メルカリで、相場より高く売れている価格を調べたら面白かった
最近、うちの家電たちが一斉に寿命を迎えそうで、大変です。
冷蔵庫は夜中にブォンブォン唸り出すし、炊飯器は開ける度にフタの一部がブッ飛んでいきます。iPadは先日バッテリーが死にました。
10年以上使ってる電子レンジに至っては、温め終えても停止ボタンを押しても、一向に止まらない。
全部を買い換えたら、相当な出費です。
お小遣いが欲しい。
そうだ、メルカリやろう。
メルカリの相場を見て気になったこと
ということで、メルカリで本でも売ろうと思い、相場を調べていたら、あることに気づきました。
意外と、相場より高い価格で売れている出品があるんです。
特定の商品を「新しい順」に並べて見るとわかります。他に安い品があるのに、それより高く売れてたりする。
品薄なわけでもなく、傷・汚れなどの販売条件や商品説明も大差ない。それなら、高く売れた方が、売り手としては嬉しい。
でも、いくらに設定すべきなんだろうか?
そんな疑問から始まり、メルカリの書籍の販売データをいろいろ調べてみたら面白かったので、公開してみます。
調査対象データ
メルカリ上の書籍100商品それぞれの、検索上位100件の出品データ(100×100=1万件)を調査対象とします。
1つ1つの出品からは、こんな項目を集めます。
それを商品単位で集計し、こんな情報を出します。
各価格と売却率の関係や傾向、そして「高くても買ってもらえそうな価格」を探っていきます。
ちなみに商品はランダムで決めましたが、人気度の違いによる偏りを防ぐため、売却率(売却済み出品数の割合)を4段階に分け、均等に調べました。
※個人の超ざっくり調査なので、大まかな傾向は掴めるかなーぐらいの感覚でご覧ください。
※データ収集にあたりJavaScriptは使いましたが、システムに負荷のかかる使い方はしていません。
全データの平均値
こちらが調査対象100商品の平均値です。書籍に絞っているので、全体的に安めですね。
定価:1,468円
相場価格:566円
最高平均価格:728円
売れ残り平均価格:756円
売却率:49.7%
相場価格と売却率の関係は?
まずは、相場価格(売れた出品の平均価格)の傾向を調べてみます。
感覚的には、売却率が高い(売れた商品が多く、売れ残りが少ない)と、相場も高くなりそうです。
実際にそうなっているのか見てみます。
売却率50%以下では、相場価格が一定のラインに密集している。これは、販売価格の下限「300円」が影響していそうです。
つまり半分以上が売れ残っている商品は、限界近くまで値下げされがち。もはや利益は望めなさそう。
でも売却率が50%を超える辺りからは、やはり売却率に合わせて相場価格も高くなっています。
相場価格と定価の関係は?
では、相場価格には、定価も影響するのか?
全体的には、定価に沿って相場もやや右肩上がりではありますが、バラついています。定価が高くても相場が安い商品が多数ある。
どうやら中古品の相場は、定価よりも売却率の影響の方が大きそうです。需要と供給ですね。
一応、相場価格は定価の何%引きの商品が多いのか見ておきます。
相場価格は、定価の70-80%引きの価格帯が最も多いようです。だいぶ安い。
そして、相場が定価に近づくにつれ、徐々に商品が少なくなっています。定価に近づくほど中古品を買う人は減るはずなので、感覚的にも一致します。
参考までに、売却率の要素を色で加えてみます。
最初の散布図の結果と通じていますが、売れている商品ほど、相場価格が高く定価に近い。特に右端の3列は、売却率75%以上の商品のみ(緑)ですね。
相場よりどれぐらい高くても売れるの?
相場の傾向は見えてきましたが、自分で相場を操作することはできません。決められるのは「販売価格」だけ。
販売価格を高く設定したとしても、相場と乖離しすぎると売れないはず。では、相場よりどれくらいまで高い商品が買われているのでしょうか。
各商品の最高平均価格(売却済みの販売価格トップ5の平均)と、相場価格との関係を見てみます。
当然ですが、相場が上がるにつれて、最高平均価格も上がっています。ほとんど平行してる。
では、最高平均価格は相場より何%ほど高いのか。相場からの上乗せ率ごとに商品数を集計します。
高値で売れる価格は、相場に10~40%上乗せしたあたりが多いようです。
ただ、これは各商品が売れた価格にのみ注目しており、売れ残り品は加味していないので、真似しても売れるかどうかわかりません。
例えば「相場が1000円だから、30%上乗せの1300円で出品するぜ!」と意気込んだところで、商品によっては売れない可能性は大いにあります。
そこで、売れていない商品も含めた、売却率も調べてみます。
相場との価格差と、売れやすさの関係は?
全出品データ1万件の販売価格について、相場との価格差率ごとに、その出品が売れたものかどうかも含めて集計します。
横軸がマイナスなら相場より安く(グラフ左側)、プラスなら相場より高い出品です(グラフ右側)。
全体的な傾向が見えてきます。
「高く売りたい!」「安く買いたい!」「ワンチャン儲けたい!」みたいな、売る人や買う人の心理戦が透けて見えてきて、すごく面白い。
でも、これはあくまで全体です。人気商品は売却率が高く、不人気商品は低くなるでしょう。
なので、売却率を20%ごとに区切り確認します。
ほぼ売れ残りです。相場前後の価格ですら、1~2割しか売れていません。
相場前後の価格なら、半分程度は売れています。10%以上も上乗せすると、ほぼ売れていません。
相場前後の価格なら、7割程度売れています。10-20%上乗せしても、3割程度は売れています。グラフの形が、最初の全データのグラフとほぼ同じだ。
相場前後の価格なら、9割近く売れています。10-20%上乗せで6割近く、20-30%上乗せでも4割近く売れています。
どの価格帯でも、ほぼ全て売れています。気持ちいい!
どのように価格設定すべきか
これらの結果から考えると、適度に高く売るには、売りたい商品の売れ筋に応じて、相場に上乗せした価格を設定するのが良さそうです。
例えば、ざっくり決めるなら、こんな感じに。
結論は商品のジャンルによって変わるでしょうし、値下げタイミングや売買成立タイミングなども考慮すると、もっと細かい話ができると思います。AIで分析するのもありですね。
興味のある人は調査してみてもよいかも。
利益だけを求めても楽しくないよね
…ただ、ここまで調べておいてアレですが、利益だけを追求しすぎても、楽しくないです。
やってみてわかりましたが、メルカリって真面目にやると、それなりに大変なんですよね。
撮影、商品登録、梱包材の準備、梱包、送付、メッセージ管理などの細かな作業が必要ですし、梱包材や送料の費用もかかります。
だから、真剣にやるなら「誰かの役に立っている感覚を味わうこと」も目的の1つにすると良さげ。
メルカリ公式の、こんな調査結果も出ています。
なので、その辺のバランスも取りつつ価格設定していくのがよいのかなーと思います。
本編は以上です。
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おまけ:「なぜ、明らかに価格が高い方を選ぶのか?」考えてみる
ここからはデータではなく、想像のお話です。
状態や条件が同じ商品が複数ある中で、明らかに相場より高いものを選ぶメリットがどこにあるのか?について考えてみました。
考えられる仮説は、大きく4つ。
でも、論理的に考えると①~③はやや不自然です。
だとすると、最も自然なのは「④購入者に、価格が高い商品が優先的に表示されている」です。
これは、「おすすめ」に表示された高価格の商品単品を見て、相場を調べずにそのまま購入すれば成立します。
そして、④では誰もがWin-Winになります。
本来は、購入者は「もっと安く買えた」ことになりますが、気づかなければ満足度は下がりません。
結果、誰もが幸せになれるので、メルカリ運営目線でも、やっていておかしくはない気はします。
最初の出品時の価格設定が重要かも
高く売りたいなら、まずは相場より高い価格を設定して、徐々に値下げすればいいだけな気もします。でも、少し気になった点があります。
というのも、最初の出品時だけ、商品の閲覧数が異常に上がるんですね。
検索数(検索で表示された回数)が0のまま、閲覧数だけが上がるので、検索を経由していない「おすすめ表示」だと考えられます。
閲覧されたのだから、そのまま購入してもらえる可能性もあるはず。
だとすると、最初の出品時に、高い利益と購入が見込める価格を設定しておくと、高く売れる可能性が上がるのかもしれません。
…ただ、これが正しかったとしても、おすすめに表示されるかどうかはメルカリのアルゴリズムによります。
ランダムかもしれないし、AIで「高価格でも買ってくれそうな人」や「売買の相性が良さそうな人」を判定してるのかもしれない。
そういうのに振り回されずに、より購入者に喜んでもらうことを意識した方が、健全に楽しめる気もしますね。
以上、おまけの考察でした。
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