女性躍進
娘が寝るか寝ないか50:50だったけど、帰りに三角チョコパイを2種類買って帰宅した。
結局娘は寝ず、もう娘のことは無視してちゃんと三角チョコパイ楽しむぞこれだけは誰にも阻害されないぞって思って食卓についたのに、娘がどこから見つけてきたのかエプロンとカトラリーを持って私の足元まできた。
悔しいが負け。
彼女を椅子に座らせ好物のバナナと米粉クレープの生地を出すが、間も無くして案の定私の三角パイをせがんできて、無視していても大泣きしてうるさいので仕方なく端っこだけあげる。
しかしすぐ食べて次の一口をせがんでくる。
絶対にあげたくない私は、必然的に食べるスピードが速くなる。
目的がいかに娘に食べられないかになってしまって、私のパイはあっという間に終わってしまった。
娘にあげたパイは3口くらいでとどめられたが、せっかくのパイの時間が、頭の中が娘を無視しようとするエネルギーと、「この一口で黙ってくれ」という願いと、もう絶対にあげないぞという気持ちからくる焦りで、何も残らなかった。
食べ終わったあと目の前に置かれた紙の入れ物が空虚感を増長させる。
昨晩あらゆる三角チョコパイのYouTubeをみてASMRを聴きながら寝落ちしてイメトレしてせっかくわざわざマックに行って慣れないモバイルオーダーを緊張しながらやって高いカロリー摂取したのに何も残ってない。
美味しかった記憶とか食感もない!うざ!!私の脂肪返せ。
*
もうすぐ冬がやってきている。
どうりで、お酒は引き続き緩く断っているのに気づけば体重がアル中のときに戻っている。
私は冬になると冬眠する。
ピークは年明け〜2月で、前年秋からその準備に入る。
冬眠は半分比喩半分リアルで、高校生のときの冬はほぼ午後登校だったし、社会人なってからも冬だけ休んじゃったし、昨年子どもが産まれて初めての冬は、どうだっただろう。
あんまり冬眠しなかったか。
たったいま書いた冬眠エピ、大学だけ抜けている。
そう大学の4年間だけは冬眠しなかった。
そして昨年の育休中も冬眠しなかった。
分かっている。冬眠とかいってただの逃げであることは。
ただ嫌な環境で、常に逃げたくて、そういう時だけ冬眠しちゃう。
育休2年目の今年、引き続き毎日気楽なのでおそらく冬眠はしないだろう。
でも体は冬眠モードに入ってしまうので、肥えるし眠いし身も心もだるい。
あー早く春にならないかな。
でもそしたらいよいよ復職だ。
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この三連休、土曜と月曜はヨシオとの予定を入れた。
彼は目的のない外出は嫌がるくせにずっと家にいると「今日ずっと家にいたねーかわいそうに」と娘に言う。かといって支援センターは「嫌だ」という。(みなさん既知のヨシオ)
しかも彼の予定は事前予約制なので、子どもとの家族3人の予定を入れるときは予めLINEで日程を抑えていかないといけない。(口頭はNG、絶対に文字に残す)
それで、土曜は近所の幼稚園の運動会見学、月曜はお教室にいくことにした。
土曜は見学のあと公園で娘はお弁当を食べ、その帰り道にベビーカーで寝たので、大人の昼食としてもんじゃに入った。
久々の外のご飯。
久々に落ち着いて食べられるご飯。
真隣にベビーカーはいるけど、久々に旦那と二人で過ごす時間。
日曜もベビーカー移動で徒歩往復30分くらいの距離だったので、二人の時間が創出された。
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今までヨシオと会話ができなかった。
というか話すことがなさすぎた。
二人暮らしのときから家で同じ空間で過ごしていても別々のことをしていたし、ご飯屋さんに行っても彼はTikTokか水ダウかドラえもんをみようとし、私は食事中に携帯をいじっている人がマナー的に嫌なので「やめてよ」というと「はい、やめました。何の話する?話題提供して?」と言ってきて、確かに話すことがない。
たわいもないレベルの話は探せばあるんだろうけど、ヨシオの口癖は「で?」「オチは?」「結論は?」なので、話す気が失せる。よくもまああれでキャバクラやらラウンジの嬢たちと話せるもんだ。
でもこの二日間の二人時間は意外と会話が弾んだ。
弾んだといってもたわいもない話ではなく、男尊女卑の社会や、仕事における私の今後について。
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大前提、彼は私に専業主婦になってほしいと、これは大昔から言っている。子どもができる前から言っていた。それは自分が完璧な家で育ったので、同じレベルの環境を提供されたいから。(義母は働いていたが)
そして今回新たに得たヨシオ思想情報としては、ちょっとこれ以降の話は私が上手く書けるか不安でたくさんの語弊を生みそうで全国のフェミニストからブッ刺されそうで現在読んでくださっている方も私に失望してフォロー解除されそうなのだが(「ヨシオのことは嫌いになってもよっしーのことは嫌いにならいでください」)、そもそも身体の作り的に男性は外で働き、女性は子どもを育てるのが向いているのだと。
男性はアウト、、アウターなんとかで、女性はインナー、、マッスルではなく、インナーなんとかが強い。
男性は外向きのエネルギーが強くて(ほら性欲も男の方が強いでしょと)、女性は内側を守るのに適している。
DINKSとかそういう思想は一旦さておき、地球上のヒト科としての使命は繁栄で、それができるのは女性だけ。女性にしか出産はできない。
でも出産育児(産育休)で女性のキャリアがどうのこうの、男尊女卑と叫ばれているこの世の中、役員の○割は女性とか言ってるけど、それはむしろ男尊女卑を助長させている。
あくまでも世間からの見え方しか考えられていなくて本質的ではない。
女性に本当に能力があればなれるはずだし(チャンスが巡ってくる率が違うとかありますよねわかります、一旦ここはヨシオの意見だけ)、それこそ女性軽視だ。
女性を見下しているから優遇するんだ。
専業主婦の何が嫌って、結果がすぐに目に見えるものではないし、正解不正解がない、やろうと思えば誰にでもできる、だから承認欲求が満たされにくい(育児で親の自己承認欲求を満たすのは大変危険だし)、結局カネは強いので、カネを生み出す仕組みに乗っかっていない限りカネの出所に依存していることに変わりなく夫に虐げられているところと私は言った。
そしたら、第三者に家事育児の働きを点数評価してもらってそれが妻側のその月のお給料とかどう?って話になったが、現状そんなビジネスは存在しないのでこんな風に思っている夫婦は我々だけなのだろう。
再びヨシオの意見。
心と身体が一致していない人は置いといて、男だって、もしかしたら子ども産みたいけど身体的に産めないから諦めてるという人もいるかもしれない。
それなのに、女性は出産もして仕事も男性と均等にって、それは不公平。(ここらへんは私の記憶が曖昧)
男女の違いとして論理的とか感情的とかあるけど、思考は後から努力で変えられる部分もあるのでそれを理由に男女の処遇に差をつけるのは違うと思うけど、身体的なことはどうしたって無理。
だから、特に産育休中は女性が子育てに勤しみ、その分男性は外で働いて資金面で家庭に還元する。
子どもの成長や愛着形成云々はまた別だが、大枠ではこういう役割分担の上で家庭というのは成り立つ。
これらについては、例のdv事件後初めて腹割対話のときにちょっと話したことがあった。
そして、私はバリキャリに憧れだけ持っている実力が一切伴っていないぐでたま族なので、彼の意見は理解できてしまう。
女性躍進!!と謳っているばかりに、女性は自分で自分の首をしめているのではと思ってしまう。
私は働くことに向いていないのでそう思うのであって、きっとバリバリ働けるポテンシャルがあればこんなことは思わないだろう。
*
私は新卒からずっと同じ会社で働いている。
よくいる文系出身の営業職で、履歴書に書ける資格は秘書検定3級と普通自動車免許のみ。
ヨシオ「今まで働いてきたことで得られたスキルは?何が言える?」
私「…電話をとる速さ」
ヨシオ「あなたは子育てが落ち着いたら絶対に働きたいという意欲が出てくる。あなたは人に流されやすいけど、やりたいという意思は強くある。憧れ持ちがち。仮に40歳になってやりたいことがでてきても、今の会社にいたままじゃ何もスキルないから始められない。汎用性スキル0。というか既にもう転職市場で貰い手はいない。だから可哀想。よっしーには、楽しく、もしくは楽に稼げる、もっとコスパのいい向いている仕事があるよ。」
確かに私のいる会社は、ただ働いてるだけではなんのスキルも身につかないし、業界的にもこの先シュリンクしていくし、基本年功序列だし、私は異動のない総合職という雇用枠だが、実態は「女性躍進」という言葉に踊らされて低賃金で総合職並の負荷がある仕事(それを彼らは「ストレッチが効いている」とポジティブ表現をする)をさせられているし、これらの全てがヨシオは気に食わないらしい。
それは世の中のへの提言というわけではなく、だからヨシオの労働1時間と、こんな実態で働いている私の1時間が同等であることが不公平だと感じているから、家事育児を分担することに納得いかないらしい。
ヨシオに言わせると、私が今と同じ会社でもグローバルな部署や新規事業の立ち上げに携わっていれば「いい」。
変な話、資格試験勉強で10時間カフェに篭るから子どもの面倒見て、というのもいいらしい。
「その資格が今後どのくらいの価値をもたらすものなのかと、試験勉強に一日10時間必要なのかは調べるけど」。
とにかく、現状の個人営業部署でオジサンたちと茶しばいてるのはだめ。
彼が家事育児を基本やらないスタンス、私の復職後の分担も雲行きが怪しそうな背景が、今回随分とクリアになった。
「新規事業とかはあなたが興味ある分野だからよく見えるだけでしょ。私は今の会社でいいと思ってるの。人もいいし福利厚生も手厚いし。私の意思は尊重してくれないんですか」と一応言ってみたものの、私がそこまで仕事にやり甲斐を感じておらず惰性で目的もなくただ時間を過ごしているだけで今の育休を楽しんでいることはバレている。
彼はこの三連休の会話の中で二、三回「あなたのことを一番よく知ってるの俺なんだから」と臭い台詞を口にしていた。
「俺はね、40歳になってもよっしーが楽しく自分のやりたい仕事ができるようになっていてほしいの。何もスキルがないからと諦めるの可哀想。10年後俺の言うこと聞いといてよかったって絶対思うからね」
ほんと私20代で何も成し遂げてこなかった。
それこそ世に還元したのはヒトを一人増やしたことくらい。それも自己満だし。
20代で積み重ねてきたことが30代で出ると言うが、多分本当だ。29歳の時点で既に感じている。
昨日会った高校の友人も、これまでどんなにライフステージが変わっても仲良くしてきたが、見えない格差がじわじわと広がっていくのを草っ原でピクニックしながら薄っすらと感じた。
彼女は年収1000万は超のバリキャリで(第二新卒で行きたかった業界に見事就職、好きを仕事にタイプで夢も叶えた)、新婚子なし、最近社内メンバーでバンドを始めたという。
「昔からバンドやってみたかったんだ」
彼女は眩しくて、ただ酸素吸って二酸化炭素吐いてるだけの私が嫉妬する権利なんてないのに羨ましかった。
毎週華金はバンド練習してそのまま朝まで飲むらしい。
このままではどんどん友人を失いそうだ。
話が合わなくなる。みんなあまりにも自立している。
「いい学校」に入ることで一番得られることは「いい友人」というのが数少ない実母からの教えだったのに、その友人を失うなんて私いよいよ今まで何やってきたのかわからなくなる。
ヨシオの言う通り、結局私は憧れることをやめられない。