GEAIM:『Alliance of Valiant Arms』国内トップチーム Sunsister マネージャーぅしくん氏に協賛獲得やチームの活動について聞く
公開日:2012-05-13 11:18:20
『Sunsister』は『Alliance of Valiant Arms』世界大会に日本代表として出場したり、国内の公式大会で上位入賞するなどの実績を持つ日本のトップチームです。
その Sunsister に、2012 年 3 月にゲーミングデバイスブランドの『ZOWIE GEAR』や『ARTISAN』が協賛となりサポートをうけながら活動していくことが発表されました。
この情報をお知らせ頂いた流れで、「どのようしてアピールや交渉を行ない協賛を獲得しているのか」という事に興味がわき、この部分をまとめて紹介出来たら、他にも真剣にプレーしているチームの参考になるのではということで、そもそも Sunsister とはどんなチームなのかということから、マネージャーを務めるぅしくん氏に色々と質問をさせていただきました。
ーまずは簡単な自己紹介をお願いします。また、チームマネージャーとしてどのような役割を担当しているのでしょうか?
「ぅしくん」と申します。「う」は小さい「ぅ」になります。
自分自身は今回協賛の始まった AVA チームのメンバーとしては活動せずにマネージメントのみを主体に参加しています。
チームマネージャーとしては、チームスターティングメンバーに対して機材の故障損傷劣化の有無の確認を行ない、問題があった場合はスポンサーのメーカーさんに一括手配する作業などを担当しています。ゲーム内での活動に関しては、スタメンをはじめプレーヤーに一任している状態です。やはり現場でないとわからない事が多くあると思いますし。現在はお父さん的なプレーヤーもチームに所属してもらっているので助かっています。
今回お話を聞いたぅしくんさんと、お父さん的なプレーヤーこともるちゃん氏。
ー『Sunsister』 とはどのようなチームなのでしょうか? 年齢層、活動内容、活動方針などを教えてもらえますか?
スタメンで言うと 20 代前半から中盤が主体です。
活動内容としては他のクランの方々とさほど差は無いかと思います。
ただし、クラン戦(CW)に関してはスタメンが最優先で出場するようにしています。現在は以下の4名がスタメンとなっており、5人目は確定ではありません。
●CherylNome(シェリルノーム)チームマスター・スナイパー
●Fish-LAnd(フィッシュランド)メンタルアタッカー・アサルト
●KenRoku(ケンロク)アタッカー・アサルト
●NumLock(ナムロック)バックアップ・アサルト
活動内容に関しては、一日を通して現れた結果を翌日に反映させるのではなく、一試合単位で内容の検討を個々で意識して行なうように心がけています。
活動方針としては「オンとオフをしっかりと切り替えて活動する」に尽きると思います。
真面目に叱咤激励しあいながらクラン戦も行いますが、時にはメンバーで『League of Legends』など、別のゲームゲーをプレーしたりとON と OFF をしっかり切り替えて活動を行うようにしています。
Sunsister メンバー。2011年に韓国で開催されたIeSFに日本代表として出場。
大会で上位となるチームともなると、反省会でケンカになるような激しいやりとりもあるのかと想像してしまいますが、そういうことはありますか? そのような場合にマネージャーとして何か対処等するのでしょうか?
やはり通常の CW 後はもちろんなんですが、世界大会に出場して予選終了後の夜に激しい口論が起きたりということがありました。
さきほどの質問でもお答えしましたが、プレーやゲーム内の事には基本的に干渉はしないようにしています。チーム内での衝突は、当人同士が殴りあいをしてでもわかりあうべきだと考えています。もちろん殴り合いを始めたらとめますが(笑)。
私の考えとしては、ある程度ゲームの内外に線をを引くことで客観的にチームを見る事が出来ると考えています。ドライにチームを見る事で、良い部分と悪い部分が見えやすくなると考えています
『Sunsister』 が AVA をメインに活動する理由はなんでしょうか?。今後、他のタイトルで活動したり、別タイトルで活動するメンバーを入れたりというようなことは考えていますか?
私自身も思うことですが AVA というゲームは個々人の AIM や立ち回りを計りに勝者が決するゲームでは無く、数ある FPS の中でも特にチーム力・連携力が試されるゲーム性だと考えています。FPS でよくあるヘッドショット = KILL というゲーム性では無い事からその要素が強く出ているのだと思います。
ゲームタイトルに関しては「今現在は」他に移動などや他のタイトル用のチーム編成を行うなどは考えていません。もちろん他タイトルが新しくリリースされていく中でどのような出会いがあるかはわからないので今現在は無いといった感じです。
複数タイトルで両方で成績を収めれるほど器用な人間が 『Sunsister』 には居ないというのが本音です。今目の前にあることを精一杯やろうの精神で頑張っています。
AVA はオフライン大会にものすごい数の観客が訪れるそうですね。自分の場合は、昔オフラインのネットカフェ大会に出場してからゲームに対する世界観等が大きく変わりました。オフライン大会に出場する理由や魅力などを教えてください。
AVA のオフライン大会の参加者は数を重ねるごとに増えているのが目に見えてわかります。
例えばスタメンの Fish-LAnd、Kenroku、私の居住する石川県のオフラインイベントですと、開催初回の参加者が 10 名ちょっとと運営側からすれば大惨敗であろう結果になっていました。しかしここ最近の参加状況は定員 40 名に対し、参加者は抽選式な上に当日も当日参加枠を競って早くから来場される方がいるほどでかなり盛況なイベントになっています。
2012年に石川県で行なわれ大盛況となったオフラインイベントの参加者
各地方規模のオフラインネットカフェイベントの配信では、地方放送の小規模イベントにもかかわらず、常時視聴数で 200 前後、累計視聴数で 2,000~3,000 規模のコンテンツになってきています。ここまでの知名度やイベントに来やすいクオリティを作り出した ゲームオン社のオフラインイベントチームは本当に努力をしたと思っています。
オフライン大会に参加する理由というと、一番の評価ポイントになるというのが大きいと思います。ただゲームをしているだけでは長々練習を積み重ねてきて自己満足の域を抜ける事は無いですが、オフラインイベントを通じて今まで自分が積み上げて来たことのモノサシにもなりますし、そして自他ともに認める結果がついてくることが最大の参加理由になると思います。
あとは、ゲームオン社の運営チームは非常に斬新な動きをとっていると考えています。
大会終了後は懇親会を行いユーザーと運営のコミュニケーションの場が用意されています。私が当時他のオンラインゲームをやっていたころは「運営 = 理不尽な仕様変更やルールを強制してくる嫌なやつら」というイメージを持っていました。
しかし、ゲームオン社の運営チームはそうでは無く、「ユーザーと運営が AVA というひとつのコンテンツをより良いものにしていく」という考えでイベントやゲームルールなどを作ってくれているので、オフラインイベントに参加することで自分の意見が取り入れられるかもと考えると楽しくなります。
今のマネージャーとしての私も、運営とある程度近い環境だったからこそゲームに対して真剣に取り組めたのかもしれません。
AVA井上プロデューサー(左)と協力してイベント進行するSunsisterメンバー。
Tシャツはサポートを受ける ZOWIE GEARのもの。
ゲーミングデバイスメーカー『ZOWIE GEAR』との契約更新、『ARTISAN』との新規契約更新が発表されました。それぞれ、どのような経緯で契約することになったのでしょうか?
『ZOWIE GEAR』(代理店: マスタードシード社)さんに関しては私自身が当時プレーヤーとして活動をしていたときに、ユーザー主催イベントをお手伝いさせてもらったことがあったのですが、その際にご協力いただいていたマスタードシード社のご担当者さんに「うちのチームはすごいです」と直接売り込みを行ないました。
そのような売り込みをしてみようと決めたきっかけは、同ゲーム内の大御所クラン DeToNatorにスポンサーがついた事でした。それを耳にして負けてられるかという気持ちだけで動きはじめました。『ZOWIE GEAR』さんサイドも AVA には注目を集めており、想像していたよりも早く協賛の返事をいただいたのを覚えています。
ゲーミングデバイスブランド『ZOWIE GEAR』。
日本のチームやイベントをスポンサードしている。
その後、 『ZOWIE GEAR』 のサポートを受けながら各種大会で上位入賞を続けました。その大会のひとつで 『ARTISAN』 のブースが展開されていた時にメンバーに声をかけていただきました。 『ARTISAN』さん に関しては私が主導で動いたのもありましたが、『ARTISAN』さん からもお声をいただき、双方歩み寄る感じでお話が進んでいきました。
丁度そのころ 『ZOWIE GEAR』 の契約更新時期も目前だった為、「契約更新はどうするのか?」と 『ARTISAN』 の瀬尾さん(@Hellsing_JpN)から熱烈なラブコールが凄まじかったですね。
その後、『ARTISAN』 社長さんにお会いし、 『ARTISAN』 の考え方やPC ゲームでのマウスパッドの重要性などについてお話を聞きました。
日本製の高性能ゲーミングマウスパッドを展開する『ARTISAN』。
日本はもちろん、世界的に有名なプレーヤーも使用している。
しかし、現状 『ZOWIE GEAR』 からはマウスパッドのサポートもあり、メンバーも 『ZOWIE GEAR』 には恩があり感謝している、『ARTISAN』 のサポートが開始されるにあたり 『ZOWIE GEAR』 が撤退するのでは意味が無い!でも 『ARTISAN』 のパッドはチーム全体の底上げになる!と無理難題を突きつけられました。
実際、同系列商品を扱っている部分があるため双方の折り合いをつけるのが一番大変でした。『ZOWIE GEAR』に加えて、ゲーミングマウスパッドをメインとしている『ARTISAN』 と契約したとなると、『ZOWIE GEAR』のマウスパッドよりも『ARTISAN』の製品の方が優れているのではないかというイメージを与えてしまう可能性がありますから。
そこで両者の担当者さんと長い時間をかけて話し合いをさせてもらい、結果として双方に協賛していただくことになりました。
今回 『ARTISAN』 の提供を受けるにあたって 『ZOWIE GEAR』 からのマウスパッド支給は無くなっていません。プレーヤーが自分の相性にあったマウスパッドを選択して使用できる環境になっています。 実際に、マウスパッドはそれぞれのメンバーが両ブランドの製品を使い分けています。その人それぞれの好みや感覚がありますのでそこを重視する結果となりました。
IeSF 出場時は ZOWIE GEAR のデバイスを使用。
現在は選手がスタイルに合わせてデバイスを選択している。
スポンサードを獲得するのは簡単な事ではないと思いますが、どのようなことを売り込んだのでしょうか? このようにすると良いというようなことはありますか?
私自身が本職は営業職をさせていただいていますので、自社で取り扱う商品を売り込むのと感覚は変わりませんでした。
今回の場合でいう商品は「クランとしての知名度」「クランとしての話題性」です。その部分をメリット・デメリットをしっかり提示し、その上でこちらの要望を提示するという流れです。それに加えて「協賛を行っていただくことで、将来的にはこういうことが可能になるかもしれない」という将来性の提示が重要だと思います。
デバイス 1 セットで 3~4 万円になりますし、それをスタメン 5 名分を恒久的に提供するという事を企業として、チームとして高く見るのか低く見るのかが重要になります。自身のチームやイベントをひとつの会社だと考えて本当にメリットが存在するのかどうかを考えればおのずと動き方は見えてくると思います。
協賛を受けているにもかかわらず結果を残すことが出来ない、イベントを盛況にする事が出来ないような結果になると、自分達はもちろん周りの評判を低下させることになります。 「たかがゲームのチーム」「たかがゲームのオンラインイベント」と思わず、それ自体にプライドを持ちブランディングを行なう意識を持つのが大切だと考えます。
どのデバイス企業さんも「イベントに商品を提供して結果が出ないことよりも、結果を出そうとしているように思えないので協賛は控えています」という声がやはり多いので、協賛を獲得することをゴールとせず、協賛をしてもらってからがスタートだという意識で望んで行くと結果がついてくると思います。
『ARTISAN』からは活動費用のサポートがあるそうですね。どのような活動を行っていく予定ですか?
私自身の飲み代に消えます!!!というのは冗談で、クランの総合的な活動資金としてひとつの口座にプールする形を取り、預託金のようなイメージで管理しています。
例えばメンバーの PC に故障が発生した場合に、代替機やパーツを購入する費用であったり緊急時に利用する形になります。
最後にチームの活動予定や、読者の方にメッセージ等あればよろしくお願いいたします。
活動予定としては現在世界大会に通じる大規模な公式大会に向けてチーム力・個人レベルの底上げをし望みたいと考えています。また、現在行われている地方のオフラインイベントなどにも参加し、協賛いただいている『ZOWIE GEAR』 と 『ARTISAN』 製品のアピール活動も行っていく予定です。
まだまだ日本国内で言えば e-sports の知名度は低いです。 『Sunsister』 がどこまでやれるかわかりませんが、選手一同そしてマネージャーとしても業界発展の力になれたらと考えていますので応援よろしくお願いします。
Sunsister のこれからの活動にも注目
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いろいろな質問に答えていただきました。
ZOWIE GEAR の Vincent CEO にインタビューした時には「成績というのはあまり重視していなくて、やはり熱意や情熱がありそれに応えてえてあげたいというチームや選手のサポートをしたいですね。」とお話されていたのですが、今回聞いたお話でも「熱意や一生懸命さ」が感じられた気がします。
周りが応援したくなるほど「真剣に取り組む」ということが、シンプルながら魅力なチームを作り上げていく上で、非常に重要な要素なのかも知れません。
そういうチームになることが、協賛パートナー獲得をする際の第一歩になるのではないでしょうか。
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