運を転がす者
平日の昼間からニャーと声をあげるよ
どうも僕はシロです、よろしくどうぞ
湯布院の山奥に棲みついているんだ
何もない所？そんな事言わせないよ
だって素敵な人達が集う場所だからさ
僕にとってその日常が特別なんだ
今日は日向ごっこ日和だよね
新緑が芽吹いて、桜も段々顔を出してきて
春の風を十分なほどに満喫しちゃってるよ
ああ、なんか眠くなってきたなあ
喫茶去動真庵カフェっていう所でさ、
僕は営業部長として働いているんだ！
その代わりにご飯を頂いてるんだけどね。
湯布院の奥地にある場所でね、
縁と縁が繋がって、結ばれていく
好きな仕事だし、日々満足してる
この「喫茶去（キッサコ）」という言葉
聞き馴染みあるかな？どうかな？
実は禅語なんだよ、旦那さんが教えてくれた
どんな身分も、男女も、老若も関係なく
お茶に専念し、お茶を楽しむということなんだ
僕もここでいつものんびりさせて貰ってるよ
さて、なんか人と人とのご縁の匂いがする
ちょっと美味しいそうだな、覗いてみよう
どうやらオーナーの夫婦と学生達とで話してる
なになに。
「損得勘定で動く人に染み付いてはならない？」
「運は貯めるもので使うもの、まるでポイントカードみたいなものだね」
「好きな仕事でも、満足できない時があった」
うーん、なに言ってるかわからん。
後で、僕にもう一回直接聞いてみて。
その時はちゃんと話して、語り合おう。
今は、お兄さんに頭撫でて欲しいからさ。
あーなんかいい天気だし、どうでもいいや。
シロの目が段々閉じていく。
