プロバイオティクスがエンドカンナビノイドシステムを調節する
概要
酪酸は、血糖値を下げてエネルギー代謝を促進することで宿主の代謝プロセスを強化することが知られている重要な微生物代謝産物であり、メタボリック シンドロームの発症リスクを潜在的に抑制します。
この研究では、食物摂取とエネルギー代謝を調節するエンドカンナビノイドシステムの調節に対する酪酸の活性を調べました。
さらに、エンドカンナビノイドシステムに対するプロバイオティクスの影響を調査するために、酪酸を生成するようにプロバイオティクスを遺伝子操作しました。
体内には、地球上で生きていくために本来備わっている身体調節機能=内因性カンナビノイド系(Endocannabinoid system)があります。
内因性カンナビノイド系は、食欲、痛み、免疫調整、感情制御、運動機能、発達と老化、神経保護、認知と記憶などの機能をもち、細胞同士のコミュニケーション活動を支えています。
内因性カンナビノイド系は、1990年代に発見された“アナンダミド”と“2-AG”と呼ばれる体内カンナビノイドとそれらと結合する神経細胞上に多いカンナビノイド受容体“CB1”、免疫細胞上に多いカンナビノイド受容体“CB2”などで構成され、全身に分布しています。
内因性カンナビノイド系は、外部からの強いストレスを受けたり、加齢に伴う老化によって、内因性カンナビノイド系の働きが弱り、いわゆる「カンナビノイド欠乏症」になると、様々疾患になることが明らかになってきました。
この研究は、操作されたプロバイオティクスが、エンドカンナビノイド合成および分解酵素の発現をダウンレギュレートおよびアップレギュレートすることにより、エンドカンナビノイドシステムに拮抗効果を発揮したことをそれぞれ示しています。
この結果は、酪酸がエンドカンナビノイドシステムを調節できること、および腸内微生物叢への酪酸産生細菌の組み込みが、恒常性代謝プロセスの再確立とメタボリックシンドロームの緩和に役立つ可能性があることを示唆しています。
詳細は参考文献をご覧ください。
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