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絶・デスクツアー


思い返せば、椅子を買ったことが、始まりだった気がします。

座面自体がグラグラ動く個性的な椅子ですが、座り心地はとても良く、長時間座っても腰が痛くならないので、いまもって音楽や動画制作に、執筆に、3D モデリングに、重宝しています。

……いや、椅子購入の前から DTM をするための諸々の機材を少しずつ買い集めていましたね。

”チューンナップ”と称しては機材を揃え、楽器を買い集め、チューンナップ”完了”と言いながらまたいいギターに手を出す……

もちろん、後悔なんてこれっぽっちもありません。
おかげで、音楽をボクなりに楽しめていますから。

機材チューンナップの旅は、もしかすると”完了”したときがスタートなのかもしれませんね。


……なんてカッコつけた言い訳をほざいてみたものの、現実のボクはそんな小賢しい思考とは裏腹に、チューンナップという名の物欲にひた走ってきたのでした。

このとき購入したメインマシンが、いまも使っている Mac mini(M2 Pro)です。
いまもって動作には不満も不安もまったくありません。
M4 が出たから、なんですか?
かわいく小さくなったのにえげつないパワーアップしたからって、なんなんですか?

もとい。
Mac miniを買ったときに、モニターやアーム、キーボードなど、基本的なものも買い揃えました。
その少し前に iPad も M2 チップが搭載された Pro を購入し、もはや敵なしとすら思っていました。
その iPad を Mac mini のサブモニターにすることも思いつき、”真”デスクトップとして以前に紹介していますね。


この時点で、ボクのデスクトップは完成したと思っていたのですが、そんなデスク環境をぶっ壊す大きな人生の転機が訪れました。

生活拠点を福岡から大阪に移すことになり、当然ながら住まいも書斎も変わることから、思い切ってデスク環境をイチから再構築することにしたのでした。

憧れの PREDUCTS デスク。
Mac やオーディオインターフェイス、MIDI キーボードなど、工夫次第であらゆるものをデスク裏のモジュールにぶら下げることで、机上の空間を最大限に広くすることができるエコシステム。
おかげで、新居の5畳の極狭書斎でも、ボクのデスクはこれ以上ない“広さ”を手にすることができました。
まさに、”極”みに達したわけです。

デスクに座るたびに、満足感に浸る日々。
“広い“って、正義。
その満足感に背中を押されるように、デスクでの制作・執筆・勉強活動はとっても捗っています。


そんなある日、PREDUSTS からこんな記事が。

DASHBOARD たる製品を目にしたとき、正直な第一印象は

「せっかく広げた机上の空間を狭くしてどうするんだ」

という、生意気にも反発的なものでした。

Mac やオーディオインターフェイスを机裏にぶら下げたのは、机上の自由な空間を広げるため。
これにより、ボクはキーボードを打ちながらも同時に何冊もの(言い過ぎ笑。3-4冊が限度です)本を広げることができ、さらにはなにも片付けることなくそのままノートにメモやデザインを記すという行為までもが、ひとつの机上で可能となったわけです。

とくに執筆中においては、書いてる途中に疑問が出てきて本で調べて Mac で検索してという一連の行為が、どこかでなにかを片付けるという中断行為なくシームレスに動くことができるということの恩恵は、計り知れません。

ここに、PREDUCTS デスクの最大の価値を見出していたわけです。

故に、DASHBOARD たる商品が PREDUCTS のラインナップに連なって以降も、ボクの食指は動くことはなく、広大なデスクの海で悠々と泳ぎながら自分の作業に勤しんでいたのです。
その思考の海では、作業自体が多少の苦痛を伴うものであったとしても、かかる苦痛をも和らげてくれるような“広さ”、言い換えるならば“寛容さ"を有していたのです。

ところが、久しぶりに上記のジャーナルを読み返してみると( PREDUCTS の Web サイトはとても美しいので、時間があるときについつい見入ってしまう)、そこには改めてこんなことが書いてあることに気がつきました。

収納するより目に入り、机上に置くより収まりがよく、手に取りやすい。これまでのデスクにはなかった、使い手と道具との新たな接点が生まれる。これまで以上に仕事をコントロールできるような、新たな体験を生むプロダクトです。

PREDUSTS JOURNAL「PREDUCTS DASHBOARD:自分の仕事をよりコントロールする、新たなプラットフォーム」より


この文章を読んだとき、ボクはハッと気付かされました。

そういえば。
デスク上は広大であるが故に、なんでも広げて快適に作業できる一方、細かな道具たちが散漫に散らかってしまうときがある。
まるで、広すぎるが故に居場所を見つけきれない子どものように。

……そうか。

“机上の空間を広げる”だけじゃなくて、仕事や制作を助けてくれる道具たちの“居場所を広げる”と考えるのか。

よし、では一旦、机上空間が広がったことのデメリットを敢えて洗い出してみよう。

  • 広いが故にモノが雑然と広がって、エントロピー増大の法則に従うかのようにモノが散らかってしまう

  • 平面的に広いので物を立体的に置くには不向き(単に重ねると下に置いたものの即時性がなくなる)

  • 広いって少し寂しい(これはメリットに対して矛盾する我儘な感情だけど……そう思うんだからひとってしょうがない)


例えばiPad。

単体で使用するときは Magic Keyboard を装着して、タイピング。
iPad 本体はまるで浮いているようだし、ダイニングテーブルでもコタツでもどこでも快適に使えます。

けれどそのまま机上にもってくると、どうしても Magic Keyboard と Mac mini 用のキーボード(ボクは HHKB の Type-S を使用)+トラックパッドとが机上に鎮座し、邪魔と言わざるを得ません(重複しているという無駄がいやだ)。

もちろん、上に挙げた“真”デスクトップツアーのごとく、HHKB とトラックパッドを Mac と iPad にともに接続し、それらだけで両者を操作することは可能です。

ただ、引っ越して以降のボクの書斎は、無線 LAN がとても不安定で、無線 LAN 環境下でのインターネット接続が厳しく、Mac はモデムから直接有線を引っ張ってきて接続するようになりました(長〜いケーブルをきれいに壁に這わせる作業はなかなかに大変なものでした……)。

そんなネット環境なものですから、HHKB +トラックパッドを無線 LAN で Mac と iPad に共有化させられず(Mac が有線接続なので)、ならばスイッチングで対応しようかと都度 HHKB の接続先をスイッチさせながら(その場合、トラックパッドは共有化せず iPad はタッチにて操作)作業してたこともあるのですが、とくに創造的な制作をしている最中のキーボードのスイッチングは、思った以上に思考が途切れる要素となり、好ましいものではありませんでした。

「もしこの iPad をモニターの近くに置いて、効率的に閲覧できる場所があれば、Mac と iPad を有線で繋げて(iPadをMacのサブモニター化して)HHKB +トラックパッドの共有化を問題なくスムーズにできるんだけどなぁ……どうにか効率よくかっこよく設置できる方法がないものだろうか」

あれ?

いつのまにかiPadの置き場所を求めているじゃないか。


つぎは、DualSense コントローラー。

ゲーム(PS5)はリビングの大きなテレビで楽しんでいるんですが、友だちと通信(ボイチャ)しながら一緒にプレイするときなんかはリビングで大きな声を出したりするとさすがに迷惑(ヘッドホンつけてると周りの人はなんのこっちゃわからず急に「ギャー」とか叫ぶ)なので、ボイチャしながらプレイするときは書斎でやってくれとの指令が出ていました。

幸い、いま楽しんでいるゲームは Mac でもプレイ可能だったので、ソフトを Mac にインストールし、DualSense コントローラーを追加購入(PS5 と共有すると切り替えがめちゃめんどくさかったので)。

早速友だちとプレイしたところ、とても快適に PREDUCTS デスクで遊ぶことができたのです。

このゲーム中に無線LANの不具合が顕著になり、ついに20mのLANケーブルを部屋まで這わせるという作業を決意→実行したのでした

「これは、いい」

味を得たボクは、それからちょくちょく書斎に籠って夜な夜なゲームを楽しんでいるのですが……。
ゲームをしている最中はいいのですが、終わってしまうと心が“ロス”になるボクを居場所のないコントローラーが机上から見つめてきます。
執筆中や制作中は、居場所なきコントローラーが居た堪れなく見えてしまうことも。

「こいつの居場所も、考えてあげないといけないなぁ」


最後は、我が愚息の嬉しい成長からでした。

あるときから、上の子が頻りに「パソコンがほしい」と呟くようになりました。

パソコンでなにしたいの? と聞くと、検索やらレポート作成やらいろいろそれらしいことを一丁前に言うのですが、要は Minecraft がやりたいそうなんです。
もう Switch だとラグが多くて彼のやりたいことがスムーズにできないんですって(ほんまかいな)。

いまのご時世、子どもにもパソコンは必須です。ボク自身もパソコンは好きだし、パソコンのおかげで世界がグンと広がることを身をもって知っているので、入り口がゲームとはいえ、ボクはすぐにでも買ってやりたい。

だけど、パソコンには弊害があることも同じく身をもって知っているので、その辺りをきちんと話してから、本人がきちんと理解してから、ボクを含む両親と彼の双方が納得した上で買ってやりたい。

で、その話し合いをしたわけです。
金額も安いものではないので、ちゃんとお金の話もしました。

その結果、しっかり全員のコンセンサスが取れたので、彼が望む WindowsPC を買ってあげました(ゲーミングノート。そのあとしばらくは気持ち悪いくらい素直でいい子になりました笑)。

いつかボクもこっそりモンハンワイルズするために少しだけ高スペックのものを買ったことは本人にも内緒です

で、買ったはいいんですが、本人の希望で使うとき以外はボクの書斎にしまっておいてほしいと。
なんで? と聞くと「勉強中にパソコンを開いてしまうかもしれないから」と。
わからないことを検索したりするんちゃうの? と聞いても「でもやっぱり手元にあるとパソコンで遊んじゃうから」と。
ボクは「えらい!」と、同じくらいの身長になった息子の頭を撫でました(当然、嫌がられました笑)。

そんなことで、彼の使用時以外はパソコンを預かることにしたのです(これでこっそりモンハンができるぜ)。

けどここで、ハッとなるわけです。

しまうって……どこによ?

息子のパソコンはノートパソコン。
本体のみならず、重たい立方体の塊付きの電源コードと、息子が自分の小遣いで同時に買った Xbox 用のゲームパッドもあります。
コードをぐるぐるに巻いた電源と、こちらもぐるぐるにコードを巻きつけたコントローラーをパソコンの上に載せた塊が我が書斎にやって来たとき、ボクは最初に苛立ちを覚え、つぎにこう決意したのでした。


「DASHBOARD、買おう」


DASHBOARD のお役目は、道具たちの居場所です。

ボクの場合は、上記のとおり、サブモニターとしての iPad(同時にキーボードとトラックパッドを統一するため)、DualSense コントローラー、息子のパソコン、Xbox ゲームパッド、この道具たちの居場所です。

これらを、機能的かつ美しく置きたい。

PREDUCTS の Web サイトと睨めっこをしながら、ポチポチと買い物カゴを膨らましていきました(至極の時間)。
DASHBOARD は、悩んで悩んで Matte White の幅100cmにしました。

購入品は、注文してからすぐに到着。
組み立て&設置の至極の時間はあっという間に過ぎ去り(早く組み立てて使いたい気持ちといつまでも組み立ての時間を味わいたい気持ちが鬩ぎ合う)、美しきDASHBOARD に道具たちの居場所が確保されたのでした。


【Smartphone Hanger for DASHBOARD】
ここが iPad の居場所



【Gamepad Hanger for DASHBOARD】
DualSenseコントローラーは向かって左側面に


【Gamepad Hanger for DASHBOARD】
X-box ゲームパッドは向かって右側面に


【Tray L for DASHBOARD】
息子の PC は DASHBOARD にぶら下げました


ちなみに、DASHBOARDの左には昔から愛用の充電器を設置
これによりDASHBOARDがモニターの中心線とズレるのですが、今回は許容しました


全景1
デスクの右後ろより


全景2
左後ろからも


ある日の作業風景
こんなにモノを広げてもまだ余裕あり


購入してしばらくデスク作業を進めていますが、快適なことこの上ありません。

机上にもうひとつの”段”ができたことの恩恵は計り知れず、モノを一時的に置いたり、ときにはお気に入りのカメラなんかをディスプレイしてみたり、またあるときはちょっと見せたくはないけど手元に置いておきたいモノをDASHBOARDの下に仕舞っておけたりします。

アームで浮かせたモニター下の空間が、改めて活用できている感じ。

まさに“絶”体験。

居場所が大切なのは、ひとも道具も一緒なのですね。


いつでも手が届く道具たちとともに、これからも制作に、執筆に、勉強に、遊びに、精を出していきたいと思います。




【追記】

デスクツアーはこれにて"絶"世界に到達しました。
が、ひとの欲望というものは、広がり続ける宇宙空間のように果てしないもの。
これからも机上の世界をあれやこれやと弄り倒す日々は続くものと思われます。

一方で、制作や執筆に用いたい道具たちは、もはやデスク上には収まらない可能性もでてきました。

さて、どうするか……。

もしこのツアーに次回があるとするならば、ぜひ"デスクトップ"や"デスク"自体をも飛び越えた"ルームツアー"でお会いしましょう。




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