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GSDと底屈制限装具の筋活動の違い

日本で装具を勉強している人で知らない人はいないかもしれませんが、大畑先生の論文です。

アブストラストだけは無料で読めますが、全文は有料だったので読めてませんでした。今回はなんとか全文を手に入れて読んでみました。

目的
ゲイトソリューションデザイン:GSD(ちなみに本文ではオイルダンパー付きAFO:AFO-ODとしています。)と底屈制限/背屈フリー:AFO-PSの装具での下肢筋活動の違いを確かめる

対象と方法
脳卒中群11名(男性)
対象群11名(男性)

脳卒中群は
(1)本研究の6ヶ月以上前に脳卒中を1回発症していること
(2)家族の援助を受けて自立して自宅で生活していること
(3)足関節装具やT-caneを使用して自立歩行が可能であること
(4)パーキンソニズムや運動失調症による歩行症状がないこと
(5)整形外科疾患による歩行時の疼痛がないこと
(6)心臓病による活動制限がないこと
(7)安静時心拍数が120回/分未満、収縮期血圧が120~200mmHgであること
(8)認知障害による実験課題の理解ができること
(9)歩行サイクルにおいてニュートラル(0°)以上の背屈を抑制する過度の拘縮がないこと
とした。

対照群
年齢をマッチさせた健康な男性。正常な間接可動域と筋力があり明らかな異常歩行はなし。


測定条件
十分に練習した後で測定
GSD、AFO-PS、裸足で足底の3条件で足底
杖の使用は可
快適速度で2回づつ測定
装具の角度は0°
前脛骨筋(TA)、腓腹筋(GAS)、ヒラメ筋(SOL)の3つの筋電図を測定
筋電図は脳卒中群では患側、対象群では右側で測定


結果
脳卒中群、対象群の年齢、身長、体重に有意差はなかった。筋力は脳卒中群が有意に低かった
GSD、AFO-PSの方が歩行速度が早かった。多重解析で脳卒中群ではGSD、AFO-PSのどちらも有意に歩行速度が改善した
GSDを使用するとローディングレスポンス(LR)中に底屈トルクが最大となり対象群と類似していた。しかし、プレスイング(PSw)で対象群は底屈トルクが上がるが脳卒中群ではほとんどそれが見られなかった。
AFO-PSでは踵接地直後に背屈が生じていた(特に脳卒中群)
GSD使用した脳卒中群では踵接地後のGASの活動がAFO-PS使用時に比べて有意に低かった


結論
AFO-PSでは踵接地後に底屈しないため背屈が生じていた。背屈が生じたため、伸長反射でGASの活動が増したのではないか。


GSDと底屈制限の装具の違いを検証する論文でした。

GSDではヒールロッカーが上手く働くことがわかります。しかし、GSDも万能ではなく、PSw時の底屈トルクの増加にはつながらなかった、つまり蹴り出しにはあまり効果がなかったとしています。

底屈筋の過度な活動が減少されているのは凄いですね。つまりGSDを用いてヒールロッカーが機能して、しっかりと背屈をしていけば筋緊張の軽減につながるかもしれません。

今回の研究では対象条件が多かったので、重度の症例などや緊張感が高い場合などではしっかり考えなければなりません。








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