引地と北のあいまいなハタチの記憶 #1
20周年スペシャルコンテンツ 引地と北の「あいまいなハタチの記憶」
このコンテンツは今年12月19日にデビュー20周年を迎えるRAG FAIRとINSPiの歴史を、メンバー引地洋輔と北剛彦が振り返るものです。RAG FAIR、INSPiの活動で思い出されるキーワードとともにその年の活動を掘り下げていこうと考えてはいるものの、人の記憶はあいまいにつき・・・。
後に他のメンバーやお客様から記憶違いをご指摘いただくことも大いにありそうな、そんなリレー記事。毎月半ばと末に更新予定です。特設サイトのHISTORYも合わせてご覧ください。
#1 「ボックス踏んでる大晦日」 RAG FAIR編(2001年)
引地 えーと、これは質問に答えればいいんですか?
ひきち はい、私がキーワードを提示しますのでそれにまつわるお話を。
引地 あの、失礼ですがどちらさまで?
ひきち 20年前のあなたです。会話形式のほうがやりやすいんじゃないかと思いまして。
引地 あ、私ですか。どうりで若い割にしっかりしてる感じだ。まだ腰も痛くなさそうだし。
ひきち ・・・そのうち痛めるんですね、腰。
引地 ギックリするから、気をつけて!っていくら言ってもなるんだね、私だから。
ひきち 記憶の答え合わせをしていく感じでお話しできればと思います。間違ってたら、他のメンバーとかお客様に指摘してもらうということで、まぁラフにいきましょう。早速ですが、最初のキーワードはこちら。
「ボックス踏んでる大晦日」
引地 これは覚えてる。2001年、デビューの年だ。
ひきち はい、正解。ちなみに2001年の日本の出来事としては
東京ディズニーシー開園
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン開園
Suica登場
などなど。
こんな感じです。
引地 ディズニーシーは開園前の特別番組で歌ったなぁ。なんでサングラスかけて帽子かぶってたんだか。
ひきち 定まってないですねぇ。
引地 定まってないね。メガネかけてたからスタイリストさんにサングラス渡されたのかな?夏に収録したけど、その時まだデビューするとか思ってない。
ひきち そっから半年後の大晦日にはステップ踏んでるみたいですけど?
引地 うん。大晦日の昼間っからボックスステップ踏んでた。あ、昼間っからって言ったけど「ボックスステップは夜でしょ!」って話も特に聞いたことはない。
ひきち 定まってないですねぇ。これはレッスン受けてたってことですか?
引地 そう。プロのダンサー、振付師のお二人から。「あの」SPEEDを担当していた女性と、当時まだ男性だったカバちゃん!のお二人ね。「1,2,3,4〜右左右左」で足を交互に動かして、四角形を描くやつを教わってた。
ひきち 振り付けとか未経験ですよね?
引地 未経験のレベル1ね。ぬのの服とひのきのぼう。なのに比較対象がSPEEDだよ?この時期は環境変化が速すぎてこれぞスピード違反。
ひきち ・・・。
引地 デビュー日は12月19日。ミニアルバム「I RAG YOU」をリリースしてお台場のZepp TokyoでINSPiとライブ。そこから2週間ほどの大晦日にレッスン受けてたのは、年明けにファーストシングルのリリースが決まってたから。
ひきち それが「ラブラブなカップル フリフリでチュー」ですね。ではそのレコーディングも2001年に済ませていたってことですか。
(ラブラブなカップルフリフリでチューの原曲CD。この曲が唯一のオリジナルだったことだけでなく、この変なタイトルだったこともファーストシングル化の決め手。)
引地 全部ギリギリだったね。ギリギリアウトもあったし。
ひきち アウト?
引地 デビューのミニアルバムってケースの後ろ見ると妙な余白があるでしょ?あれ、曲順決めるのが間に合わなかったのよ。後からサインスペースにちょうどいいってことにしたけど。
(なんとも贅沢なスペースがこちら。ん?ひとりこっち見てる男がいる。。)
ひきち 当時はサインもレコーディングも全部未経験?
引地 もちろん。サインは「お願いします!」って言っていただくようになって、「え?サイン?考えなきゃ!」とモスバーガーで考えた。
(なるべく一筆書きに近くなるように考えて詰め込んだサイン。現在も使用中)
引地 レコーディングは12月のリリースなのに11月末か12月アタマまでやってた。
ひきち それはアウトだ・・・。
引地 印刷に時間かかるとか知らないからねぇ。録音の仕方も「普段はどうやってレコーディングしてるの?」ってエンジニアさんに聞かれて、「えーと、天井の高い響くところでMDに録音してます」って本気で答えたからね。
ひきち エンジニアさんもアカペラレコーディング未経験だったんですね。
引地 だから、最初の2,3曲はひたすら6人でブースに入って「せーの」で一発録り。数十回ひたすら。
ひきち それがダンス天国とHound Dogあたりですか。
引地 時間ないからそれが早いと思ったんだねきっと。ひとりがちょっと間違えたら最初っからやり直すんだから、早いわけがない。(笑)
ひきち ダブル(同じパートを重ねて録音すること)とかしてる曲もありますけど?
引地 Magical Mystery Tourで初めてダブルでコーラス録ったとき「なんですかこれ?なんかゴージャスですね」って嬉しくなって、家まで帰る埼京線の終電でその録音ずっと聴いてた。
ひきち 満員の埼京線でニヤニヤしながら?
引地 危ない人だよね。それがひとりじゃなくて、加藤さんとかも一緒で複数だからね。周囲から見りゃほんとミステリーツアーだろうね。
ひきち ・・・。
引地 そのアルバムの作業の途中かな、「デビューシングルはどうする?」って話が出てきて。そこで初めて「プロデビュー」ということを考えた。それまではあくまで記念に一枚CDを作ってみようって話だったから。
ひきち 人生の分岐点!
引地 就職決まってたり、他の形で音楽をやろうと思ってたメンバーもいたから、それに比べると自分は相当軽いノリだったほうだね。大学卒業できないの分かってたし、流れのまま一年くらいやって考えよう、と。
ひきち あぁ、やっぱり私4年で卒業できないんですね・・・。
引地 すまん、8年半かかる。でも卒業はするから大丈夫!ただその先ずっと卒業できない夢を見る。
ひきち (全然大丈夫じゃないな・・・)
引地 楽しいからだけで歌ってた大学生とフリーターの集団にとんでもないことが起きてたんだなぁ、と気づくのはもっと後だな。当時は流れのままに、という感じで。
ひきち そもそもなんでそうなったんですか?
引地 ライブのチケットを路上で手売りしてた時期に、おっくんが「力の限りゴーゴゴー!!」でハモネプの前身コーナーに出たの。RAG FAIRを見にきてくれる高校生と一緒に。で、それを観て「一回くらいRAG FAIRも出してもらえないかね。ライブチケット売れるかもしれないし」
「わかった、言ってみる〜」
ってメールのやりとりを深夜のコンビニバイトの合間にしたの。
ひきち そしたら?
引地 一回出してもらえて、そこから「次は北海道ロケにも来てください」「ディズニーシーの開園特番があります」「THE夜もヒッパレにも」ってどんどん進む、という。北海道の夜にCDを出しませんか?って話をされたのを覚えてる。
ひきち 売りたかったライブのチケットは?
引地 テレビ出たら即完売してびっくりした。
ひきち スケールが急にデカくなってきましたね。
引地 今なら笑えるけどメチャクチャだからね。(笑)「THE夜もヒッパレ」に出た時なんて、どうしていいかわからず全員ずっとうつむいてんだよ?もう何が何だか。
ひきち そこからライブの規模も大きくなり?
引地 INSPiとか色んなグループと「Vocal Night」っていうシリーズで1000人規模もやったと思う。それでもライブ経験そんなにないからね。そんな中決まったデビューライブがZepp Tokyoで、しかもテレビでゴールデンの生中継あり。
ひきち そのライブ「Vocal Night#7」はRAG FAIRのトークが長すぎてINSPiの曲数を減らしちゃったとか。
引地 生中継の時間は決まってたから「どうすんだ!」ってなって・・・。謝ったよそりゃ。
ひきち 30分とか平気でしゃべってたらしいですね。
引地 そうなんだよ。昔はそういうライブ結構あると思う。タチが悪いのはその時本人たちが長いことに気づいてない。(笑)
ひきち 気づいてないと思いますけど、このインタビューも結構長くなってきましたよ。本当はもうひとつ別の年の話も聞きたかったんですけど。
引地 え?そうなの?
ひきち まぁ、毎回ひとつの年に絞ることもないですし、今後複数の回があればその時に。
引地 この振り返りって、INSPi北くんもやるんでしょ?それもインタビューはあなたが?
ひきち ・・・その辺も定まってません。というかこの記事の形式も定まってないので、次回のRAG FAIRの回に私がいるかどうかもわかりません。
引地 ・・・さよなら言っとこうか?でも毎回違ってもいいんじゃない?とりあえず次回は北くんが振り返るINSPiの回だね。2001年を書くならちゃんと「デビューライブで曲数が減った件は、洋輔さんに丁寧に丁寧に謝ってもらった」って証言してほしいね。
ひきち だといいですが、次回を楽しみにしておきましょう。
#2へ続く