【ツイステ考察】本編7章の茨の国の軍服を現実の軍服の変遷で考えた際の奇妙な新しさについて
こちらの文章は、旧twitter(現X)で2023/7/2に書いていた
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個人的な感想としてまず面白いと思ったのが年代の割に(7-65より約400年前)、茨の国の近衛兵の軍服のカラーリングが極めて実戦向きであり現実世界基準で考えると近代的すぎることなんですよね。
前提として一応夢の中とはいえかつて実在した茨の国の近衛兵の格好であること自体は7-56のセベクの反応からも真とみてよいと思います。
リリアはバウル他の近衛兵達と比較しても異なる格好をしてると言えど、基本的な色合いはオリーブグリーンやモスグリーンといった色合いです。
この手の色を軍服に採用する意図は森林地帯での戦闘を想定した迷彩だと思います。 事実、茨の国内には彼らと始めて邂逅した闇の森がある為非常に実用的です。
【閑話休題】 日本のアパレルではカーキ色というとオリーブグリーンも黄土色系のブラウンも十把一絡げに「カーキ」とくくられていますが、カーキとは(khaki)であり、土埃を意味します。
軍服としてのカーキ色は、19C頃に植民地だったインドに駐留したイギリス軍が用いたのが始まりとされています。白い夏服の汚れを嫌って土を用いて服を染め、それを現地語でカーキと称しました。
事実、海外植民地を維持するためにインドをはじめとした世界各地に大英帝国の軍隊が派遣されたため、砂漠地帯などの温暖な気候の土地で得られた戦訓から採用されたカーキ色の軍服は多くの国で採用されています。
カーキが軍服色の意に転じたのは米軍のオリーブドラブ(森林地帯での戦闘を想定して採用されたくすんだ濃緑色)のこともカーキと呼ばれるようになり、英語圏で色の定義が混同されるようになっていったようです。(尚、ヨーロッパ諸国の軍服の色は軍装色でもカーキと呼ばれない模様)
しかし、森林地帯の迷彩を意図したグリーンを軍服に用いる、もっというと環境に溶け込むような色合いというのは極めて現代的というか歴史的にみてもかなり最近なのです。
特にオリーブグリーンの軍服の増加は、アメリカが朝鮮戦争・ベトナム戦争と森林でのゲリラ戦の経験が増えた事で陸軍でオリーブグリーンが軍服に用いられるようになりました。
さて、長々とオリーブグリーンの軍服が比較的最近の概念である話をしました。 ここで考えたいのは画像の軍服がツイステ作中で400年前という点なのです。
現実世界において軍装の統一は17C以降です。絶対王政国家の成立から軍隊が「国家の軍隊」となった為に制服の統一が図られるようになりました。 16C頃には既に銃が普及した事で甲冑が意味をなさなくなった事で軽装となっていきます。
最も、約400年前の段階では銀の梟や茨の谷の近衛兵の格好を見るにまだ甲冑が現役のようですが。
そして現実世界では、兜は廃れ二角帽子(バイコーン)などが使用されるようになります。
そう、わかりやすい事例を挙げるとナポレオンが被っている帽子です。
軍服は礼装と兼用され、敵の威圧やあるいは火薬の硝煙で視界が悪い中指揮官が部隊を識別する為に派手な色合いが好まれました。 ただし、染色技術や財政上の理由から、全軍が華やかな服装に統一されるのは18C末になります。
時期や地域差はあれど、敵への威圧を意図した派手な格好の軍隊・部隊の例といえば、日本の戦国時代の武田や井伊や真田の赤備えが良い例です。
そう考えると、現実世界では甲冑・鎧→軍装・軍服、目立つ派手な色合い→環境に合わせた迷彩と変遷していった中で、 ツイステ世界では400年前の時点では甲冑・鎧だが色合いは環境に合わせた迷彩となっていることを考えると、ある種捩れが発生していて面白いですね。