まります。
膝OA患者ではKAMが大きくX線の重症度、症状の増悪と関連があるとされています。
ややこしい説明になりましたが、膝OAの治療を行うときには、このKAMをどうにかして減らすことが痛みの改善につながっていくと考えられています。
KAMの増加→X線重症化、症状増悪
↓
膝内反、膝内側のストレス
↓
関節軟骨、半月板などの磨耗
↓
うっ血や炎症
↓
疼痛の発生
KAMをどう減らしていきますか??運動療法?装具?足底板?
続く
参考文献
https://www.miwapubl.com/products/detail.php?product_id=1328