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「失敗しない」はいいことか?

「失敗する」ということを考える時に忘れられない言葉があります。
それは「マネジメントの父」と称されたピーター F. ドラッカーの言葉です。

あらゆる組織が、事なかれ主義の誘惑にさらされる。だが組織の健全さとは、高度の基準の要求である。自己目標管理が必要とされるのも、高度の基準が必要だからである。
成果とは何かを理解しなければならない。
成果とは百発百中のことではない。百発百中は曲芸である。成果とは長期のものである。すなわち、まちがいや失敗をしない者を信用してはならないということである。それは、見せかけか、無難なこと、下らないことにしか手をつけない者である。
成果とは打率である。弱みがないことを評価してはならない。そのようなことでは、意欲を失わせ、士気を損なう。
人は、優れているほど多くのまちがいをおかす。優れているほど新しいことを試みる。

ピーター F. ドラッカー 「マネジメント」

失敗しない者はチャレンジしていない者とも言えます。それでは成長はあり得ません。
出来るかできないか、ぎりぎりのところのチャレンジしてこそ、自分が出来ることの範囲が拡がっていきます。


ソフトバンクの孫正義会長は新事業に投資するかどうかの判断基準について、こう言っています。

「5割の確率でやるのは愚か。9割の成功率が見込めるようなものはもう手遅れだ。7割の成功率が予見できれば投資すべきである」

成功率が半々というのは、事業化そのものが時期尚早の可能性があり、失敗という最悪の事態に陥りかねない。だからといって9割の成功率だと、すでに誰かが同じことを考えている恐れが十分にある。結局、そうしたことを考えると、勝負を仕掛けるのは、成功率7割が確信できたときが望ましい、ということになります。


日本が誇る、もう一人の偉大な経営者であるユニクロの柳井正会長の話もとても勉強になります。
皆さんご存知の通り、ユニクロは今から40年前に広島に第1号店を出店してから今や世界に3500店舗を構えるまでに成長し、売上高が3兆円を超える世界最大級のアパレル企業となりました。
そんなユニクロの柳井さんの経営哲学が詰まった著書のタイトルは『一勝九敗』です。
あんな順調に事業を拡大してきたように見えるユニクロの成長の歴史も10回チャレンジして成功するのは1回だったということであり、失敗を繰り返して成長してきたということです。

チャレンジするということはリスクをとるということ。もちろん二度と立ち上がれないような失敗をすることは避けなければなりませんが、転んで膝を擦りむくくらいであれば、それは次の成長への糧となります。

一度も転ばすに一歩一歩前進することも良いですが、そんなことは稀で3歩進んで2歩下がることを繰り返せばよいのです。

何もしなければ失敗することもありません。しかし皆さんには勇気をもってチャレンジする気持ちを持ち続けて欲しいと思います。

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