大手銀行で手形・小切手発行終了することについて
先週の日経ニュースに大手行が紙の手形・小切手発行終了のニュースが出ていましたので、なぜそんな動きになっているのかお客さまから聞かれても答えられるよう簡単にまとめたいと思います。
大手銀行が手形・小切手の発行を終了する背景
銀行が紙の手形・小切手の発行を終了する背景として、大きくは3点あると思っています。
まず一つ目ですが、①デジタル化の進展です。
銀行業界は、ここ十数年で急速にデジタル化を進めており、紙の書類や現金を使わない取引が増えています。インターネットバンキングや電子決済が一般化する中で、手形・小切手を電子化する動きとして2013年に全銀電子債権ネットワーク株式会社が運営する「でんさいネット」がスタートし、決済をデジタルで完結できる環境を徐々に確立してきました。
でんさいネットが始まった当時、私は入行2年目で、インターネットバンキングの契約がある先であれば、無料で機能追加ができるような仕様(決済する際には料金はかかります)になっていたので担当全先にお願いに回った記憶があります。
(当時全銀協の会長行だったので、他行に件数では負けてはいけないみたいな話があり強烈な旗振りが行われたいたことも思い出しました・・・)
二つ目が②セキュリティと透明性の向上の観点です。
紙の手形や小切手は、紛失、偽造、不正利用などのリスクがあります。電子決済に移行することで、取引の安全性や透明性が向上させることができます。
余談ですが、銀行員が顧客訪問で手形・小切手を預かる際、盗難や紛失した時の被害を最小限に防ぐ横線判という手形・小切手の資金化が出来る銀行・支店を限定させることができるハンコを持参していました。よく持っていくのを忘れたり、無くしたり(無くすと罪が重いです)したみたいな話を聞きましたが、今後はそのような心配もなくなるかもしれません。
最後が③コスト削減の観点です。
紙の手形や小切手は、印刷、配送、保管といったさまざまなコストがかかります。デジタル化により、こうしたコストを大幅に削減できるのは銀行にとって大きなメリットになります。
企業側にとっても手形の取立てや割引手続きがなくなることで、業務の効率化が図れ、コスト削減につながりますが、紙の文化が定着してしまっている企業などへの説明は苦心するのではないかと予想をしております。
まとめ
私個人の感想としてはようやくここまできたかというのが正直なところです。
ただ、利用者の企業側にとっては銀行都合で勝手に変えたとも捉えれる可能性もありますので、背景を正しく理解して、説明できるようにできると良いかなと思います。