「逃げ癖」ではなく「学び癖」を。本気で成長したい20代に伝えたいこと。
こんにちは。辻です。
ようやく秋らしい気候になってきましたねー。
先日、ワタベ君と壁打ちをしているうちに、「20代、30代の未来ある若者たちに向けたメッセージ」を書きたいなと思ったので、今回はそのテーマでいきたいと思います。
ワタベ君というのは、最近、僕のアシスタント的な役割で社長室に配属された30歳くらいのメンバーです。今年から初の試みとなる「CEO補佐」という社内公募に手を挙げてくれた勇者です。
元体育会ラグビー部出身で、休日は高校生にラグビーの指導もしているというワタベ君は「後輩育成」に対する考えもしっかり持っていて、話をしていると僕もいろいろと勉強になります。
最近の高校生の様子はどうなのかと聞いてみると、「多様な情報にアクセスできる時代だからこそ、“正解”がわからないので、すぐに他者に“正解”を求める傾向が強い」とのこと。なるほど~。
いろんな選択肢がある中で、最も早く、確実に結果を出せる“正解”は何なのか。迷ったり、焦ったりする気持ちはよく分かります。僕も特に若いころは、正解を探していました(なんなら今だって「早く正解にたどり着きたい」と日々もがいています、正直なところ)。
でも、いろんな失敗や試行錯誤を経て、少し気づいてきたことがあります。
結局、どこにも絶対的な正解はない。いや、あるのかもしれないけれど、「正解」と判定する軸は一つではないし、時代によって評価も変わるものだから、絶対無二の正解は存在しないのだろうと。
「正解を求め続ける」のではなく、「自分が選んだ道を正解にする」という思考を持つほうが、結果的に成功する可能性が高くなり、ブレイクスルーする確率は高くなる気がするのです。ここで難しいのは、「自分はどんな道を歩みたいのか?」ということを見つける点と、「選んだ道を正解にする」ための実力をつける2点。
「どこかにあるかもしれない正解を探す」というマインドを持っていると、どうしても短期的な視点で損得を考えてしまって、楽で簡単に見えるほうを選んでしまう癖がついてしまうのではないでしょうか。
また、自分ではなく、他人にどうみえるのか?ということが気になってしまいがちで、「自分がどうありたいか?」という一番大切なことと向き合う辛さから逃げ出してしまいがちです。
傍から見ていて、せっかくもう少し頑張れば、今ある場所で踏ん張れば、次のチャンスをもらえるはずなのに、転職を繰り返して伸び悩んでしまっていたりする人が時々いて、心底「もったいないな~!」と思います。
特に若いうちは、自分が成長している実感を持ちにくいのかもしれませんが、僕自身の経験をふり返ると、つらいとき、しんどかったとき、歯を食いしばっていたときにこそ、振り返ってみると力が身についていたなあ、と感じます。
例えば、28歳でソニーの経理部からマネックス証券のCEO室に出向したとき。創業者である松本大さんの「金融市場を変える」という壮大なビジョンと気概に感銘を受けての立候補でしたが、当時のマネックスはまだ社員40人ほどの規模で、CEO室といっても僕一人。経営はもちろん金融についても無知で右も左も分からず、毎日が冷や汗たらたらモードでした。
松本さんはじめ経営陣が口にした専門用語をノートに書き取っては、帰宅後に調べてなんとかついていく日々。当時は、日々ヘトヘトでしたが、松本さんのそばで“経営者視点”を見せていただいた経験が、今につながっていると確信しています。
だから、もしも目の前に「本気で成長したい」と願う若者がいたとしたら、僕は「選択肢の中で一番厳しい環境に飛び込むといい」と伝えると思います。そして、「そこで、逃げ出さず、結果が出るまで諦めずに踏ん張ってほしい」とも。
隣の芝が青く見えて、逃げ出したくなったとしても、しんどい局面を乗り切った後には絶対に力がついていると思います。
また、ビジネスを長年やっていると「信頼」こそが最も大切なアセットの一つだと気づきます。誰もが簡単に早くできる仕事ばかり選ぶ人と、難しい仕事に最後まで逃げずにやり切る人と、どちらが信頼できるのか? どちらと仕事をしたいと思うか、答えは明白ですよね。
難しいことをやり切るには、知恵を絞らなければいけないし、周りの人の力も借りなければいけません。専門書を買って勉強する必要も出てくるでしょう。つまり、努力の行動量が圧倒的に増えるということ。だから、自然と「成長」がついてくる。その辛いプロセスでのたうち回るからこそ、必死に考え、実行するからこそ、実力がついてきます。
また、難しいことから逃げださずに、最後まで向き合って、やり切った人は周囲から信頼され、もっと面白いチャンスを呼び込むはずです。成長のサイクルが高速回転していきます。
つらい局面をどう乗り切るかというストレスマネジメントのスキルも、生涯にわたって役立つ武器になると思います。
加えて(ここがポイントなのですが)、その努力の過程で身に着く情報に対するアンテナや交渉力、粘り、教養、愛嬌、縁といったいろんな要素が、後々にビジネスで結果を出すために欠かせない総合力につながっていきます。
この総合力こそが、ビジネスという複雑解を解く大切なカギではないだろうか。僕はそんな仮説を持っています。
ブラック企業は論外ですが、オーバーワークを防ぐ配慮もある中で自分の力を思い切りストレッチできる環境を選べるなら、ぜひ選んだほうがいいと僕は思います。
そして、最後に大事なことをもう一つ!
つらい時こそ、ケタケタ笑って過ごすのも大切だなあと。
楽しそうに笑っている人の元に、人は集まってきますし、周りの人にもプラスのエネルギーが伝播します。
特にリーダーは、辛い時ほど笑っていないといけないなあと思っています。
ずっと気難しい顔をしているリーダーに対しては率直な意見を言いにくくなり、そのうち、部下から悪い情報はあがってこなくなり、本当のことが見えなくなってきます。
僕が尊敬する経営者の先輩方を見渡しても、めちゃくちゃ大変そうなときほど「しんどいね~」と笑いながら前を向いていらっしゃいます。
笑う門には福来る。でもその内実は、笑顔の奥には真剣に悩んでいるし、不安も抱えているのだろうと想像します。先日、初めて社外取締役とのミーティングに同席した若手のリーダーが、終了後に感嘆の表情で一言。「取締役の方々のように、たくさんの経験を積み、立派な肩書きを得た人は、あまり迷わないと思っていましたが、実際は迷ったり、悩んだりするんですね」と話してくれたことがとても印象に残っています。
いくつになっても、魅力ある方々はがむしゃらにもがいている。
もがきながら、学び続けて、成長して、笑っている。
そんな先輩や仲間とこれからも出会っていきたいし、僕自身もそうありたいなぁと思います。
「とかいいながら、辻さん、サボってるんじゃないの~?」と突っ込まれないように頑張ります(笑)。