蹴り出しの改善。筋腱複合体について5

蹴り出しの改善について。筋腱複合体を詳しく学んでみたいと思います 5。

筋のパワーは0?

図は歩行時の腓腹筋の筋、腱、関節のパワーを示しています。赤いラインが歩行時の筋のパワーです。

速度×力=パワーが式となります。

パワーってのは仕事率。難しく感じる方は、どれだけ物を動かせるかって思ってください。

足を蹴り出したり、持ち上げるにはパワーが必要です。このパワーは筋によってもたらされていると考えるかもしれません。

しかし、図ではパワーは0になっています。

足を持ち上げる、蹴り出すには筋は必要ないってことになります。なぜこうなるのでしょうか??

先程の式をもう一度見てみます。

速度×力=パワーになります。歩行時の腓腹筋はアイソメトリックつまり等尺性収縮をしているため筋肉の長さは変わりません。長さが変わらないということは速度変化がないということです。つまり速度が0になります。

そのため先程の式の速度が0になるため、パワーも0となっていきます。

2枚目の図をみていくと、歩行時の腓腹筋EMGでは筋放電が強くみられています。

収縮はしているけど、長さは変わらないというのが歩行時の腓腹筋の収縮様式になります。

ここでわかるのは、伸びているのは腱であり、その腱が伸び縮みすることによって、蹴り出しのパワーを生じているということです。

つまり歩行時の蹴り出しは腱の伸び縮みが出ないと、正常になっていかないかもしれないということになります。

続く。


参考文献
福永哲夫 Sports medicine 110 特集 筋腱複合体ここまでわかった筋腱のふるまい 2009

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?