今の不登校と地域支援の相性について



現代の不登校の子どもたちを支援するための居場所づくりにおいて、「地域のため」「地域支援」として活動する際の助成金が絡むと、どうしても地域の学校や教育委員会との連携が求められます。しかし、ここに大きな相性のズレが生じているように感じます。学校や教育委員会の基本的なスタンスは「学校に来れるようにすること」であり、不登校の子どもたちが「学校以外で学びたい」という新しい選択肢とは方向性が異なるからです。

学校と地域支援のギャップ

学校や教育委員会が「学校以外で学ぶこと」を支援する姿勢を見せたとしても、その支援は結局「学校の勉強を別の場所でやる」という形に限られてしまうことが多いのが現状です。これは、学校が学習指導要領を基盤にしているため、それ以外の学びの形を十分に理解したり、サポートすることが難しいからでしょう。このギャップが、学校外で多様な学びを求める子どもたちにとって大きな壁となっています。

さらに、「地域支援」のための「不登校の居場所」という視点が強調されると、その地域内での解決を求められることが多く、結果的に地域以外の子どもたちがアクセスしにくくなります。例えば、他の地域の不登校の子どもを支援施設に紹介したり、異なる地域同士での協力が難しくなり、閉鎖的な構造が生まれやすくなるのです。このような地域限定の枠組みが、デジタル時代における不登校の子どもたちのニーズとは相性が良くないのではないでしょうか。

グローバルな視野を持つ子どもたち

今日の子どもたちは、スマートフォンやYouTubeといったデジタルツールを通じて、世界中の情報や学びを容易に手に入れることができます。ネットを介してグローバルな視点や多様な考え方に触れることで、地域や学校の枠にとらわれない学び方を志向するようになっています。そんな中、学校の閉鎖的な環境から不登校となった子どもが、地域限定の居場所に来ても、その閉鎖的な雰囲気にさらされることになり、さらに苦しみを感じることもあるでしょう。

今の不登校の背景には、学校というアナログ的で閉じられた世界に対する息苦しさがあることが多いです。そのため、「地域のため」としての支援では、グローバルでデジタルな意識を持つ子どもたちには応えきれないのではないかと懸念されます。彼らにとって、地域という狭い枠にとらわれることは、デジタル時代の自由な情報の流れや多様な学びを制限されているように感じられるかもしれません。

広がりを持つ居場所の必要性

もちろん、各自治体が地域の中で頑張ろうとしてくれることは素晴らしいことです。しかし、今のデジタル情報化社会において、グローバルな視野を持つ子どもたちにとっては、地域に限定された支援には限界があります。むしろ、地域を越えて、県や都、さらには全国規模で不登校の子どもたちの居場所を連携させ、選択肢を増やすことが必要ではないでしょうか。

子どもたちは、それぞれのニーズや学び方が異なります。地域限定の支援ではなく、異なる地域の子どもたちともつながることで、多様な学びの場を提供できるはずです。現代の子どもたちにとって、「学びの選択肢を広げる」という視点は非常に重要です。地域内で閉じた支援ではなく、リアルな場所での交流とオンラインでのつながりを組み合わせた、ハイブリッドな学びの環境が求められているのです。

ハイブリッドな学びの場としてのシン・スクール

私たちがシン・スクールで目指しているのは、まさにこのハイブリッドな学びの場です。地域に縛られることなく、リアルな場所での交流と、オンラインでのつながりの両方を提供しています。地域支援の枠を越え、ドイツや地方から来る子どもたちも、リアルな場で学び、交流することができる。また、逆に私たちが地方に出向き、オンラインでの学びを提供することもあります。

地域のための助成金に頼らず、独自の仕組みで子どもたちに広がりのある学びの場を提供する。これは、今のデジタル時代に合った新しい学びの形であり、不登校の子どもたちが自由に選べる環境を作り出すための挑戦でもあります。

結論

不登校の子どもたちにとって、地域支援という枠にとらわれた居場所は、時に彼らのニーズと相性が良くないことがあります。現代のデジタル情報社会において、子どもたちは地域を越えた広がりのある学びやつながりを求めています。リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッドな学びの場が、今の子どもたちにとって必要とされているのではないでしょうか。地域という枠にとらわれず、もっと広い視野で子どもたちの未来をサポートすることが、これからの不登校支援において重要なポイントです。

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吉澤一雅(ヨッシー塾長)
これからも「オモシロと学び」の情報や考え方を伝えていきたいのでサポート頂けたら嬉しいです!