社長の経営判断で会社が潰れかけた話と、そこから起きた「2つの奇跡」の話。
こんにちは。個人と企業のワークシフトで「新しい仕事のカタチ」を実現したいLiB松本です。
本日LiBから「コーポレートアイデンティを刷新し『ワークシフト』支援企業へ」というリリースを発表しました。
実はここ2年ほど腰を据えて会社の構造改革に取り組んでいたので、意図的に僕も会社もオフィシャルな発信をほぼ止めてきました(長かった。。)
なので「LiBってどこいったの?」という状態かと思いますが、この公式リリースでは伝わりきらない2年強の構造改革の裏側を赤裸々にお伝えしたいと思います。
時間のない方は要約だけでもお読み頂けると嬉しいです。
要約
LiBは既に「女性向けの人材会社」ではありません
LiBはこの2年強で、採用Deckでも公開してますが経営機能のほとんどを取り替える大掛かりな全身手術を実施しました。
この構造改革により既に「LiB=女性キャリアだけに特化した会社」では無いのです。
じゃあ「ピボットしたのか?」と問われると、それでもありません。
というのが結論です。
結果、LiBはパフォーマンスが最も高まるワークスタイルを求める個人と、それが叶う競争力のある組織づくりを実現したい企業に、それぞれのアップデートを支援する「ワークシフト支援」の会社として生まれ変わりました。
なぜワークシフト?女性支援はどこにいったのか?
LiBは2014年の創業以来、女性活躍推進や女性のライフキャリア支援事業を展開してきました。
7年間の事業活動を通じて確信したことは、女性活躍を妨げる数ある要因の中でもセンターピンは「時間と場所の制約」であり、それらを解決するには、企業の働きかた改革がMUSTという事実でした。
よってLiBはコロナが到来するはるか前より、多くの企業にフレックス・リモート勤務などのスマートワークを提案してきましたが、オフィス重要論やリモートワーク否定論など従来の成功体験から来る固定概念の壁は高く、LiBは苦戦を強いられていました。
そんな中、2020年からの新型コロナ拡大をきっかけに、リモートワークの普及が急激に進みました。コロナは功罪ありますが「働き方のアップデート」という僕たちが願い続けていた1点については神風そのものでした。
LiBが扱う求人も2022年1月には80%以上がリモートワークOKとなり、子育てをしながらフルタイムリモートワークでキャリアアップを実現している女性はもちろん、好きな場所に住みながら自分らしい生き方を叶えている管理職の男性など、新しい事例も自然と増えてきました。
リモートワークをはじめとした柔軟な働き方による「時間と場所の制約」からの解放は、女性はもちろんのこと、あらゆる人々の活躍を広げる可能性を秘めていると確信した僕たちは、
この機を逃すまいと、女性キャリア支援で培ってきた知見を活かしながら、企業と個人が時代の変化に適応するための「ワークシフト支援」に舵を切ることに決めました。
また、日本全国から場所を問わず正社員を募集し始めたメルカリさんやZホールディングスさんなど、優秀な人材の採用に積極的な企業ほど、いち早く新しいワークスタイルの導入に踏み切っているように「社員の働きやすい環境の整備は、優秀な人材の獲得につながり、企業成長や競争力強化のために必要不可欠」という流れも、僕たちの意思決定を後押ししました。
LiBが提供するワークシフト支援とは?
この激しい変化に適応するためには、個人も組織も、両者の出会い方も、その全てがアップデートされる必要があります。LiBは事業を通じてその3つがアップデートされる仕組み(=企業と個人のワークシフト支援)を提供していきます。
まず第一弾として、働き方の柔軟性は個人と組織が高いパフォーマンスを発揮するためのものであるという想いを込めて
というコンセプトで、新しい働き方と活躍を叶えるジョブマッチングサービス「LIBZ」をリリースします。
と、整理して書くと綺麗な流れに見えますが実態はそんなはずもなく笑。
ここに至るにはタイトルにも書いた通り、社長である僕の致命的な経営判断ミスと、そこから自分と会社を救ってくれた2つの奇跡がありました。
新しく別会社として立ち上げるなら話は早いですが、大切なものを残しながら実態は別物にすり替えていく構造改革は想像以上の難易度でした。僕たちはこのプロセスを「換骨奪胎(かんこつだったい)」と表現し、まさにそれと戦いつづけた2年間した。
この失敗と復活を通じた換骨奪胎のプロセスを開示することで、LiBと同じく理想と現実の間で戦っている人たちに少しでも勇気をお裾分け出来ればと、恥を忍んで僕の過ちを公開します。
焦りから無理筋なIPO計画、PMF前の踏み込み、そして破綻
2014年の創業から数年は順調に事業を拡大していました。前職をIPOに導いた実績を買って頂き、プロダクトも無い状態で7000万ほど調達、そこからも何度か非常に良い条件で資金を調達、創業3年目には組織も50名超、売上も毎年150〜200%で成長し、監査法人も入れIPOの準備も進み・・・と
もちろん色々なハードシングスも同時並行でありましたが、それを差し引いても客観的には「順調に立ち上がっている風」だったと思います。
ただ社長の僕は、実態としてのLiBが薄氷の上を歩いているような非常に脆い状態であることを誰よりも分かっていました。
ただそれはどんなスタートアップであっても似たりよったりで、初期から圧倒的に強いプロダクトやMoatを構築できている会社の方が稀だと思います。
まだ何者でもない会社が、必死に作った小さな種火を、なんとか勢いのある炎へと膨らませ、その勢いのうちに「嘘から出た真」よろしく、本当に何者へと成長していく。そんなシーンを数多く見ていた僕は
と、いま思えば「何をそんなに焦っていたのだろう」と思うほど、常に焦りを抱えていました。
一方で創業以来、非常に優秀かつコミットが強い仲間に恵まれたLiBは、プロダクトや事業の実力以上に、その勢いとセールスの力で業績だけは伸び続けていました。
その実力以上の業績が焦りと結びついた時に「この勢いがあるうちに(剥がれないうちに)IPOを実現し、そこで得る資金と信頼を武器に、実態と実力を追いつかせよう」という早計な意思決定へと結びつきました(と今なら理解できます)。
分かりやすく言えば「PMFしきっていない事業にも関わらず、短絡的に踏み込んだ」ってやつです。まさにこれが会社を潰しかけた最大の判断ミスです。
その結果、50人だった組織が半年足らずで120名(!)を超える規模に膨らみ「半年後にはTVCMを流すぞ!」という狂気の計画が進行していきます。
しかし事業も現実も、そんなに甘くありません。
実力とは乖離した無理筋な計画を立て、それをコミットが強い社員が追いかけ、社内の至るところに無理ゲーが発生する。
いつの間にか社内からはビジョンやミッションに関わる会話が減り、目標・KPI・達成or未達成・上場スケジュールなど内輪都合ばかりの会話が増えました。
そしてそれは本来ビジョン共感が強く集まったLiB社員たちを傷つけ、確実に組織を蝕んでいきました。
結果、分かりやすく退職率が上がり、社内には不穏な空気が流れ、それに伴い事業成長も止まり、あっという間に踊り場に立たされました。
いま思えば分かりやすく崖に向かって暴走し始めている列車でしたが、それでも当時の僕は、一連の計画にブレーキを踏むことに躊躇していました。
スタートアップ経営で言われる色々な言葉や、勝手な責任感が自分自身を縛りつけ、当時の僕は「ここまで社員や組織に無理をさせてまで俺は何がしたいんだ・・・」という後悔の念と、一方で「ここで逃げ腰になる事こそリーダーとして無責任だ・・・」という自己矛盾の間で悩み続けていました。
前職で1度上場を実現していた僕は、それがあくまで通過点であり経営の選択肢を増やすための手段であることは重々理解していたつもりでした。
ただ、やはりそれが具体的なスケジュールになり、自然と関係者とのコンセンサスへと進化すると、いつの間にか自分自身を強く縛る鎖となっていたのです。
しかし、そんな無理筋な計画にとどめを刺す出来事がおきました。上場までのランウェイを確保するために動いていた大型の資金調達が失敗したのです(※)。
色々な表現で優しくFB頂きましたが、要するに「まだ明確な強みが確立された事業ではない」という客観的な評価が、自己矛盾のはざまで苦しんでいた僕を現実に引き戻しました。
「こんな未完成の状態で仮に上場しても誰も幸せにならない。であれば潔く計画を白紙に戻して、事業と組織に自信が持てるまで出直そう。そしてもっと大きな絵を描いて堂々と再挑戦しよう」と、やっと自分を取り戻すことが出来ました。
そして残ったのは「成長が鈍化した事業」「疲弊しきった組織」「膨大に膨れた固定費」という壮絶な状況でした。
漫画のように現れた救世主たち
このように列車が崖に向かって走っている最中、もう1つ別のドラマが進行していました。
上場に向けて「強い幹部を増やそう」と行動を続けていた中で、その後のLiBを救出することになる主要な登場人物たちと、立て続けに出会う奇跡に恵まれました。
手前味噌ながら、LiB幹部は酸いも甘いも経験した大人ばかりです。当時、客観視を失い「あと2年で上場です!半年後にはTVCMです!!」と能天気にのたまう僕の寝言を信じて入社を決めた人はいないと思います。
そんな大人たちが、見るからにヤバそうな社長とLiBに何故かかわることにしたのか?は、これから発信される本人たちのnoteに譲りますが、きっとこんなところだと思います。
なのでハードシングスの最中で苦しんでいる経営者の方に声を大にして伝えたいのですが、やばい状況の時こそ、包み隠さず優秀な人材にヘルプを頼ったほうが良いです!(口説くと言うよりも助けてくださいと頭を下げる)。
世の中には、既に良い会社には「自分の出番じゃない」と見向きもせず、ハードな状況こそ「腕まくりして自ら沼地に入っていく」という変態属性が確実に存在しますw
そしてそんな変態たちこそ、理想と現実の最中で苦しむスタートアップにとっては救世主だったりします。
焦り故に会社を逆走させた当時の僕を褒める点はどこにもありませんが、その反面、消しされない不安を少しでも払拭すべく、沢山の人に出会い、沢山の人にLiBを語り続けたアクションだけは正しかったと思います。
LiBを救った「客観視」
そんな逆走モードを止めてくれたのは、資金調達失敗時の「客観視」もありましたが、一番のきっかけは新しく入社したばかりの幹部たちが、LiBに染まり切る前に「耳の痛い提言」で僕に客観視を提供してくれたことだと断言できます。
恥をしのんで当時、僕に正面突破された提言を公開します(※一部の特定情報だけ編集)。これをハッキリと伝えてくれる人材の貴重さたるや。。
ご本人の名誉の保護のために名前は伏せますが、これだけハッキリと言ってもらえると、さすがに馬鹿な自分も目が覚めます。
※火の玉ストレートフィードバックをくださったKさんのnoteはこちら。併せて読んで頂くとリアルに伝わります(【副音声版】社長の経営判断で会社が潰れかけた話と、そこから起きた「2つの奇跡」の話。)
なぜならその提言のほとんどが、自分も心のどこかで分かっていたが見て見ぬ振りをしていたものばかりだったからです。
ここから、自分とLiBの身の丈を知り、勘違いと現実のギャップを埋める旅がスタートします。
書き出したらキリがないですが、平たく言うと会社が「どんどん透明に、どんどん誠実に」なっていき、言行一致に近づいていきました。
まさに新しいLiBが事業を通じて提供したい「客観視によるアップデート」そのもので、LiBは復活することができたのです。
唐突にやってきた新時代
そんな改革の最中、コロナが訪れました。
まだ会社が傾いている最中だった我々は「転職ビジネスは景況感の影響をモロに受けるぞ・・・」と、泣きっ面に蜂で、正直、倒産も脳裏によぎりました。
が、蓋を開けてみたら冒頭に書いたように、それは(僕たちにとっては)神風でした。
もちろん短期的には大きく業績も毀損し、アルバイトさんや業務委託の方、有期雇用の方々との契約を満期を持って終了するなど組織規模も縮小し、、、と胸が痛く、眠れなくなるようなハードシングスを味わったのも事実ですが、純粋に事業だけを見れば社会の流れが大きく変わった事が本当に大きかった。
結果、LiBがどれだけ頑張っても開けなかった「新しい働き方」という扉が、驚くほどのスピードで広がっていきました。
今までどれだけ頑張ってもご支援できなかった様々なマッチングやお仕事の提供などの事例も生まれ、「新しい働き方」は僕たちがユーザーに提供する価値の量も質も大きく変化させました。
起業し事業を立ち上げて7年、「チャンスと思ったらピンチだった」みたいなことばかり繰り返してきた僕は、まさかこんな形で「ピンチと思ったらチャンスだった」が来るとは予想もしませんでした。
「事業は無理やり伸ばすものじゃなくて、時代の要請で伸びるものなんだよ。だから経営者は時代の変化と事業の変化を、重ね合わせ続ける努力が必要なんだよ」と以前、先輩の経営者に教わったことがあります。
まさにLiBの事業と時代の変化が重なった、創業して初めての出来事でした。
これからのLIBについて
僕たちが掲げる大きなテーマに対しては、まだまだ実現したいことの1割も満たない状態ですが、それでも
自分の経営判断ミスによる会社の危機、そしてそこから会社を救ってくれた「救世主たちの登場」、「新しい働き方の到来」という2つの奇跡。
これらの物語が1つの節目を迎え、こうしてLiBはミッション・サービス・ロゴなど全てを一新し、リブランディングして再スタートすることが出来ました。
今回の発表は「これからLiBはこのように生まれ変わります!」と先に風呂敷を広げるスタートアップ的な広報はしない、と固く決めていて(これも新LiBらしいカルチャーです)
「(黙ってましたが)実はこう変わってました!」と、先に実績とファクトを作ってから答え合わせをする伏線回収型の広報をしようと準備してきました。
なので、これらの発表を見てもらってLiBを覗いてもらっても、ギャップは限りなく小さいと思います。
個人の方へ
もし新しいLiBが掲げるミッションや、実現したい世界観、そして僕たちが大事にしているカルチャーに少しでも興味を持って頂けたら、
社員でも、アルバイトでも、業務委託でも、数時間の副業でも、地方からのフルリモートでも、海外からでも大歓迎ですので少しだけでもLiBを覗いてもらえると嬉しいです。
企業の方へ
コロナがもたらした「ワークスタイルの変化」「個人の価値観の変化」によって、採用や社員活躍といったHR領域は激動の時代になると思います。
そんな中で「社員の働きやすい環境の整備は、優秀な人材の獲得につながり、企業成長や競争力強化のために必要不可欠」という流れも言わずもがななのですが
それ以上に僕が経営者の皆さんに提案したいことがあります。
それは新しい働き方を最大限に活用することで、今度こそ本当に「性別を超えた活躍が溢れる未来」を日本で実現しませんか?ということです。
少子高齢化で労働人口が減り続ける日本にはもう時間は残されていません。老若男女が自分らしい形で社会に参加し、それぞれの活躍を実現する。
自己実現や活躍の機会にジェンダーや国籍なんて関係ない。そんな未来を一緒に作り、次の世代に残しませんか?
お伝えした通り、LiB自身も「客観視によるアップデート」と「新しい働き方の実践」の2つでどん底から復活することが出来ました。
僕たちは自分たちを救ってくれたこの2つの仕組みを、人材の採用や、社員の長期活躍、ダイバシティの実現などの課題を抱えている企業の方々に、具体的な事例とともにお伝えし、支援したいと願っています。
新しい時代の採用手法や、マネジメント手法に興味がある方は、ぜひ一度LiBまでご相談頂けますと幸いです。
LiBのサービスは基本は「成果報酬型」としてLiBが価値提供する前にお金を頂くことが無いのが特徴です。
最後に、LiBのOG・OBの皆さんへ
ハードシングスの最中、色々な理由や色々な思いで、LiBを卒業する決断をさせてしまった皆さんの事をずっと心痛く思っていました。
でも、みんなが関わってくれた事がすべて今のLiBに繋がっています。
風の噂でそれぞれが活躍している話を耳にするたびに、嬉しく心が救われる思いでした。多くのメンバーが「生きるをもっとポジティブに」という同じ想いを持って、それぞれの新天地で活躍している事を心強く思っています。
「経営改革を進め、いつか胸を張って報告ができるタイミングが来たら、ちゃんとみんなに近況報告しよう」と胸に誓ってこの改革に取り組んできました。そして2年が過ぎ、ようやくこのような発信が出来るところまで来ました。
もし今回の発信や、今のLiBの状況を僕以外の社内メンバーからも聞いた上で、またLiBと一緒に挑戦したい方がいれば気軽にご連絡ください。お互いの近況報告からフランクにキャッチアップできればと思います。
僕も、辞めた皆さんがLiB出身だと胸を張って言えるような会社であり続けるよう引き続き頑張ります!
以上、長文にお付き合い頂きありがとうございました。
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