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あなたのチームは、攻撃的、守備的か?ボール保持率というノイズ。大事なのは、攻撃回数。
サッカー中継では、試合中に「ボール保持率」というスタッツが視聴者に紹介されることがままにある。
この数字を見て、「えっ、実感と違うな」となることはないだろうか。
結論から言おう「ボール保持率」はノイズなのである。
そのノイズを取り払ってみると、聞こえてくるのは、「攻撃回数」というビートである。
一般的に、ポゼッション率と攻撃回数が比例するのが球技である。例えば、アメフトやラグビーを思い浮かべよう。
ここで考えなければならないのは、アメフト等は手を使う競技なのに対して、サッカーは足を使うということだ。そのため、あらゆるプレーの成功率が他のスポーツに比べ、低くなる。
プレー成功率を考えるとき、最も重要なのが、「目」と「ボール」の距離である。例えば、ゴルフを考えてみよう。ゴルフは、止まっているボールを打つ競技である。なのになぜあれほど難しいのだろうか。例えば、ドライバーでティーショットを打つとする。その時の目とボールの距離はおよそ2メートル弱になる。だから、ゴルフは難しいのである。
同様に、サッカーの場合でも「目」と「ボール」の距離は、おおよそ自分の身長になる。しかも、動いているボールを蹴るのだから、さらに難しくなる。
サッカーを解析する場合において、最も重要なのは、サッカーは失敗のスポーツであるという前提である。すなわち、成功が少ないスポーツなのである。
そのため、多くの失敗から成功を得るには、多く試行をすることが重要になる。すなわち、攻撃回数が重要になる。
攻撃回数とは、何か?Football LABを見てみよう。
攻撃回数とは、「ある特定の状況において例外はあるものの、ボールを保持してから相手チームに渡る、もしくはファウルやボールアウトで試合が止まるまでの間を1回の攻撃と」してその総和をあげたものである。(https://www.football-lab.jp/pages/about#jstats)
ざっくり言えば、自チームがボールを相手から奪い、攻撃の意思をもってプレイした回数である。
(ここで、攻撃の意思という主観的要素を入れざるを得ないのは、サッカーには「クリア」という攻撃権を放棄する事象がかなりの頻度で起こるからである。)
さて、Jリーグの第19節までのチーム別攻撃回数を見てみよう。
順位表に、攻撃回数を書き込んだのが下の表である。
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この表を見て、まず驚くのは最下位札幌の攻撃回数である。なんと、2位の122回も攻撃している。もう一つ驚くのは、G大阪の110回という数字である。最も攻撃回数の少ないチームが3位につけているのである。
攻撃回数が大事といっているのに、何だこれはと思われるかもしれない.
これをどう考えるか。ここからがSports Analystの仕事である。上記のような疑問を解くためには、「効率(efficiency)」という概念を導入しなければならない。つまり、量から質へと移行するのである。