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ディープラーニングの有料記事(2980円)を公開して学んだこと

先日書いた、ディープラーニングの記事が、非常に多くの方に見ていただけたので、心が冷めないうちにその感想をまとめておきます。

感想プラス気をつけた点や学んだ点などをまとめたので、読み物として楽しんでいただき、さらに何か参考になるものがあれば幸いです。

※記事はプログラムが古くなったため、現在は非公開です

はじめに

まず、今回の記事は、かなり時間をかけて作りました。

ディープラーニングと数学を学び、構想し、コードを書き、検証し、記事にまとめる。たったこれだけですが、3〜4ヶ月ぐらい毎朝、出勤前のカフェで過ごしている1.5時間を費やし続けてましたね(比率的には勉強が7割ぐらいかもしれません)。

だから、記事を書き終えた瞬間、「やっと終わった」という安堵感と開放感がありました。そしてその分、こうして多くの方に見てもらうことができて素直に嬉しいです。

そして、なんと合計200名以上に購入いただき、僕に直接コンタクトをくれた方は、ほぼ全てポジティブなコメントでした。

いつも作りたいものを作っているだけなので、周りの評価は気にしないつもりなんですが、実際に認めてもらえると嬉しくなりますね。

今回は技術的な面だけでなく、見せ方的な意味でも「いかに多くの人に、いかに気持ちよく読んでもらうか?」をめちゃめちゃ考えたのと、一方で公開後に学んだことや苦しかったこともそこそこあったので、その辺りを一応形に残しておこうかなと思ったのが、この記事を書いた経緯です。

多くの人に見てもらうために

今回の記事は、随分といいね&シェアされました。投稿5日で7万PV超え。以前に個人ブログを運営してたことありますが、こんな短期間で7万PVの記事はどんなに頑張っても無理でした。

最近は「いいね」やPVの価値が下がってきていると言われますが、いくら面白いものを書けたとしても、まずは多くの人に見てもらわなければ、どこかに価値を理解してくれる人がいたとしても存在すら伝わりません。なので、多くの人の心を動かせるものを真剣に考えました。

そして今回、それが実現できたポイントは、この3つだと僕は考えています。

 ①お金に関するテーマである
 ②誰にでもできそうに見える
 ③新しい技術である

それぞれもう少し細かく書いてみます。

①お金に関するテーマ

記事にも少し書きましたが、最近特に「お金」の力を感じています。長い目で見れば「お金の価値が下がり、内面的な価値が高まる」という流れが徐々に進むとは思うんですが、まだ今はお金が強いんですよね。

例えば、今やスーパーや個人店でも使えるQR決済。これって凄く不便なんです。

スマホのロック解除してアプリ起動してバーコード表示して読み込む…っていう作業が要る。モバイルSuicaなら、かざして終わりです。QUICPayなら、チャージすら要らない。なのに、圧倒的スピードで普及したのはQR決済でした。

なぜSuicaとかの普及が遅かったかというと、読み取り端末が高いから店舗に置かれなかったんですね。置かれていたとしても、買い物をするお客さんにとっては金銭的なメリットが薄かった。

店舗も客も、便利なだけでは受け入れてくれなかったわけです。そこをお金の力で強引に持っていったのが、PayPayを筆頭にしたQR決済アプリでした。

店側は最低限ならバーコードを貼るだけでいいぐらい安価に設置でき、客は大量のキャンペーンでお得になる。お互いにユーザが増え続けるスパイラルが生まれました。

有名なニュースアプリ「スマートニュース」もクーポンでユーザ数を伸ばしたといいますし、今や様々なアプリにクーポンがついています。

人間の欲求の中でも、特に広く通用するのがこの「儲けたい」です。だからこそ、今、多くの人に届ける記事を書くなら、お金だろうなぁ、と思いました。

②誰にでもできそうに見える

「自分にもできそう」というのは、広く受け入れてもらうためには重要です。「もの凄く頑張らないとできない」ものは、当然興味を持ちづらい。誰もが、「自分でもできるかな?」と考えて、自己啓発本やダイエット本を手に取るでしょう。

なので、「初心者である」ということを最初に強く主張しました(真実ですが)。特に今回は「ディープラーニング」という、一見難しい技術をテーマにしているので、そこで読み手に「自分には難しいなぁ」と離れられちゃうともったいない。

内容も、テクニカルと非テクニカルのバランスを、だいぶ非テクニカル寄りにしました。

もちろん、その分尖った内容は書きにくくなります。ニッチ層に書くなら、思いっきり専門的に振り切った方がいいでしょう。ターゲットに応じてこの辺のバランスは変えていく必要があると思います。

③新しい技術である

ディープラーニング自体はそこそこ前からありますが、今回書いたような一般人にも受けるレベルの内容で書かれた記事は、あまりありません。

そういう意味では、新規性があって良いかなと思って書きました。今回のテーマでは、日本語の記事は今もかなり少ないし、論文も、大した情報がないんです。

また、エンジニアの業界でも、AIをビジネスに結びつける観点が足りないという話はよく目にするので、そこに刺さる記事を目指しました。

そのため記事の流れを「現実で使えない予測 → 実践的な予測」にしたのですが、Twitterコメントなどでその辺りに気づいてくださっている方がいたのは嬉しかったです。

多くの人に見られることのリスク

これら3つのコンセプトの結果が、5日で7万PVに繋がったのだと思います。ただし、閲覧者が増えると、その分様々な理不尽なネガティブコメントが飛んでくることが予想されます。

特に今回は割と愛の強い方が多いテーマだったので、公開時点から、その辺りで少し配慮をしました。

まず、タイトルを控えめにしました。「うさんくさい」と思われないよう、ギリギリのラインに留めておきました。

あと、「AIを使うことで自分の頭で予想する楽しみが損なわれる」と書いたのも(本心ではありますが)その辺りの配慮が含まれています。やっぱり今はまだ「自分の頭で予想すべき」と考える人は多そうなので。

それらが功を奏したのかはわかりませんが、皆さん思ったよりポジティブなコメントをくれました。noteのコメントで「凄く楽しませてもらってます!」的なコメントと共にサポートまでくださる方も何名かいて、めっちゃ感動しました。世の中捨てたものではないです。ほんとに。

多くの人に見られることの弊害

一方で、うまく止められなかった問題もありました。まず、記事内のコメントは半分ぐらい質が悪くなってしまいました。「記事に関係ないのに何で書いたんだろう…?」と感じるようなコメントや、荒らし的なコメントを連発でもらい、いきなりゲンナリしました。

これはお金を絡めた以上仕方ない気もしますが、単に目立ちたい or 他人を攻撃したい人が表に出てしまう「記事コメント」の仕組み自体がいまいちのように感じます。ヤフーニュースのコメントは地獄絵図だなんて言われますし、Twitterとかでも、最近は不快なツイートを出さないようにしてたりしますからね。

的はずれな指摘もありました。いくつかあったのが「ディープラーニング以外でもできるんだよ!」というもの。

「ハサミさえあれば紙が楽に切れるよ」に対して「手でも or カッターでも切れるんだよ!」と言うようなものです。日本語読解力の問題なのか、タイトルだけみて批判したがる人が多いせいなのか。これは残念でした。

また、コードを有料にしたことでそれなりに厳しい意見もありました。まだエンジニア界隈には、有料文化が根付いていないのかもしれません。

有料化は、ずっと試してみたく実験的な意味があったのと、そもそも本当に時間をかけたので、家族に還元したいという思いもあり、こうさせてもらいました。購入いただいた皆様、本当にありがとうございます。

ちなみに、僕個人宛に直接頂いたメッセージは、心温かいものばかりでした。上の厳しいコメントたちは、(記事コメントは仕方ないとして)主にTwitterのつぶやきを僕がエゴサーチ的に見つけただけなので、意識しなければ見えないものです。

多くの人に見られることによる発展

もちろん、多くの人に見てもらってよかったこともあります。

閲覧者が増えてくると、「話題にしてくれてるのに、間違ってたら申し訳ないなぁ…」という不安も出てきました。モノを売るのとは違って情報を売るわけなので、その情報が何の役にも立たないと判明したら、結構つらい。

ですが、自分ひとりでは間違いがあっても気づきにくいものです。

でも、多くの人に見られるということは、その分怪しい箇所にツッコミが入ります。すると、ツッコミを受けないために検証したり、ツッコミを受けて改善したり、といったサイクルが回ります。ビクビクしながらコメント見るようになります。実際、コメントを受けて直した部分もあります。

この感覚は、独学で学んでいるとなかなか生まれないので、非常に貴重です。

いろいろ見てると感じますが、恐らくこれからの時代は、自分が見たいものや関わりたいものが集まるコミュニティを選んで生きていく流れが強くなります。SNSによって、「関係ない不特定多数と関わることによる弊害」を大きく感じ始めたのが今の人たちであり、そのバランスを取る動きが入るのは明白です。

でも、自分の居心地の良さを感じる場所に居続けると、厳しい指摘や意見を貰うことがなくなりがちです。それは成長の妨げになるかもしれません。「厳しい目で見る第三者」を持てるという意味で、多くの人が見る場所で何かを公開するのは効果的だと感じました。

有料にすることの責任感

今回は「有料化」も大きなチャレンジだったので、それについても感じたところがありました。

今回有料にした記事は、「動かなくてもよければ買ってね」という前提を添えての公開にしました。実際、保守し続けるわけにはいかないので、そういう形にしたのですが、やっぱり買ってもらうと、「ちゃんとしなきゃ」という責任感が(良くも悪くも)生まれました。これは発見でした。

かといって保守するつもりはないんですが、少なくとも今は綺麗な形にしておきたいなぁ…という想い。これは、成長するには結構効果的な気がしたんです。人は追い込まれないと動かないというのはよく言われますが、何か学ぶときに「有料で売って頑張る」という形式にすると、成長が早そうです。

また、買ってもらった人を放置するのは申し訳ないかなぁという気持ちも芽生えてしまい、Slackでの質問を受け付けました。収入だけを求めるなら、当然これはやらないほうがいいです。「動かなくても、わかりにくくても、それでもよければ買ってね」という前提でカバーされる範囲なのに、自分の時間を割くわけですから。

そういう意味では、そういうところを突き放せる人がガンガンお金を稼いでいくんだろうなぁという気もします。そうありたいかどうかは別として。実際、Slack内ではそこまで頻繁なやりとりはないですが、空気的には温かさを感じました。やってよかったと思います。

本当のテーマ:「皆にとって難しいものへの挑戦」

最後に、この記事の裏テーマというか、僕の中の本当のテーマとして、「皆にとって難しいものへの挑戦」というものがありました。

多くの人にとって「面白い!」と思えるようなことを成し遂げたいときに、何をするのが一番効率的か?という観点で、いろんな人の話を聞いたり本を読んだりした結果、「多くの人にとって難しいものに挑戦し完遂する」なんじゃないかなぁと感じていました。

自分にとって簡単なことは、他の人にとっても簡単である可能性が高いんです。だから、手っ取り早く価値を生むには、「難しいこと」をやればいい。すごく単純ですが、意外と取り組むのにハードルが高い真理です。

今回のテーマは、多くの人が一度は想像したことがあるんじゃないかなと思うんですね。でも、実際ディープラーニングを学ぶと、恐ろしいほど数式だらけなんですよ。何回微分するんだってぐらい微分するんですよ。だから、大体ここで心が折れる。

そんなディープラーニングは、「皆にとって難しいもの」としてはうってつけの題材だなぁと思ったんです。だからこそ、学んでいる途中で「いやコレ難しすぎだろ…」と諦めかけるときもありましたが、「自分が難しいと感じるほど価値になるはず」と考えて続けました。

それでもこうして頑張ってみて、結果的には、本当に思っていた以上の反響があったかなと思います。実際にはディープラーニングの基本しか使っていませんが、皆さんの反応を見る限り、ディープラーニングの面白さを伝えることはできた気がしています。

そしてTwitter上には、「ディープラーニングやってみようかな」とか「Python勉強しようかな」なんてコメントが沢山ありました。1年もすれば多くの人が普通にディープラーニングを使っているかもしれません。それでは遅いんです。誰もが難しいと感じている今だから、盛り上がったんです。

この「難しいことのリターン」への理解があれば、今後も、難しいことに直面したときに、少し嬉しくなれるような気がします。この辺りは普遍的な話だと思うので、皆さんも困難にぶち当たったときは、チャンスだと思って乗り越えてみるといいかもしれません。


…ということでこの辺で、感想を終わります。

最後までお読みいただきありがとうございました。この記事を読んでくださった方々の人生に、ひと欠片でも活かせることがあれば嬉しいです。

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