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【ツイステ考察】茨の国にある元老院は茨の国の君主が長命である事に起因したシステム説

こちらの文章は、旧twitter(現X)で2024/1/19~2024/1/23にかけて書いていた

から始まるツリーの内容を(旧twitterの仕様が変わりツリー上にすると文章を追いにくくなった改悪に伴い)noteに加筆修正して移植したものになります。


前提

茨の国に元老院がある理由を考えたときに、茨の国がドラゴンというご長寿種族が君主である事に起因した政治システムであると考えると、一種の合理性があるのです。

今回ヒントにするのは大日本帝国時代にあった「元老」というシステムです。
そしてこの元老の破綻理由を考えると茨の国の元老院のシステムの合理性が見えてきます。
今回はツイステ作中の元老院の是非を問うものではなく、どのような意図により茨の国に元老院というシステムが生まれ継続しているのかについての一考となります。

元老院のシステムについて考える

今回は
・大日本帝国における「元老」
・史実の「元老院」
・作中でわかっている茨の国と妖精の寿命について
・上述の3点を踏まえた結論
計4点による構成で考えていきます。

大日本帝国における元老

今回茨の国の元老院のシステムの成り立ちについて考えた際に、前提として触れたいのが大日本帝国における「元老」です。 尚、明治初期にあった元老院と今回説明する元老はあくまでも別物になります。

「元老」とは、WW2前の日本で天皇の輔弼を行い、国家の重要事項に関与した重心を意味します。

【単語説明】 輔弼(ほひつ):大日本帝国憲法下において天皇大権の施行に過誤がないよう意見を進言する事 天皇大権:大日本帝国憲法下において国法上天皇に属するとされた権能の事。国務上の大権

元老は天皇の諮問に答え、内閣総辞職時の際の後継内閣総理大臣の奉薦に代表される重要国事に関与しています。 ただ、元老は内閣には影響が強すぎる存在であり、原則成立した内閣の存続をはかり、交代するにしても円満である事を望んでいましたが、第一次西園寺内閣の倒閣に動いています。

ここで問題なのは、そんな元老は公職ではなく資格等も明文化されてないふんわりとした曖昧な存在でした。 つまり、元老は政治において極めて大きな影響力を持ちながら、元老になる資格等は定められていません。 そして、この元老、そう簡単には増えないのです。

(誰を明確に元老とするか自体実は難しく論文によりますが) 原敬が暗殺された大正11年(1921年)の時点では
伊藤博文 暗殺
井上馨  病没
大山巌  病没
山縣有朋 病没
松方正義 高齢
西園寺公望 健在
であり更に1924年には松方が没した事により西園寺による元老1人制となります。
ですが、ここから結局元老が増える事はなかったのです。 旧憲法下では、政府・軍・宮中がそれぞれ独立して天皇を輔弼していましたがそれぞれ横の連携がありません。 その横の連携を実質的に統合して国家意思を一本にする役割を元老は担っていました。 しかし、実質的な制度ではなく法的な制度でもないのです。

元老がいなくなれば元老の機能を担っていた組織がなくなります。 元老が担っていた機能の一つが上述の総理大臣の奉薦です。
西園寺の死後、元老がなくなります。 元老の代わりに、総理大臣の奉薦という仕事だけは総理経験者である重臣と呼ばれる存在の合意によりなされるようになりました。

しかしここで問題なのは、総理大臣の奉薦という機能以外の元老が担っていた機能を受け継いだ組織が無くなってしまったという点です。 つまり、寿命と資格が曖昧な事に由来する元老のシステム破綻は、元老が睨みをきかせられなくなった事で政党の言うことを軍部が聞かなくなり軍部の暴走に繋がるのです。

史実の元老院

元老院自体、国や地域により性質が異なりますが、世界史上最も古い「元老院」は古代ローマの元老院です。 古代ローマでは、多くの一族を抱える有力者=貴族(パトリキ)であり、貴族に終身の元老院を構成させました。 元老院はラテン語で老いた者を意味するsenexが語源です。

senexから派生した言葉が年長者を意味するsenatusです。senatusが年長者会議という意味で使われるようになり元老院=senatusとなります。 共和政ローマで元老院は実質的な統治期間となりましたが、帝政ローマでは権限が縮小され、 正当な皇帝を承認する機関から、皇帝の諮問機関へと段階的に変化しました。

また、大日本帝国における元老とは別物であるとして触れた明治初期の元老院は、立法機関です。 ただし、緊急時は事後承認するだけになるなど権限は決して大きなものではありませんでした。 最終的には帝国議会開設のため廃止されています。

作中でわかっている茨の国と妖精の寿命について

茨の国に元老院がある事自体は花火イベでマレウスにより「国にいると、元老院の連中がいろいろとうるさいからな。」と言及がありましたがその程度で、元老院については7章が来るまで不明でした。

7章Chapter6で元老院についてある程度明らかになった点はありますが、元老院が登場したのはリリアの夢の中です。
その為夢の主であるリリアの主観・バイアスが反映されたものであり、そもそもリリアが元老院に対してよく思っていない人物である為、夢と現実の元老院では実態が異なっている可能性は留意しておきたい所です。

その上で茨の国の元老院はセベクの口から 「肉体が星に還ってなお、思念をこの地に留めている」存在であると明かされています。

画像を見るに緑色のふんわりとした曖昧な姿の思念体のようであり、姿だけ見ればゴーストとはまた別物なのでしょう。

また、議員A〜Gの存在が作中で確認されている事から元老院を構成する思念体は議員の座にあるようです。 更に議員のセリフは男性や女性の声が聞こえてくる為、どうやら元老院は性別を問わないようだと考えられます。

また、大日本帝国における元老とは別物であるとして触れた明治初期の元老院は、立法機関です。 ただし、緊急時は事後承認するだけになるなど権限は決して大きなものではありませんでした。 最終的には帝国議会開設のため廃止されています。

ただ、元老院に一応ドラコニア一族への忠義や忠誠の類はある事という1点は信頼しても良さそうです。

しかし、対人間との交渉どうするかそっちのけでこれです。
後継者が死に、茨の国内が混乱するのは想像に難くない中で銀の梟との戦後処理が残っている状況下にありながら、現時点で軍の最高位にいる右大将の辞任を受け入れてます。
そんな状況下でリリアが辞任を言い出すのはまた別で問題でもありますが…。

最も、マレウスプラチナの内容より、マレノアの幼馴染のリリアがコネ採用でほぼ確定と見て良さそうな情報が出てきました。

よって、能力に見合わぬ役職に就いてるリリアが自ら右大将の辞任を言い出した為これ幸いとクビを切り、これからの人事を元老院側に都合が良い者を差配しようとした可能性も勿論考えられます。

リリアの役職と能力が見合っていない=右大将に求められるのは腕っぷしだけじゃ無い、と言う説明については前提であげた記事を参照して下さい。

次に茨の国を治めるドラコニアについてです。 妖精がそもそも長命な種族らしい事はリリアが約700歳である事からわかります。 中でもドラゴンが取り分け寿命が長そうな事は本編6章の6-52のリリアとマレウスのやり取りでも示唆されていました。

ツイステ作中で存在を言及されているドラゴンはマレフィシア、マレノア、マレウスの3名です。 マレウスは卵の孵化後178歳であること、(卵の期間も含めれば400歳程?)

マレノアは幼馴染のリリアの当時(夢を見ているとき)の年齢が約300歳である事から大体同じかそれ以上と考えられます。

マレフィシアはマレノアの母親の為、マレノアの幼馴染のリリアより当然歳上です。かつ本編(現在)でも存命である事から本編(現在)のリリアの年齢である約700歳よりはるかに歳上と考えられます。

さて、約400年前の時点で、元老院からも部下のリリアからも姫と呼ばれている事から、マレノアは茨の国を治める女王ではなかった考えられます。


では女王は誰だったのか?マレフィシアです。 となると、少なくとも400年以上前から現在に至るまでマレフィシア政権が継続していると考えるのが自然でしょう。

ただ、400年はあくまで一番少なく見積もった値であり実際は400年より長い期間マレフィシア政権が継続していたと考えてよいでしょう。 茨の谷では王権と政権が完全に分離しておらずドラコニアが両方を握っていると考えると、長命による超長期政権が茨の国で慣例的に発生していたと考えられます。

ちなみに、400年という数字が政権で見るとどれだけ長いかというと、 例えば日本(大体平安時代以降~明治維新までは政権と王権が分離している)から例を挙げるなら、 15代徳川将軍の江戸幕府でやっと大体260年です。

ちなみに建国から政体が変わっていないディズニー本国のアメリカも、大体250年程です。


ちょっと話がそれましたね。
つまるところ、茨の国の君主であるドラゴンという種族がそもそも長命の妖精の中でも長命です。茨の国の臣下にドラゴンがいる様子は今のところありません。
となると、君主より先に臣下が寿命で亡くなることが常態化していたであろうことも想像に難くありません。

君主を導いた功臣が寿命で死に後進育成の観点でも人材不足に陥ることを防ぐ為に、死後ゴーストではなく思念体として茨の国に留まり続ける元老院のシステムが生まれた。
よって、これは茨の国における君主の長命という性質に合わせて生まれた、茨の国を回す為の政治システムであると考えられないでしょうか?

と、いう事で
・大日本帝国における「元老」
・史実の「元老院」
・作中でわかっている茨の国と妖精の寿命について 書いてきましたが
上述の3点を踏まえた結論 は以下の通りになります。

結論

茨の国の元老院は、君主であるドラコニアが妖精の中でもずば抜けてご長寿種族である事を前提に生まれた政治システムであると考えられる。 死後も思念体として茨の国の政治に関わる事が出来る、という点は大日本帝国の「元老」のシステムの破綻を防ぐ一つの解決策としてロジカルであったと言える。

元老院の資格は不明ですが、リリア曰く茨の国には貴族がいる事から、恐らく古代ローマの元老院同様に貴族である可能性が高い。 そして大日本帝国の元老のように国家への貢献や影響力が強い人物であった可能性も高い。議員Dの発言からマレノアの側付に対して口出し出来る程度の立場だと考えられるからです。

しかし、元老院の影響力や権限が茨の国において実際どの程度なのかはまだわかりません。 ただ、マレノアが存命中はリリアを近衛右大将に留め置けたのは事実なようなのである程度ドラコニア側に元老院の申し出を突っぱねられる程度の関係であったとも考えられます。

元老院というシステムが生まれた時期とマレノアのいた時期にズレが生じたと仮定した場合、 共和政ローマで元老院は実質的な統治機関となっていたのが帝政ローマでは権限が縮小され、 正当な皇帝を承認する機関→皇帝の諮問機関へと変化したように元老院も時代によって変化していたと一つ考えられます。

上述の解釈でこの議員Dの発言を読み解くと 上述の発言が出来るほどの立場であり影響力がある(からマレノアを翻意させられるかもしれない)という自認があるが、 実態としてはマレノアは翻意しなかった為、元老院の影響力の低下とも考えられます。 あくまで可能性の一つ、ですが。

ただし、元老院議員となった妖精自体が彼らが生きていた旧時代の価値観・考え方のままである可能性が高く、急激な時流の変化についていけなくなってしまった結果、とってもグーンで老害仕草をする存在になってしまったのが作中のリリアの夢に出てくる元老院であると考えられます。

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