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【SUMMER ROCKET Songs history】 補遺21_エネルギー

天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ
                     百人一首(僧正遍昭)

天津風とは、空高く吹き抜ける風、のことだそうです。大和読みだから日本の言葉だと思います。
東京にいても、一日に何度かは空を見上げる程には空が好きなのですが、たまに今日は空が高いなと感じる天気の日に一刷毛の雲、そんな感じの情景を思い浮かべつつ、アイドルのステージは、地上と天空の狭間に見える風景だと思っています。

さて、エネルギーは、昨年の春サマロケが5人でスタートした頃に、真夏さんに相談して書いてらった歌です。
真夏さんには、明るいメンバーたちだと認識してもらったようで、いままでとは少し雰囲気の違った歌を作りますね、とすぐにイメージが沸いたようでした。清々しい、わーっと全方向へ広がる明るさをのせて、心が明るくなるような歌を、とお願いした記憶があります。

大学の頃から結構な数の(アイドルソングの)レビューを書いてきましたが、エネルギーという歌の説明はなかなか難しい。難しいというのは、この歌のよさを文字で伝えるにはなんと書けばいいかということなのですがね。

世界観と云い空気感と云う。
自分にとって本当にいい歌だなぁと思う気持ちはどこからくるのか、と。

歌が出来上がって、初めてエネルギーというタイトルを伝えられた時には、内容の想像がつかなくて、珍しく歌詞カードから読みました。少女時代の心の高ぶりに物理的にも力が湧いてくる心持ち。なるほど~、と。
あたりまえですが、僕には少女時代はないけれど、少年時代、というか今もですが、恋愛に限らず、好きな人に出会ったり、心躍るものや風景に遭遇した時のわくわくやどきどきに、物理的な体ごと湧き上がるエネルギーを感じる、あの感じ。これか~、みたいな。やっぱり真夏さんの歌は…と嘆息しました。
アレンジもメロディも奇を衒うこともなく気持ちいいぐらい真っ直ぐな懐かしくも普遍的な音。そして、そんな歌を歌うサマロケちゃんたちのステージを眺める幸せ。人生の楽しみそのものみたいな歌です。

音楽やステージに想う気持ちは人それぞれだと思いますが、フロアと物理的に地続きにも関わらす、そこは別次元の場所だと思っています。

先にも書きましたが、僕にとっては、アイドルのステージは、自分の立っている地上から見上げる空と宇宙の間にひと時出現した、天津風に乗り天駆ける空間なのです。

エネルギーのレビューで、このことを書くのは、その、天津風に乗ったステージ上で展開するはずの光景と、エネルギーを歌っているサマロケちゃんたちの景色が、重なって見えるからです。のびのびと青春の胸の高鳴りを優雅に歌い踊る風景が、誰にでも訪れる高揚感の瞬間がしかし、きらきらと現実と幻想を行き来しているのが見えた気がするのです。

こゆきさんに作っていただいた振りも素晴らしく、水野君とも話が一致して、みなさんもそう思ってるかなぁと思うのですが、最後の止めのポーズが、オケに合わせて二回あることが驚きであるとともに新鮮かつ必然で、最後の最後まで天空の物語が伝わってくるような、なんというか感動が長引く感じが素敵すぎてしばらく目を奪われますね。

結局音楽的なレビューにはどうしてもならないわけですが、本当にこのエネルギーという歌は、耳で聴いても映像を観ても時間を置かず名曲になってしまうのだなぁと感じていますというか、断言しますね。あとはよりたくさんの人に聴いてもらって観てもらうことに力を入れていくだけです。

はな、の歌い出しを聴きながら思わず力が入り、咲希のこの先を予感しつつも落ち着いた低めのフレーズを受けて、あんずの青春を感じさせる可愛らしいパートからユニゾンへ、間髪を入れず2コーラス頭の信乃の綺麗な歌声へつづく一連の流れの情景を、体験してもらう以外に伝える術がないのがとてももどかしいのです。

そして、あと数時間後に迫った7/16(土)夕新宿LOFTのワンマンですが、サマロケの持ち歌全23曲を、発表順に歌います。ゲネプロを観ていて納得したのですが、発表順に聴くということは大いに意義がありました。ご覧になる皆さんはご自身で体感することになると思いますが、そういうことかとわかると思います。そして、新曲2曲を観た瞬間、さらに加速して飛び続けるSUMEER ROCKETを目の当たりにすることを予告しておきますね。

もう楽しみしかないなぁ、という心境です。

では、皆さん、「後悔しないように」本日、新宿LOFT、目撃してくださいね。

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