蹴り出しの改善。筋腱複合体について 2
昨日に引き続き、蹴り出しの改善について。筋腱複合体を詳しく学んでみたいと思います 。
退屈かもですが歩行に重要な筋腱複合体の知識を学んでいきます。
まず、垂直跳びですが、一度しゃがみこんで反動をつけて飛ぶ方が高く飛べるのはイメージできると思います。
その際の腱の柔らかさと垂直跳びの増加率を見た図です。
結果は腱が柔らかい人の方が増加率が高く、反動をつけて高く飛べることが結果として現れました。
もう一つ100mの短距離選手(身長、体重、脚筋力がほぼ同じくらいの10名)で測定。タイムと腱の柔らかさの関係を見ました。
結果は腱が柔らかい人のほうが100mの記録が良いことがわかりました。
これらは、腱はバネのような弾性体であり、弾性力がある方がより強いパワーを発揮できるということが示唆されます。
さらに詳しく見てみます。
これは垂直跳び時の腓腹筋組織の長さをフェーズごとに測定したものです。
図の英語は
L-MTC:筋腱複合体の長さ
L-Fiber:筋の長さ
L-Tendon:腱の長さ
を意味しています。
Phase1はしゃがみこんで反動をつける時期
Phase2は跳び上がって行く時期です。
Phase1では筋腱複合体の長さは変わらない。筋は短くなっていく。腱は伸びていく。
Phase2では筋腱複合体が短くなっていく。筋は変わらない。腱は短くなっていく。
足首のスナップを効かせるために最後のジャンプのところで筋線維が短くなっていき、ジャンプしているとイメージしていたかもしれませんが、筋は逆の動きをしています。
筋はスクワットしていく時に短くなり、ジャンプの時は長さは一定。
なにかイメージと違いませんか?
どこが、ジャンプの力を生んでいるか?それは腱です。腱は筋の逆の運動が起こります。スクワットの時に伸ばされていき、ジャンプの際に縮まっていく。これによりジャンプの際に足部のスナップが生じています。
腱は伸び縮みしてくれるため、ジャンプの際、筋は等尺性収縮で長さを変えないでいいわけです。
これからわかることは、ジャンプなどでは腱の伸長性が重要であるということです。
三頭筋ではなく、腱が伸び縮みすることで底屈モーメント(跳び上がり)が生じているんですね。
続く。
参考文献
福永哲夫 Sports medicine 110 特集 筋腱複合体ここまでわかった筋腱のふるまい 2009