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【ツイステ考察】本編7章のマレウスとオルトをITセキュリティの観点で考える~オルトはトロイの木馬説~

こちらの文章は、旧twitter(現X)で2024/3/14~2024/3/17に書いていた

から始まるツリーの内容を(旧twitterの仕様が変わりツリー上にすると文章を追いにくくなった改悪に伴い)noteに加筆修正して移植したものになります。


さて、本編7章chapter7のオルトやS.T.Y.Xの動きを情報セキュリティの観点で見ていくと浮かび上がってくるのが、オルトの動きが二重も意味で「トロイの木馬」的な点でしょう。
以下、 オルトやS.T.Y.Xの動きを情報セキュリティの文脈で読む
オルトは二重の意味で「トロイの木馬」である
の2点で読み解いていきます。

①オルトやS.T.Y.Xの動きを情報セキュリティの文脈で読む

オルト及びKB-RS01、02の領域突入の為にS.T.Y.Xは全護衛艦の魔導砲を撃ちまくることで一種のデコイとして運用し、守りの薄い場所を作り出します。そしてオルト達は領域突入に成功します。

このS.T.Y.Xの動きを情報セキュリティ的に読み替えた際に連想できるのが、田代砲…もっというとDos攻撃です。

田代砲/Dos攻撃

古のインターネット老人会では馴染み深いであろう単語の一つ「田代砲」とは一種のDos攻撃用連続投票スクリプトです。

Dos攻撃=Denial of Servise attackを意味し、サーバ等のネットワークを構築する機器に対し負荷を与える等の攻撃を与え、サービスの提供を不能な状態にする攻撃です。
(尚、2024年現在においては田代砲は現代的なセキュリティが施された環境ではロードバランサー等がDDoSの対策などを行なってくれることが多いので、DoS攻撃としてはあまり効果ではありません)

Dos攻撃自体も厳密には2種類の類型があり、
①ウェブサービスに大量のリクエストや巨大データを送りつける事でサービスを利用不能にするフラッド攻撃
②サービスの脆弱性を利用する事でサービスに例外処理をさせる事でサービスを利用不能にする攻撃
が挙げられます。

いずれにせよ、Dos攻撃の目的はサービスの可用性(=システムが継続して稼働できる度合い・能力)の侵害です。 これにより、ネットワークの遅延やサーバやサイトへのアクセス不能といった被害をもたらすのです。

サービスの可用性の侵害によるネットワークの遅延に相当する描写があります。本編7-104です。

本編7-104ではマレウスは「魔法領域の中では絶対的な支配者」であるとされた一方で、オルトの破壊に失敗します。

つまり、魔法領域内でも全知全能という訳ではないし、完全に思い通りになる訳でないことがわかります。
7-104ではオルトに攻撃を加えようとした寸前にノイズのようなものが発生しています。

そして、それを見たオルトの感想が「まるで、CPUの過負荷で処理落ちしたみたいな…」です。

CPUの処理落ち

CPUの処理落ちは、パソコンが急に重くなった時の原因の一つです。 CPUは人間で例えると脳にあたる部位である。 CPU使用率が高くなると処理落ちが発生しやすくなるのですが、原因としてはウイルス・マルウェアの感染、バックグラウンドで作動しているアプリや動作の重いソフトの稼働が挙げられます。

マレウスをパソコンに見立てた場合、上記の状況に陥っていたのではないかと考えられないでしょうか?
マレウス(PC)にとって、オルトやKB-RS01・02・解析アンカーはウイルスやマルウェアであり、オルト達への対処を行いつつ並行して領域外のS.T.Y.Xの護衛艦の対処をする状況はバックグラウンドで作動するアプリの稼働です。

事実、7-105ではマレウスの意識を「魔法領域の防衛だけ」に向けさせる為に魔導砲を撃ちまくる形で、S.T.Y.Xはオルトの援護をしています。

つまり、マレウスはオルトと対峙している中で並行してS.T.Y.Xの対処にリソースを割かれていた事がわかるのです。

上で例に挙げたDos攻撃はサーバーの処理に負荷をかけて可用性を下げる行為であり、CPUの処理落ちは可用性が下がっている状態を示します。
いずれも共通するのは大量の処理による可用性の低下です。つまるところ、正面からマレウスを打ち倒すのではなく処理落ち・鯖落ちによるフリーズ(デバフ)狙いの動きでしょう。

もちろんこれは、7-105までのS.T.Y.Xとオルトがまず第一に、マレウスのユニーク魔法の解析の為に情報収集を優先して動いているからこその動きです。

要は足止めが出来れば上出来、ダメでもマレウスのリソースを少しでも割いてしまいたいというのが伺えるのです。

マレウスの作り出した魔法領域下でマレウスのユニーク魔法を解析する為にはどうすれば良いか?という観点で、取った方法は地に足がついており非常に合理的です。 (最もそれ以上にマレウスが規格外だった為、実際はかなり綱渡りにはなった訳ですが)

次に、オルトの領域突入をマレウスの視点で且つ情報セキュリティで考えると、マレウスによる眠りを妨げようとするオルトは、マレウスにとっては邪魔な存在です。 マレウスは早々にオルトの破壊・排除を選んでいます。
つまる所、マレウスにとっては今のオルトはマルウェアやコンピューターウイルスと言って良いでしょう。

【用語解説】 マルウェア:不正且つ有害に動作させる意図で作成された悪意のあるソフトウェア・悪質なコード。 主な活動はデータの破壊や盗難。 コンピュータウイルスやトロイの木馬もこれに含まれます。

さて、マレウスはオルトの領域への侵入に気づきこそしましたがそれには時間差(ラグ)がありました。
そして、オルトが領域に侵入するまでオルトは自分の夢の支配下にいるとばかり思っておりオルトの状況を把握出来ていません。

そして、オルトの本体といえるものは「身体(ギア)」ではなくプログラムデータです。 海底ケーブルこそ遮断しても、オルトの脱出時点で「オルトが目覚めている事に」気づけませんでした。

結果、マレウスはオルトにセキュリティ意識の低さを煽られてます。

【用語解説】 UTM:統合脅威管理とも。コンピュータウイルスやハッキング等からコンピュータネットワークを効率的かつ包括的に保護する管理手法。 ファイアウォール・VPN・アンチウイルス・アンチスパム等をゲートウェイ1台で管理可能の為とってもお得。

オルトが煽る際の言葉選びでUTMの導入を勧めてくるあたり、恐らくマレウスの魔法領域にはアンチウイルスソフトウェアにあたるものが存在しません。
これは即ち、情報の流出やデータ消失等のリスク…今回のマレウスでいえばユニーク魔法の解析に伴う「魔法領域」が解除や破壊されるリスクに無頓着、とも読めます。

そしてこれは「情報」の重要性、ひいては個が数に屈する前振りとしてもこの上ないです。 マレウスは極めて強力な個ですが、所詮ワンオペに回しているに過ぎません。
魔法領域の維持・外部からの攻撃への対応・夢が覚めたNRC生への干渉等等現状全てマレウス個人によって運営されている訳です。 しかし、リソースは有限です。

そのリソースを効率よく運用するにしたって、ワンオペとは食い合わせが悪いのです。誰かに代わって貰いその間休息を取ることが物理的に不可能なのですから。 そして疲労で視野は狭窄になり思考も単純化していきます。 逆に、マンパワーとS.T.Y.Xは情報の取得により更なる効率化・合理化を図るでしょう。相性は致命的です。

そして突出した力を持つ個が、情報という武器を得た数に負ける展開は同じく本編7章内でリリアの夢を通してマレノアと銀の梟でご丁寧に一度描かれているのですから。
銀の梟(ヘンリク卿の)やり口に関する説明はこちら

そして、その布石として魔法領域に関する情報は「全解析アンカーが回収されてしまった時点で」既にS.T.Y.Xの手の中にあります。

マレウスがオルト及びS.T.Y.Xにそれを許してしまったのは、マレウス自身が解析アンカーの重要性やオルト・S.T.Y.X側の狙いが情報収集である事に気づけなかったからでしょう。

そして、重大な情報の流出という構図そのものが、アンチウイルスソフトウェアにあたるものが存在しなかった為、マルウェアの侵入及び作動を許してしまったパソコンそのものなのです。
加えて、情報流出に多大な貢献をしたオルトの動きは、マレウスからしたらマルウェアのトロイの木馬も良いところなのでしょう。

②オルトは二重の意味で「トロイの木馬」である

さて、トロイの木馬とは、
①マルウェアとしてのトロイの木馬
②その元ネタであるギリシア神話のトロイの木馬
の二つがあります。7章においてオルトは①②両方の面があると思われます。

まずは、前提としてそれぞれのトロイの木馬について

①マルウェアとしてのトロイの木馬

有用なor無害なプログラムあるいはデータファイルのように偽装されていながら、マルウェアとして機能する部分を隠し持っていて、何らかのトリガーでそれが活動するように仕組まれているファイル等を指します。

トロイの木馬が悪意ある動作としてひとたび実行されると、被害者(今回だとマレウス)の同意を一切得ずに秘密裏にハードディスク内orメモリ内に自身を複製・インストールします。 上記の動きが解析アンカーと一緒に魔法領域に突入したオルトの動きとして、トロイの木馬的といったのはこれが相当します。

②ギリシア神話のトロイの木馬

トロイア戦争において、ギリシア連合軍がトロイアを攻め滅ぼすきっかけになったとされる中空の巨大な木馬です。 トロイア戦争において、ギリシア勢の攻撃が手詰まりになったとき、オデュッセウスが木馬を作って人を潜ませ、市内に運び込ませることを提案しました。
いざ木馬を作成すると敵方トロイアの城壁外に放置し、トロイア側が油断して木馬を城内に引き入れました。 人々が寝静まったころ中から兵士が現れて城壁を開け放ったため城は容易に陥落し、10年来続いたトロイア戦争は終結した、と伝えられています。

上記のトロイア戦争の伝承から転じて、内通者などを忍び込ませ巧妙に相手を陥れる罠を「トロイの木馬」と呼ぶ慣用句がつくられ、とくに悪意をもってパソコンへ侵入するコンピューター・プログラム(上記の①)を指して用いられるようになりました。

7‐102~105におけるオルトの動きは、マルウェアとしてのトロイの木馬のここに当てはまり、そしてギリシア神話におけるトロイの木馬的な動きはオルトの介入によりイデアが目覚め(7‐109~7‐116)、イデア及び監督生一行の合流に繋がり対マレウスの反撃の橋頭堡となります。

本編オルトに文脈がのる第三の馬

さて、オルトがディズニーのヘラクレスにおけるペガサスではないかという指摘は既に先行者によりなされています。

加えて、7章に眠れる森の美女の文脈がのる以上フィリップ王子の愛馬が白馬であることもオルトに文脈として乗るだろうという指摘は先行者により散々されていました。

私は上記に加えてもう一つの馬としてオルトに「トロイの木馬」が文脈として乗ると考えます。

3という数字とオルトの関係性は、そもそも今回のオルトのケルベロスギアの名前の由来のケルベロスが三つの頭を持つ犬です。

今回取り上げている話題では、厳密には犬ではなく馬ですがオルトは3つの(馬の)要素を持つという意味でも、きれいに筋が通るのです。

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