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泣いた赤おに②

 思えば30年間、医師不足という言葉に寄り添いながら医師生活を送ってきた。医療過疎地域における医療に携わってみて一つ気づいた事がある。それはどんなに良い医師でも、時と場合により「鬼の面」をかぶってしまうということだ。例えば私のように若くない医師では、だんだん体が利かなくなり、物覚えが悪くなってきたのをひとのせいにして、怒鳴ってしまうのはよくある話。体力も気力も有り余る若手医師でも、医療の現場に慣れてきて何となく自信がついてきた頃に、知らず知らずのうちに増えてしまった、力量を超える頼まれ仕事に圧し潰されそうになり、思わず爆発してしまうなど。医師の少ない地域では、医師以外のスタッフも不足しており、なおさらである。(つづく)