授業論の先にあるもの。「問う」ことで思考力は高まる2
前回の続きです。
私は石田勝紀さんの『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?「自分の頭で考える子」になる10のマジックワード』という本に出会いました。たくさんの本と出会った中でも、すごく学びの多かった本です。
授業だけで学ぶ子は、授業以外からも学んでいる子にはかなわないだろうということが書かれていて、共感しました。
地頭の違いってあるよなあと。
では、今回も私なりに要約しながら、授業での使い方を提案したいと思います。
今回は、石田さんのいう2つのマジックワードを紹介します。
今日の要点
・抽象化思考力をつけて、応用力を高めよう
・抽象化思考力を高めるために「要するに?」「つまり?」と問いかけよう
さて、抽象化とは、具体的な事象から共通点を見出し、「ルール化」「一般化」できる力のことです。石田さんは説明文を例に挙げて、抽象度の高い子と低い子の違いについて次のように説明しています。
他にも東大生になるための試験勉強、社会人になってからの仕事のパフォーマンスでも抽象度の高さが関係してくることを石田さんは述べています。
余談ですが、私は小学校の国語の授業で、「具体と抽象」または「くだきの文とまとめの文」という言葉を使って、具体には赤、抽象には青の線を引かせながら読解をさせていました。
具体と抽象について、最初は「バナナ」「ミカン」「果物」「リンゴ」ような言葉を並べながら、果物が抽象レベルが高いものだと教えていました。
では、どうすれば抽象化思考力を高めることができるか?
今回は【まとめさせる】ための2つのマジックワードを紹介します。
④「要するに?」・・・抽象化思考力を高める
⑤「たとえば、どういうこと?」 ・・・具体化思考力を高める
④が帰納的であるのに対し、⑤は抽象化されたものを具体的なものに置き換えるという演繹的な考えをするものです。もっとも簡単な例で言うと、「果物」と聞いて「バナナ」「リンゴ」などを想起するということです。
具体化思考力が高まる、すなわち具体的な事例を見つけたり、引き出したりすることができるようになることで新たなアイデアなどを思いつくことができるようになるといいます。
もしも授業で使うならば・・・
自分自身や自分の子どもに対しては、日常の様々な場面で使うことができます。
授業の場で使うとしたらどのようなタイミングがあるか、私だったら次にような問いをします。
④ならば
「筆者は要するに第3段落で何を言いたかったのでしょう?」
「要するに第2~5段落では、どんなことを説明しているのでしょう?」
「このお話の内容を一文でまとめてください。」
「どの解き方にも共通していること(似ているところ)は何でしょう?」
「昨日の解き方と同じところと違うところはどこでしょう?」
「西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允の共通点は何でしょう?」
「結局、今日はどんなことを学びましたか?」
⑤ならば
「いろいろあると書いてあります。例えばどんなものがあるのですか?」
「複合図形の面積の求め方を学習しました。どんな方法がありましたか?」
「聖武天皇は仏教の力で国を治めるために、例えば何をしたのですか?」
「地球環境問題を5つ紹介してください。」
他にも山ほどありそうです。
余談ですが、子どもたちは、「いろいろなことが分かりました。」という文章を書くことが多いです。ぜひ突っ込んで具体化させてみてください。私がしつこく突っ込みを入れていると、「いろいろなことが分かりました。例えば・・・」のように勝手に具体化する文章を書く子だらけになりました。継続は力なりですね。
いかがだったでしょうか?
いろいろな授業の方法論などがあふれています。しかし、授業をもっとシンプルに考えていきたいものです。具体的には、「問い」とつけたい力をリンクさせていくことです。「抽象化思考力を高めたいから、振り返りではこの時間で学んだことをまとめさせよう。」といった感じです。マジックワードを1時間に1個使って問うことができれば、子どもたちが考える力を高め、勉強が得意になっていくでしょう。当然、すぐに目に見える結果は出ないでしょう。継続は力なりです。
今回の記事が、わずか1ミリでもあなたの助けになっていればうれしいです。
それでは、今回も私の大好きな寅さんのせりふでさようなら。
「夢なんて見てないでぐっすり眠りましょう!」
今日のまとめ
・抽象化思考力をつけて、応用力を高めよう
・抽象化思考力を高めるために「要するに?」「つまり?」と問いかけよう