実力チェック。この人に合う装具は?

あなたの実力が試されます。「この人に合う装具は何??」

これまでの勉強の成果をためしてみて下さい。僕の頭の中ではこんな感じでリーズニングしています。

さて、最近まで各装具の説明をしてきましたが、覚えていますか?

SHB
SLB
オルトップ
GSD
GS
タマラック
オクラホマ
RAPS

各装具はイメージ出来ますか?メリット、デメリット。だいたいの値段などなど、、、?

それらの知識を活かして問題を解いてみましょう!

※今まで見たことがある患者さんを参考にさせていただきました。そこから例として考えてます。

【基本情報】
55歳
女性
Hope 元どおり歩けるようになりたい
視床出血 右肩麻痺
CTにて内包後脚への圧迫あり
回復期転院してきて1週間
発症から1ヶ月
発症時はBRS Ⅱ

【回復期評価】
BRS Ⅲ
mAS 背屈1 + 動作時緊張上がる
ROM 問題なし
認知機能 問題なし
感覚障害 軽度〜中等度鈍麻
MMT 非麻痺側5、麻痺側3

【裸足歩行】
非麻痺側優位の歩行
立脚初期内反尖足によりつま先接地
立脚初期から中期にバックニー
上肢のトーン上がりやすい
振り出しはぶん回し

〈質問〉
・こんな方がいましたら何を問題と考えますか?
・装具は使いますか?
・どの装具を選択しますか?
・いつ作製しますか?

僕の考え
自分で考えてから見た方が頭に入ると思いますので考えてみて下さい。











〈問題点と解釈〉
55歳ということ。急性期からの経過も良好。画像を確認しなければなりませんが、圧迫であるため、血腫がひいてくれば錐体路は残存しているかも。そんなことを考えると麻痺は改善してくる可能性が高いと考えらる。

非麻痺側筋力が高く、麻痺側は感覚障害もあることから非麻痺側優位の歩行になりやすいと考えられる。過剰に非麻痺側にたよる事は連合反応を起こしトーン上昇に繋がっているかもしれない。

歩行時につま先接地となることで床半力が膝の前方を通りバックニーを生み出してしまう。バックニーのまま振り出そうとするため背屈が起こらず、下腿三頭筋の伸張が生じない。そのため振り出しは外転にてクリアランスを生み出している。

足関節の背屈制限は出ていないが、歩行の中で背屈は生じていない。トーン高いまま歩行を続けていくと変形や拘縮が生じる可能性も考えられる。

〈装具を使うか?〉
使用する。背屈位を保ち踵接地が生じ、バックニーが制動できるものが必要。背屈はフリーとして足関節の背屈を促していきたい。麻痺側股関節が弱いため、足部の安定性を装具で上げることも股関節強化に寄与するものであると考える。

〈どの装具を選択するか?〉
背屈はフリータイプにしたいので、継手付きを選択する。
緊張がやや高いので金属支柱も考えるが、プラスティックタイプでも制動ができるならタマラック、オクラホマ、GSなどを試してみる。おそらくGSDでは制動が困難だと思われるためGSD簡単にチェックで終わると思われる。
この中で一番いいのはGS。ただし底屈制動のため、油圧が負けないかを評価していく。負けてしまうようならタマラックorオクラホマ→金属支柱と制動力を上げてみる。
また、GS使用の際は倒立振り子が機能するかもチェックしていく。

効果判定として
・踵接地が生じるか?
・バックニーが制動され、立脚中期〜後脚にかけて背屈が生じるか?
・それに伴いクリアランスもよくなるか?
・上肢のトーンも落ちるか?
・歩幅が上がるか?
・歩行スピード上がるか?

などをチェックしていく。

〈いつ作製するか?〉
機能は改善傾向にあると考えるそのため、評価用の装具でフィットするのがあればまだ作製はしない。あうタイプが無ければ早期作製も考える。その場合は2つ作る可能性がある事も説明する。
改善していくと考えるため現時点では退院時に装具が必要かは判断が難しい。経過をおって判断していく形になるが、退院3ヶ月前には判断をして作製するか?何を作製するか?を判断していきたい。

〈その他〉
本人のhopeや環境により作製装具は変わる可能性がある。
55歳女性ということでオシャレの希望があるかもしれない。そのため、装具なしで歩ける事を第一に考える。装具が必要な場合でもなるべく靴を選ばないものにしたい。それでもトーンの問題などから金属支柱などになる場合は目立たない工夫や靴(足部プラスティックの場合)などを提案する。

なんてことを考えて治療と装具を考えていきます。

装具を知ることは大切ですが、装具だけの知識では戦えませんね、、、

クリニカルリーズニングは1日にしてならず。続けていきますね。

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