天使の話(第12話)心の入れ物
心の入れ物の大きさはその人によって決まっていると言ったよね。でもずっと変わらないかって云うとそうじゃないんだ。ほら、心も体の一部分だから、その成長と一緒に大きくなるし、筋肉なんかと同じで使わないと縮んじゃう。胸が張り裂けそうだとか、気持が縮むなんて言い方があるけど、たぶんこの心の入れ物のことを言っているんだろうね。前にサドはちっとも悪くないって話したよね。サドをうまく作れない人は、ロンが心の中に入ってきても押し出すことができないんだ。そんな時、人はどうするか分かる?心を動かさないようにして、入れ物を小さくしようとするんだよ。回りにもそんな人いるでしょう。悲しい時に泣かなかったり、素晴らしい景色に感動しなかったり、嬉しいのに素直に喜びを表現できない人。きっとそんな人は心の入れ物が小さくなっているんだ。でもサドって暫くするとジェニーかアンに変わって心の入れ物から出ちゃうから、いつまでもその中にはいられない。悲しみは時が癒してくれるって云うのは、サドが他の天使に変わちゃうからなんだ。だから、その後にその隙間を埋める天使をちゃんと考えないといけないよ。その天使達のことは、また今度話をしようね。