GEAIM:オンラインFPS『スペシャルフォース』に日本人プロゲーマーが誕生、プロデューサーの佐野亘 氏に企画意図を質問
公開日:2011-05-02 21:09:01
2011 年 4 月 30 日に東京・秋葉原で開催されたオフライン大会『スペシャルフォース ゴールデンカップ 2011』の会場にて、『スペシャルフォース』を日本で展開する NHN Japan 社が 2 人の日本人トッププレーヤーとプロゲーマー契約を結んだという衝撃の発表が行なわれました。どのような意図で契約が行なわれたのか、『スペシャルフォース』のプロデューサー佐野亘 氏に聞いてみました。
ーこの度、プロゲーマー契約という非常に興味深い発表がありました。こちらについて色々と質問させてください。まずは簡単に自己紹介をお願いします。
佐野: 『スペシャルフォース』の運営全般の責任者です。アップデート内容や時期の決定、イベントやキャンペーンの計画を立てたり、実行のための指示を行っています。『スペシャルフォース』をもっともっと盛り上げていくために、今回プロゲーマーという新たな取り組みを始めました。これからも頑張ります!
世界大会準優勝の実績を持つ日本トップチームUHS Athleteメンバーからプロゲーマーが誕生
ー国内に『スペシャルフォース』のプロゲーマーが誕生したわけですが、なぜこのような取り組みを実施することにしたのでしょうか?プロゲーマーを作ることで、どのようなコンテンツ展開を考えているのでしょうか?
佐野: 私たちは日々ゲームの発展を考えておりますが、『スペシャルフォース』を通じて世界のゲームやプレイヤーに触れ、韓国や台湾などの国々との温度差を強く感じました。 もちろん環境などの違いはありますが、やはりゲームの発展を考えている身としては、夢のように見えてしまいました。(笑) 「韓国はいいよね、台湾いいなー」なんて話もしていましたが、憧れているだけでは何も変わらないと思いました。 行動しなければ何も変わらないなんて当たり前なのですが、あまりにその温度差があったので、無意識に難関と思い挑戦できなかったのかもしれません。
しかし、日本の『スペシャルフォース』も 4 周年を迎え、日本代表チームが夢のようなゲーム発展国に引けを取らず世界で互角に闘える実力と、選手達の熱意にも後押しされ今回の取り組みに至りました。
今後は日本の『スペシャルフォース』のレベルアップや、日本の FPS ・ゲームの活性化に向けて大会や講習会の開催などを検討しています。
ー「プロゲーマー」を誕生させるという企画を実現するは会社からの承認を得なければならなかったと思います。この点についてのハードルの高さはいかがだったでしょうか?
佐野: 国内での前例も実績も無い取り組みなので、低くはなかったですね。 しかし最良のインターネット企業を目指している NHN Japan として、ゲームを提供しながらお客様の将来の夢に対するサポートを具体的に出来ずにおりました。 「ゲームばっかりしちゃいけません!」と、大抵の方は子供の頃大人に言われたんじゃないかと思います。
ゲームから何かを得て、ゲームがきっかけで社会に出るという形を作る事も、ゲームを提供する企業としての使命と思い、会社に対して説明をしました。 更に会社役員が世界大会や日本代表選手たちの活躍を見てきており、更に選手たちの熱意も伝わっていた事も後押しとなり、承認を受けることができました。
ー『スペシャルフォース』のトッププレーヤー SpyGea 選手と Yuti 選手の 2 名がプロゲーマーとして活動していくことになりましたが、なぜ彼らと契約することにしたのでしょうか?両名を選んだ理由について教えてください。
佐野: 実績がまず一番に挙げられますね。 SpyGea 選手は 2 年、Yuti 選手は 3 年、日本代表として世界に挑戦しています。 更に 2 人は国内での活動も積極的に行っています。 世界大会で海外の盛り上がった大会を経験したことで、日本でももっと盛り上げて行きたいという気持ちが強くなるのだと思います。 その経験は出場してみないと体験できないもので、同行しただけでは分からない感覚もあると思います。 それに加え、活性化への思いは数年前から我々にも伝えられており、「実力・実績・意識・国内外での人気」と全て揃った選手 2 名を選ばせていただきました。
毎年開催される Special Force の世界大会。
日本は 2009 年に準優勝の実績を持つ。
ー「プロゲーマー」として契約ということですが、お二人は「仕事」として活動していくことになるわけでしょうか?契約の期間や形態などについて差し支えない範囲で構いませんので教えて頂けたらと思います。
佐野: 1 年間の契約で、『スペシャルフォース』のレベルアップのために定期的にオンライン・オフラインで講習会を開催いたします。 運営の業務は一切致しませんが、ユーザー大会と公式大会の間のような、プロ主催の大会の開催なども行っていこうと考えています。 FPS に抵抗がある方からコアなプレイヤーまで、ターゲットはとても広いのですが皆さんに楽しんでいただけるタイトルを目指し活動します。
そして勿論プレイヤーとしての活動にも力を抜かず、練習を重ねていくつもりです。 プレイヤーとしての目指す先は、彼らからも話があるかと思いますが勿論世界の頂点です。 まだ日本は世界大会で優勝経験がありません。 今後、日本を世界の頂点に立たせられるぐらいにレベルアップをしていかないといけませんね。本気です。
スペシャルフォース プロゲーマーの契約書。
ーこれは話がかなり大きくなりますが、公式のプロチームが誕生したり、さらにはプロリーグなどが実現するような可能性もあるでしょうか?
佐野: いまはプロ選手 2 名なのですが、これからまず 5 名はプロゲーマーを誕生させたいと考えています。 そして 1 チーム作っただけでは、国内では大会も少なく活動の場が狭いままですので、韓国や台湾のようにプロリーグも実現したいと考えています。 時間は掛かると思いますが、そこでやっと目指す夢の始まりになると考えています。
今年は『スペシャルフォース』が世界大会『World Cyber Games』の公式競技に採用されました。こちらの日本予選を実施する予定はありますか?世界大会本戦に出場したチームの活躍等を考慮して「プロゲーマー」と契約するような事はあるでしょうか?
佐野: 今のところまだ詳細な内容は決定されていないのですが、日本も参加するつもりで準備を進めております。また、ここで活躍された選手をプロゲーマーとして契約することについては、プレイヤーご本人の意向次第で大いにありえると考えています。
World Cyber Games 日本予選が開催される可能性あり
ー「GEAIM ピープル」第 7 回に yuti さんにご登場いただいた際に、お 2 人は「UHS Athlete」のメンバーとして世界一を目標に活動されているとのことでした。今後も両名は一般プレーヤーと同じく大会に参加していくことになるのでしょうか?その際に抽選や対戦組み合わせなどの結果について、実際にはなくとも「運営が手を加えているのではないか」という意見や「プロがアマと同じ場に出てくるのはおかしいのではないか」というような意見が出てくる可能性があるのではないかと思っています。このあたりについてはどうお考えでしょうか?
佐野: そうですね、海外で活躍するプロを生み出すことが目的ではなく、日本の『スペシャルフォース』のレベルアップや活性化を目指すので、国内の一般プレイヤーと一緒に大会へ参加していく事になります。国内の大会も少ないですからね。
また、運営会社のプロゲーマーという事で様々な意見が出てくると思います。 しかし我々が目指す先の事を考えると、プロのために手を加えたりする事は矛盾してしまいますね。プロが勝つために何かしてしまっては、元々目指している夢からも脱線します。勝たせるためのプロを誕生させても、何も得られません。
またプロプレイヤーと一般プレイヤーが同じ大会に出る事は、必要だと考えています。プロプレイヤーも 1 年契約です。場合によっては、1 年限りで契約が終わる事も有り得ます。 プロとアマが刺激し合い、切磋琢磨することで日本のレベルアップにも繋がると考えています。海外のプロ事情もそうですが、やはりシビアな世界なのです。
ープロゲーマーとして活動することになった 2 人に期待する事について教えてください。
佐野: NHN Japan ・ハンゲームとして初めてのプロゲーマー誕生、日本ではまだ馴染みの少ないプロゲーマーという事で、プレッシャーも勿論ありますが、大舞台にも慣れている二人だからこそ道を作れると思っています。 強いプレイヤーではなく今後に続く道を作れるように、また自身や業界を何年も先まで見据えた活動を期待しています。
ー最後に読者の方にメッセージやお知らせなどありましたらお願いいたします。
佐野: 日本ではゲームに対してネガティブな印象を持たれがちですが、ゲームから学ぶ事はたくさんあると思っています。 二人は「二人で引っ張る」のは勿論ですが、「後に誰かが続けられる」事も意識しています。 日々皆様に楽しんでいただけるゲームのサービスを続けておりますが、これからはゲームから将来設計もできるというモデルを作っていきたいと思います。 是非、皆様も広い視野で、長い目で、ゲームを楽しんでいただけたらと思います。 それがサービス提供と考えていますので、今後の活動・展開にも注目して下さい!
『スペシャルフォース』と、プロゲーマーを今後ともよろしくお願い致します。
「スペシャルフォース」で実績を作ればプロゲーマーになれるかもしれない!?
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佐野亘プロデューサーに答えにくいであろう内容も含めて色々と質問させていただいたのですが、真摯にお答え頂きました。今後もプロゲーマー契約を実施したり、プロリーグの構想もあるとのことなのでどのような展開になっていくのか楽しみです。
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