【書き起こし】IRインタビュー_フォースタートアップス代表取締役社長 志水雄一郎さん
今回、フォースタートアップス株式会社の代表取締役社長 志水雄一郎さんにIRインタビューを実施してきました。本記事では、そのインタビューの書き起こしを公開いたします。
インタビューの動画は、以下よりご覧いただけます。
また、同社の深掘りレポートはこちらです。
吉田:皆さんこんにちは、決算ハックTVのお時間です。
本日は証券コード7089フォースタートアップス株式会社代表取締役社長志水雄一郎さんにお越しいただきました。志水さん本日はよろしくお願いいたします。
志水:よろしくお願いします。
吉田:今日はフォースタートアップスさんについて主にIRの観点から根掘り葉掘り聞いていこうということで、私の方から志水さんにいろいろお伺いしていきたいなと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
フォースタートアップスさんがそもそもどんな会社かっていうのがまだあんまりわかってないという方は、私がフォースタートアップスさんについて解説してる動画のURLをこの概要欄に貼っているのでそちらからまずぜひご覧いただければと思います。
創業経緯について
早速なんですけれども、志水さんは新卒でインテリジェンスにご入社をされているということですよね。そのインテリジェンスで転職サイトのdodaを立ち上げられたりというようなことをやられていた。そしてそこからセントメディア、今のウィルグループさんに新規事業の立ち上げの責任者をやってくれということでご転職をされたというような経緯になっておりますが。
志水:責任者でも何でもなくて、普通に新規事業の立ち上げをやりに行ったという感じです。
吉田:当時は別にスタートアップの領域でやっていくみたいなことが決まっていたわけではなかったんですか。
志水:入社前にいろいろ考えた結果、スタートアップ領域で立ち上げようと思いました。
日本の行く末は今平均年齢50歳に到達せんとする国家じゃないですか。ということは、当然シニア世代が増えるとすれば、おそらくヘルスケアや介護領域のビジネスは、ストレートに言うと自然発生する。それをやることも当然一つの方針として検討しました。ただ、本来日本が持ち得ていた国力、活力、志の高さ等、様々なものを取り戻すことに自分自身が最後残された時間を何に割きたいかと言ったときに、僕はそっちではないかなと考えたんですよね。
なので、そう考えると新産業の創出によって、もう一度元気な日本を取り戻す、もしくは日本から世界の人たちがわくわくして生きる時代や未来をつくるとしたら、日本からイノベーションを起こしていく。そういうサポート、動きをできればなと思ったのが、やはり今のフォースタートアップスを立ち上げていくきっかけにはなっています。
吉田:なるほどですね。そこから今、タレントエージェンシーでやられているスタートアップ、新産業領域での人材紹介というところのサービスを立ち上げられたという感じでしょうか。
志水:そうですね。でもそこも少しずつ変異していったと思うんですよ。最初はやはりテクノロジーの可能性、もしくはインターネットの可能性にフォーカスをして、事業をスタートしていきましたが、それがより濃く、もっとアーリーのスタートアップ側に私達の関心もしくは課題解決のポジションを移行していったというのが現実だと思うんです。
私はやはりイーロン・マスク、ザッカーバーグ、サム・アルトマンとか見ていると、人は何でもできるんじゃないかと、自分自身も勘違いしてしまうぐらい可能性に溢れてるわけですよ。それは1人でできるのかというとそんなことはなく、仲間としかできないんですよね。だから起業家が発するミッション、ビジョン、バリュー、おそらくそこには言霊がのっていて、それで課題解決をしたい、社会課題、未来課題を解決するためのソリューション、プロダクトを仲間を集わせて作るんですよ。
ものすごい素晴らしいお仕事だな、役回りだなと思っていて、そんな人たちを社会の中でどれだけ多くデビューさせていくのか、そして支援して、成長させていくのかということはものすごく素晴らしい役回りになるんじゃないかなと期待していました。それがやはりフォースタートアップという社名にしていくことにも繋がっていくところなんですよね。
吉田:何か聞くところによると、孫泰蔵さんが同級生でいらっしゃって、孫さんがビジョンを社名にするという珍しいことをするのがすごい良いんじゃないかというようなアイディアを発案されて、ドメインを探したら、たまたま空いていたということでこの名前にされたということなんですよね。
志水:そうですね。やっぱり中高のクラスメイトには孫泰蔵くん、そして堀江貴文がいて、やっぱり彼らが活躍してる姿が挑戦してない私からするとすごい疎ましい存在に見えました。なぜならばキラキラしてるから。僕はもしかすると人生の中で、最初の40年はスタートアップを避けてたような気がするんです。
でも改めて次の40年を始めるときに、やはりスタートアップの可能性、起業家が増えて、この時代のソニー、この時代のホンダ、トヨタを今の人たちが作り、今の時代に合った課題解決の方法で、組織編成で作ること、これがものすごい大事だなと思ったときに、自分の身の回りに、過去挑戦していた人たちがいて、彼らを応援できる自分にならなければ、多分社会、スタートアップと向き合える自分にもならないんだなと思って、勇気を持って彼らに会いに行くんですよ。そこからなんですよね、スタートは。
ちょうど私達は、サービス名称、そして最初の社名となるものは、ネット人材バンクだったんですよね。でもビジョンは、当時からフォースタートアップスでした。私がいろいろなスタートアップのカンファレンス、イベントに出るときに、私はネット人材バンクというロゴで出てなくて、フォースタートアップスというロゴを貼っていたんです。
それなぜかと言われたら、社名をそこに打ち出すのは、広告もしくは僕はエゴかなと思ったんですよ。一番重要なのは、世界観を示す必要性があったので、ビジョンロゴであるフォースタートアップスを全面に出して、イベントに出ていたんですよね。そんな姿を見たその孫泰蔵くんが、だったら、普通サービス名称と企業名を一致させる会社はいっぱいある。
例えばSmartHRとかヤプリとか、それと同様に、本来であればサービス名称が僕らにあれば、それを企業名にするというのがベストかもしれないけれど、志水たちの場合は一番ベストはビジョンを社名にすることだと。そうすると、きっと世界が広がるよという助言をいただいて、先ほどお話されたように、URLドメインがforstartups.comが空いているのであれば、これが運命の名前。でも、そうでなければ、一つの助言として聞くレベルなのかなというふうに思って、かけたんですよ。forstartups.comが空いてれば変えようって。全然前触れなし、前調べもなしで役員全員で見に行ったら、forstartups.com空いていた。だったらこれは、そう、私達の運命の名前だという風に決めました。
吉田:なるほど。では空いてなかったら違う名前だったかもしれないですね。
求人企業の獲得ルートについて
ここから具体的な事業内容のところについてお伺いしていきたいなと思っているんですけれども、大きくタレントエージェンシーとオープンイノベーション、あとベンチャーキャピタル、この三つを展開されていて、一番メインになってきているのがこの一つ目のタレントエージェンシー。こちらはスタートアップ界隈のヘッドハンティング型の人材紹介というのを主にやられているということですよね。
資料を見ていて面白いなと思ったのが、新規の営業のコスト、リソースをもう割かなくても、求人の企業様との契約が取れる状態になっている。そこが大きな特徴だなと思っているんですけれども、やはりVCさんとか、そういったところからの紹介とかが多かったりするという背景があるのですか。
志水:そうですね。これは私達の事業の成り立ちを説明すると、それの連続性とご理解いただけるのだと思うんですけれども、最初に私がこのビジネスをスタートするときに良い出会いがあったんですよ。それが、グロービスキャピタルパートナーズという国内を代表するベンチャーキャピタルの今野さんという代表パートナーの方と、お会いする機会があったんですね。実は私が日本のベンチャーキャピタリストで最初にお会いした方がその方なんですよ。
当然グロービスキャピタルパートナーズがどんな存在かも知らない、今野さんがどんな存在かも知りません。お会いして、次のソニー、ホンダを作るというのが御社のテーマですよね。私も今回この挑戦をするのは同じミッション、ビジョンだと思っている。
ただスタートアップのことがわからない、ベンチャーキャピタルのことがわからないので、お願いがあると。それは一つは、今野さんが一番勝たせたい企業を1社紹介してくれと。まだ僕らは小さいし、メンバーが少ない。なので、一つ一つからしかご支援ができない。もう一つお願いしたのは、年間24回ランチに行こうと。そうするとこの業界のことが見えてくる。お互いが何を目指していくのかもよくわかる。そんな1年間を過ごしたいんだという依頼をしたんです。
そしたらちょうど彼が当時出資をした先が、シリーズAで4人のチームに5億円出資した先があったんですね。これがスマートニュースで、私がそこにCFOを含めた経営幹部、もしくは事業に必要な方々をご紹介をしていく。結果、シリーズBで35億円の当時過去最大の資金調達をスマートニュース様が果たすのですが、そういった様、そして事例をグロービスキャピタルパートナーズ様と一緒に作りに行ったというのが、これが全てのきっかけで。そうすると、当然、グロービス様からも、ご評価を受けますし、次の投資先を紹介しようということが、結果論メルカリの支援に繋がったりだとか、他の投資先のご支援に繋がっていくわけですよね。
ですので、私達の仕事のスタイルというのは、ベンチャーキャピタル、投資家の方から一番応援をしたい企業様をご紹介を受けて、そこの一つの企業を経営幹部から丁寧に組閣をし、社員の、今だと役員の2分の1、そして社員の4分の1ぐらいを組閣をさせていただくぐらいの影響力を持って、しっかりサポートする。これを一つ一つやっていく。これが次のご紹介に繋がっていくという、今のスタイルに明確に繋がってるんだと思ってます。
吉田:今はビジネスモデル的にはビズリーチさんとかリクルートダイレクトスカウトさんとか、そういったサービスを使いながら、御社のヒューマンキャピタリストという名前でやられていて、その方がスカウトを送られてという感じですよね。
スカウトを送るときは、かなり有名なスタートアップさんがあなたのような人材を欲しがっていますというような感じでメッセージを送られるのか、最初はそういうのはなしに、とりあえずまず会わせてくださいみたいな感じで送られてるのか、いまいち私自身がスカウトを受けたことがなくて、どういうイメージなのかが気になっているんですけども。
志水:これ例えば私がヒューマンキャピタリストをやっていた時代、もちろん今も一部継続してますけれども、一番活況にやっていたときはどうしていたかというと、私はこのスタートアップに行きませんかって一切書いてないです。
今の日本の時代の背景とか、皆さんにはチャンスと可能性があふれていて、今世界の企業序列というのは新産業側の方が上なんですよね。例えばその新産業側を支えるベンチャーキャピタリストなどもキャリアの序列で見ると、とても人気がある。こういったところで活躍して日本の競争力や、そして未来を形成していくことで、自分も幸せになるかもしれないし、家族や、愛してる、残していく子供たちも幸せな社会になっていく可能性がとても高い。だからこそ、私達が競争力を持つために、もしくは私達がもっと幸せになるためには自らが挑戦者となり、そしてもしくはその挑戦者を支える仕組みの一角となること、これがものすごく大事なんだということをただストレートに伝えるんですよ。
でもそうするとおそらく二分しますね。一つは求人がないのでわかりませんという返信をする人もいるでしょう。でももう一つの皆様はこんなメッセージを受けたことがない、だから話してみたいと思ったと言ってすごい高い確率で返信してくれます。
他のヘッドハンターと比較した強みは?
吉田:なるほどですね。志水さんはビズリーチの唯一殿堂入りをされている方ということで、そのスカウト方法はかなり参考になるんじゃないかなと思うんですけれど、実際にスカウトを送って、候補者の方とコミュニケーションを取り始めて、そこから他のヘッドハンターとどういう違い、強みみたいなものがあるのでしょうか。
志水:私達の強みはまずは法人を設立した際の設立趣意書に記載をしている内容が、データドリブンなハイブリッドキャピタルにより、日本の再成長を実現すると書いてあるんですよ。データドリブンというのが重要で、上場会社って情報開示を義務化されるじゃないですか、適時開示義務がある。でも未上場の会社は開示義務がないんですよね。なので、どんなチームが存在し、誰が成長してるかというデータは、一般人は知らないですし、知る仕組みがないですよね。
私達はスタートアップデータベースという日本の未公開市場プレIPO市場を可視化するための仕組みを持ってるわけですよね。これは登記簿のデータとか引っ張っていたりしますので、いくらのバリエーションなのかとか、いくら調達してるとか、何名ぐらいの従業員になってるかというのを国内のスタートアップ分の全データを持っているんですよね。
さらにベンチャーキャピタルの皆様ともたくさんお話をさせていただく機会もある。私も日本ベンチャーキャピタル協会の委員でもある。なので、皆さんから投資先のポートフォリオ、優先順位まではいかなくても、やはりどんなチームがどういうコンディションであるのかということの秘匿情報を獲得もしやすい。これを組み合わせていくデータがまず存在するわけですよね。
さらに私達のオフィスには年間、2022年だと150回ぐらい、2023年だと200回の日本を代表する起業家投資家の方がオフィスに来ていただいて、私達全社員でその方の事業プレゼンを聞くという機会があります。そんなインプットを持てる同業があるかというと、私はないと思うんです。真似て少しやれている会社はあると思います、でもそれが日常だというオフィス環境を持ってるチームはまずない。
そのインプットを組み合わせて、個人の方に情報提供していきますし、さらに言えば最近ですと、ストックオプションの制度が変わっていったりしたことを、実際に計画をされて変更されていく皆様からお話を聞く必要性があると思っているので、例えば金融庁の方をお呼びしたりとか、経産省の方をお呼びしたりしながら、私達のメンバーがさらにインプットレベルを上げて、語れるようになる。そうなると、スタートアップを取り巻く政策面から投資家の有り様から、スタートアップのイノベーショントレンドまで、これが語れる人たちは多分いないんですよ。
さらに、テクノロジーイノベーションは変異するじゃないですか、SaaSが強かった時代もあれば今のようにディープテックが強い時代もある。もっと昔で言えばCtoCとか、いろんなビジネスモデル、イノベーションのあり方テクノロジーのあり方が変わってるんで、これを毎年毎年キャッチアップしていく、学ぶ力も必要なんですよね。こういうものを持ち得ていることをベースにして、個人の方と相対するので、そうすると私達がリードできる可能性はものすごく高いと思っています。
吉田:確かに候補者の方からしたら、この人ものすごく詳しいなというふうになりますもんね。それがやはり信頼に繋がって、この人からいただいたアドバイスに従って自分のキャリアを考えようみたいな形になりやすいと。ありがとうございます。
社員の定着率向上に向けた取組みについて
ちょっと若干お聞きしづらいところに入っていくんですけれども、逆に社員さんからするとかなりエキサイティングな環境じゃないですか、やはりそういった企業間の方が常日頃からオフィスにいらっしゃって、かつ起業家の方とも日々コミュニケーションを取られているという中でこんなに刺激的な環境にいたら、自分もやっぱりチャレンジしたくなる。
スタートアップに転職するなのか、もしくは自分で起業するなのか。そういった形で結構社員さんを引き付けておくというか、自分たちと一緒に働いてもらうというのが結構難易度高いところもあるかなと思っていたりするんですけれども、そこはどうお考えというか、どうやって今例えば対策をとられているみたいなことはありますでしょうか。
志水:一番は自分たちの経営に組み込んでいけるかということを常に考えている会社だと思いますね。その上で直近で言えば、開示してるデータでもありますけれども、ものすごく採用力は持っている企業体なんだと思います。広告宣伝はしてないにしても、例えば、新卒のメンバーなんか見てても、バークレーみたいな世界トップランクの大学からもフォースタートアップスに入社をしてくるメンバーがいる。国内を見ても、別に大学レベルで選考してないです。でも結果論例えば、東大や京大の大学院を卒業してフォースタートアップスに入社をするメンバーもいる。中途で見ていても、やはり最近では、ベンチャーキャピタルに行きたいと言っても、ベンチャーキャピタルは採用がものすごく高いんですよね。
イメージで、マッキンゼーやゴールドマンサックスなど、本当の外資の戦略コンサルティングファームや投資銀行のその中でもトップティアのメンバーしか行けないし、若くしてテクノロジーカンパニーで最年少で役員になったとか、経営していたところをバイアウトしたみたいな人しかそのポジションには就けないわけですよ。
でもそれでもスタートアップのことが大好きで、ここで貢献したい、という人たちがたくさんいて、そういう人たちが一番参画ができる場所はどこですかというと、国内最大のスタートアップ支援会社である、フォースタートアップスが向かう先になってるんですよね。そういう前向きな方々に多く参画をいただいている。そしてその採用力を持っている。
一つ課題となったのが、昨年・昨期だけで見ると、ちょっと私達が計画通りに離職がこれぐらい出るんではないかというところが、数字通りに進捗をしてしまったということがあって。
ですので改めて、私達は人的資本経営をもっともっと高めていこうということで今回、顧問にグロービス経営大学院のトップである田久保さんという方に来ていただきました。そして志を高めていくための企業体としての取り組みを何をしようかということも、しっかりとアクションプランを立てて、それを開示し、今後そのアクションプランがどういう数字の変異を見せていくのか、皆様に共有しながら、少しでも離職を減らしていくこと、そして採用力は継続的に強めていくこと。そうすることによって、しっかりと成長できていければというふうには考えています。
Kokorozashi指数について
吉田:直近開示いただいていた決算説明資料を拝見して、今回人的資本の開示のセクションがあったと思います。そこでKokorozashi指数というものを新しく設定していただいてると思うんですけど、それはどういったものなのでしょうか。
志水:やはり私達のフォースタートアップスに入社をしてくるメンバーは志を持った上で参画をしているメンバーがすごく多いと思うんです。なぜならば、みんな期待してくれてるんですよ。日本を代表する起業家・投資家もしくは、最近私達の活動で見ると、経済人、文化人、そして国内だけではなくて世界に開けて、世界を代表する起業家や投資家の方ともお会いする機会が増えてきました。なので、そういう方々とともにこの時代の課題に向き合って、その課題の解決をともに進めていく。こういう場所に挑戦をしようと思って来てくれてるんですよね。
ですので、元々志の大きさ、小ささということで評価することはないと思っているんですけれども、いわゆる志を持ち得て、フォースタートアップスに参画をされてるんだと思うんです。それが実際に入社をされてから後、その環境を存分に活かせた、もしくはそれをインプットした上で、人はインプットすると次はアウトプットし始めますから、それがどういう課題解決に繋がり、社会から/自らの評価に繋がったのか。またそれが結果的に自分の志を高めたかどうかに繋がっていくので、その環境を私達は提供し続けているのか、もしくはお互いで問うているのか、その辺を見ていったときに、勤続年数、もしくはパフォーマンスが変わるんじゃないかというふうに思っています。
それを私達だけで調査・整理するのは物差し的に小さいなと思っているので、今回志研究の第一人者である田久保さんに顧問として参画していただき、さらに開示もしていますけれども、社外取締役の候補として、今回選任しております。彼とともに、私達の志は高まったのか、そしてさらに言うと、私達が関わっている起業家や投資家や、候補者の皆さんの志も高まったのか、これは私達自身が提供したサービスの結果として、市場が変化したのかということをちゃんと捉えていこうというところまで踏まえて、Kokorozashi指数の進化・成長を進めていきたいというふうに思っています。
吉田:なるほど。また今後数年とかそういった効果もしっかり現れてくるだろうという見込みで今進められているということですね。ありがとうございます。
資金調達環境について
吉田:基本的にやはり御社の事業、ヒューマンキャピタルのヒューマンキャピタリストさんが紹介する事業っていうのはやはり資金調達環境に影響を受けるということで今、グロースの環境というのが少し厳しいという状況下で、戦略を変えられてるみたいなこととかはあったりされるんですか。アプローチする企業の層を少し変えようみたいな話であったりとか、ハイレイヤーの人材に注力しようみたいな話とかはあったりするんでしょうか?
志水:分けてみると、その資金調達市場というのは、一つはプレIPOとポストIPO以降のいわゆるグロースをどう捉えるかということで、分析しなければいけないなと思っていて、私達はほとんどがやっぱりプレIPO企業で、お客様としてはスタートアップなので。プレIPOの資金調達市場が一つ重要なポイントになります。
日本は世界の中では、非常に極小なスタートアップの資金調達市場で、そこがこの10年位で10倍程になってきたんですよね。それで今1兆円規模ぐらいなんですよ。でも世界だとアメリカは大体数十兆の前半ぐらいの資金調達市場があるので、そこと比較をするとずいぶん小さい。
この小さい市場は、昨年あたりから言われたスタートアップ冬の時代、これアメリカでいうと、前年対比でマイナス30%ぐらい減ったんですけれども、日本は今、私達のデータで見るとマイナス10%ぐらいなんですよ。下げ止まっている感がある。
さらに日本はですね、今、スタートアップ育成5ヶ年計画っていう骨太の戦略で国家の重要戦略の一つがスタートアップ育成創出であるというふうに2年連続設定されていて、それの実行計画がスタートアップ育成5ヶ年計画なんですね。
それは人・お金・出口戦略、この3つを推進することで日本のスタートアップ、そして今の時代のソニー、ホンダをどう作るかということを実現しようとしてですね。その中のお金の部分、あるいは資金調達の部分、ここに掲げられているのは、この5年でこの1兆円を10倍、10兆円にしようということです。これを民だけではいけないので、官も含めて連動していこうということを発表してるんですね。となると、直近スタートアップ冬の時代でマイナス10%になったとはいえ、ここから何が起きるかというと5年後に10倍になる可能性がものすごく高い。
さらに言うと、今ベンチャーキャピタル群がドライパウダーと言っていますけど、要はまだファンドRAYSをして、スタートアップに投資をしてない額が過去最大まで積み上がっているんです。そしてこれが2024年から投入されるのか、遅くとも25年には投入していくわけですよね。どこから来るんだろうというのを見定めている感じです。その前までの戦い方として、私達はどう工夫するかということをやってきたという過去の1年であり、そしてこの1年になるんだと思うんですね。
過去の1年はマイナス10%の市場でした。これを見越したときに戦い方としては、私達は先ほどお話したように、一部のご紹介を丁寧にやっていこうだったわけですけれども、昨年は新規の開拓活動、いわゆるご紹介をより多く受けるという仕組みを例年の倍以上やりました。それによって私達のビジネスを創出しようと。これで何とか市場はマイナス10%ですけれども、私達の成長はプラス15%で持っていったというのは、前年だったんですよね。今年の事業計画にはプラス20%でいこうというふうにしていますが、これは今の私達の活動を継続できれば、実現できうるものだと思っています。その翌年の計画で見るとさらに成長率を高めていく予定の中期経営計画を発表してますが、これもこういった資金調達市場の環境、そして今の私達の活動によって、実現できうるものだというふうに考えていますので、今の流れを止めずにしっかりと進めていきたいというのが今の現状です。
吉田:なるほど。やはりミドルからlaterステージとかの企業さんなどは、もう既に接点も持たれていて、かつ取引もかなりあって、今まではそこにしっかりいい人を紹介するというところに注力されてきたけれど、やはりさっきおっしゃっていただいたドライパウダー等の解消というか、新しくまた投資がどんどん活発になるというのを見越して、もう少し前のステージの会社さんに多く接点を持っていっているということですね。
志水:はい。さらに最近の特徴的な事例で言うと、やはり昨期に関しては、ハイバリエーション、企業価値の高いプレIPO企業が一度筋肉質な事業にしようという動きが多かったように見えるんですよ。なぜかというとそれがポストIPO市場のグロース市場の株価の低迷っていうのがあったのだと思うんですよね。そうするとイグジットのタイミングをいつにするのか、もしくはどういう事業体であればバリエーションがつくのか、企業価値がつくのかということを見定めながら経営されてたように思うんです。
それが一定皆さんご理解をされた上で筋肉質な事業モデル経営体制に移行したので、もう今期に入ってからですけれども、そういったハイバリエーションになった企業群がもう一度フォースタートアップスとともに、次なる成長に向かいたいと言って、改めて戻ってきた感じがものすごくあるんですよ。
吉田:そうですよね。決算説明資料にもポストIPOの会社さんからの、多少希薄になってたところからの問い合わせが増えてるという。
志水:ポストからも、プレのハイバリエーションのところからも改めてお話をいただいている流れがありますね。
吉田:ではやはり環境としては結構も良くなってきていて、今後も良くなっていく可能性が高そうだという感じですかね。
志水:そうですね。わかりやすい言葉で言うとスタートアップ冬の時代から僕は春に入った瞬間だと思っています。
Public Affairsの事業内容
吉田:なるほど。ありがとうございます。
タレントエージェンシーの事業に関しては結構お聞きできたかなと思っているので、次は、オープンイノベーションのところに関してもお伺いしていきたいと思っています。
オープンイノベーションは主にパブリックアフェアーズと、スタートアップデータベースと、カンファレンス。この三つを重点的に行われているということだと思うんですけれども、まず、パブリックアフェアーズのところからお伺いしていきたいと思います。これは官公庁さんとかからの例えば、調査事業とかを受託されたりとか、レポートを書かれたりとか、そういったことをやられてるというイメージなのですが、そんな感じでしょうか。
志水:最近の事例はもう明確に一つで、地方自治体、これは主要自治体ですけれども、スタートアップエコシステム拠点都市構想って内閣府が発表されてますよね。東京以外の地域から強いスタートアップを生むことは、雇用を生むことだし、税収増やすし、その地域に元気を取り戻す仕組みにもなるということで推進されてるんですけど、私達はこのスタートアップエコシステム拠点都市構想8拠点中6拠点のスタートアップ創出のためのアクセラレーションプログラム、インキュベーションプログラムを各自治体が行っていますので、このプログラムの受託をしてるんです。
吉田:そういうイベントなどを開催されているいうことなんですね。
これは当初からこの官公庁との接点を持ちながら、今やられたような事業というのはやっていこうみたいな感じだったのか、流れでいろんな方と繋がっていく中で、そういった事業が生まれていったのか、どういう経緯でパブリックアフェアーズで生まれていったのですか。
志水:スタートアップ支援が国策になったのは、2022年からなんですよ。
吉田:スタートアップ元年と言われていますもんね。
志水:はい。2019年ぐらいの頃に私達のヒューマンキャピタリストのメンバーが私につぶやいたんですね。志水さん来るよと。これが何かというと、官公庁がスタートアップに関心を持っていて、ここに次の日本の競争力を作りにくる動きになりそうなんだよねというつぶやきがあったんですよ。
僕はずっと昔からスタートアップ支援を国策となるって言ってたんですよ。国策であるって言ってないんですよ。国策となると言ってた。なぜなら絶対必要だから。そういう時代をどう作るかが重要だ。だからもう張っておこうねと言ってたんですね。そうすると官公庁もしくは大臣の皆さんが、渋谷や六本木のスタートアップを視察し始めたんですよ。ここに可能性があるのではないかなと思ってですね、スタートアップ政策のサポートをするチームを作り始めようかと言ったのが多分2020年くらいだったと思うんですよ。
吉田:そのつぶやきがきっかけだったんですね。
志水:きっかけです。そこで張っていたので、経産省とかいろいろなところから情報が入り、僕も日本ベンチャーキャピタル協会の委員だったので、日本ベンチャーキャピタル協会に対して、政府もしくは官庁が今どんな投げかけをし始めたのかという動きが見えてましたので、僕は産官学民が連動したスタートアップ支援というのが重要だと思っているんですけども、民だけでは解決できない、もっと大きな動きになる。であれば、やはりパブリックアフェアーズ、スタートアップ政策支援を行うべきであると思って、こういう取り組みをしてます。
吉田:いや、パブリックフェーズの事業結構伸びてますよね。
志水:そうですね。伸びてますね。政府も当然ながら、政府並びに官公庁自治体向けに、予算をつけてます。
例えば、浜松市はかつてはホンダとかヤマハとか、たくさんの自動車メーカーもしくは工業製品を作る上場会社が生まれたんですよね。
でも2000年以降、生まれてないと言われてます。そういう場所がいっぱいあるんですよ。なので改めてこの時代の、その土地のソニー、その土地のトヨタをどう作るか。これも大テーマになっていて、これを取り組む必要性を各自治体の長はものすごく色濃くお持ちなんです。
志水:これをサポートすることはものすごい重要性、もしくはニーズがありますね。
Public Affairsとタレントエージェンシーのシナジー
吉田:なるほどですね。これ実際そういった形でパブリックアフェアーズのサービスを推進されてて、例えば何かタレントエージェンシーとのシナジーが出てくる側面があるとか、そういったものとかはあったりするんですか。直接的にはあんまり出ないのかなとは思ってはいるんですけれども。
志水:遅れてくると思ってます。私達も今約215名ぐらいのチームなんで、まだまだ小さいんですよ。やっぱり日本のスタートアップ市場全ての課題、ニーズに対して向き合えるかというとまだそこまでの大きさはない。なのでより早く成長しなければいけないんですけど、そういった中で例えば今福岡もたくさんアクセラレーションプログラムやってます。さらに言えば、福岡の一番大きなインキュベーション施設の運営を、例えば福岡地所さん、福岡市、さくらインターネット、GMOペパボ、フォースタートアップスが支援をやってるんですね。そうすると、そこでやってるアクセラレーションプログラムでは、例えば福岡だと最近だとQPS研究所って、1000数百億円ぐらいのバリエーション付いたじゃないですか。次のQPS研究所が誰かわかっちゃうわけですよ。本当に素晴らしい研究開発型のスタートアップも出てきているし、そういう位置情報をより早く取れるわけですよね。
さらに言えばやはり自治体からの要望要求も強くなるので、であればその場所に正しく拠点展開をし、そのエコシステムの皆様とともに、どういうスタートアップの生態系を作るのかという役回りに一番ど真ん中から入っていける。
これが今、私達が勝手にやりたいですではなくて、来てほしい一緒にやろうになっているので、すごくやりやすくなる。僕はこういうことがどんどん増えていくと思っています。さらに今までですと、やはりITドメイン、要はSaaS系のビジネスやCtoCとか、toCのビジネスで事業成長する会社が多かったわけですけど、ディープテックの時代に入っているじゃないですか。資金調達のデータ見ていてももう上位は全部ディープテックですね。となると、ディープテックのスタートアップどこから来ますかと言ったら、もう大学だと思うんですよ。
東大東工大だけから出てくるわけではないですよ。今後で言うと各旧帝大学から来る。となると、各地域にあるんですね。そこから宇宙、バイオ、自動運転、半導体、いろんなチームが出てくるんですよね。そういうところの支援に入っていくには、今のスタートアップ支援、パブリックアフェアーズ、ここ連動連携すると明確に思っています。
STARTUP DBについて
吉田:ありがとうございます。あと、スタートアップデータベースは結構創業から、割と早いタイミングでもうこのデータベースを作られていたのですかね。
志水:2018年くらいからやっているんですけれども、これ実はきっかけがあるんですよ。過去一度こういったスタートアップのデータベースを運営をされている事業者さんから、私がこのフォースタートアップスを立ち上げる前に、この事業の継続性を考えたときに、志水さんがこのサービス買いませんかと来たことがあるんです。そしてその話をお伺いしながら、ものすごく可能性があるものであるし、可能性というよりは、この市場にとても大事なものだと思ったんですよね。
先ほどお話ししたように上場会社は開示義務あるけど、未上場は開示義務がないから。でも、やはりこの市場を可視化すること、序列化することが重要であり、やはりお金や人を誰から順番に投資をするかで日本の未来のアップデートスピードが変わってしまうので、だからデータは重要だと思ったんですよ。
ただ当時、まずフォースタートアップスを作ることがものすごく大事で、そちらを優先したので、そのテーブル交渉のテーブルから降りて、フォースタートアップスを作ったんですね。自らが、やはりそのデータを組成する必要性があったので、2018年からスタートアップデータベースを作りました。
吉田:そうなんですね。むしろ最初に、本当にやってたかもしれなかった可能性はあるはずなんですね。
カンファレンスについて
今回、オープンイノベーションは元々資金調達支援というところがあったのが、カンファレンスというふうに変わっていると思うのですが、これはカンファレンスの規模がやはり大きくなってきたということで変わられたのですかね。
志水:まさしくそうです。カンファレンス今年が4回目になるんですけれども、もうスポンサー収入の規模もものすごく大きくなっています。
吉田:伸びてますよね。3Qに計上されるものがということですよね。
志水:そうですね。これなぜそうなのかなと思うと、民間サイドでグローバルスタートアップカンファレンス、いわゆるグローバルという観点を組み合わせたスタートアップのイベントは日本だとほとんどなくて、その中では国内最大規模のイベントを私達が主催をしているんですよね。ここにご期待をされる企業分が多くあり、前年度もトップスポンサーは野村証券様、三井住友銀行様やA.T.カーニー様などでした。例えばイベントパートナーに付いてくれる皆様も、フランス政府がやっているビバテクノロジーなどです。あとはイベントパートナーの一つに、フランス本国のLVMHがついたりとかするんですよ。ファッションテックへの投資ものすごく大きいですのでね。
国内だけでなく海外のトッププレーヤーがそうして、私達がやってるグリックというイベントにご関心を持たれて、共同でやろうという形で皆さんお越しになるので、ここに大変期待をしているということがあります。
吉田:まだまだ規模が大きくなる可能性も秘めてる感じですね。
志水:そうですね。毎年規模を拡大をしながら、もしくは今後でいうと、まだ年間1回の開催になっていますけれども、市場の要望があれば回数が増えるかもしれません。様々なあり方を模索をしていきたいと思っています。
吉田:そういったLVMHさんとかにはどのようにアプローチされてるんですか。
志水:いや、これ私達のイベントチームは国籍も多様なんですよ。日本を大好きな、日本人以外のメンバーもいますし、日本人も多分何カ国語も喋れるメンバーで構成してるんですよ。なので海外でやってるグローバルカンファレンスにみんな出張ってくるんですよ。審査員や登壇者をリクルーティングしてるんですよね。そんな活動してるとジェトロさんとかいろいろなところがそちらのカンファレンスでも登壇しなよとか、そんな機会がたくさんありますね。
親子上場の解消取引が行われた背景
吉田:最後に、今年の2月に親会社であったウィルグループさんとの資本関係というのを解消するということで、売り出しと第三者譲渡ということで取引をされて、もう持分がゼロになったということだったと思いますが、今回のこの取引が行われた背景みたいなところを差し支えない範囲でお伺いすることは可能でしょうか?
志水:一つのきっかけはウィルグループの経営陣の変更なんですよね。
元々オーナー、そしてオーナーを支えた次の社長を、この2人がウィルグループの牽引をしてたわけですけど、世代交代を図ろうということを皆さん、お考えでその世代交代をしたときの経営というのは簡単じゃないと思うんですよ。
やはり私も思いますけれども、親子上場というのは、二つの観点を組み合わせなければいけないですよね。グループ統制という観点では見なければいけない、ただし上場会社としての経営としては独立性を担保しなければいけない。
真反対なことをバランスを取りながらやるということなんですよね。それは、ある意味老練な経営なのか、もしくは教科書通りにしっかりとやっていくというお互いの関係が必要で、新経営体制では難しいであろうということを前提にしたときに、それをどういう形で親子上場を解消するかということは、比較的早いタイミングから会話をしているそうなんですね。それが一年半ぐらいだと思います。
吉田:ではこの1年半、どういうスキームでやっていくかという話もそうですし、元々最初は第三者譲渡をだけをやるということを考えられたのか、売り出しとの組み合わせでやっていくというのはもう当初からあったのか、お聞きしたいのですが。
志水:同時にやるというのはもう一番最後に決まったことなんですけれども、元々は2段階ぐらいで分けてもいいよねという話だったので、第三者譲渡を先に行い、時期を変えて第三者譲渡と売り出しを両方組み合わせてやるか等いろんなパターンを考えていました。でも結果として今回のスキームになってるのですけが、その需給バランスが確かに崩れたことはすごく課題だと思っています。しかしおそらく、親子上場の解消スキームとしては、株式市場に残る仕組みだったのではないかなと思っていて、野村証券もそう言ってますけれども、結果的にそういうスキームになったということなんですよね。
VC本体から出資を受けられた背景
吉田:なるほどですね。大きく譲渡先というのが、VCさんと、あと事業会社さんというのがあって、その他の個人の方とかも一度入られてると思うんですけど、VCさんファンドじゃなくて本体から出資されてるんですよね。
個人的にそれはすごく珍しいことなんじゃないかなと思ったのですが、そういったことはあまりないですよね。
志水:まずないでしょう。
吉田:そこは交渉なのか、志水さんの方からぜひそういった本体から出資いただけないかというようなお話をされたのか、どういった形で進んでいったのでしょうか。
志水:そうですね。今回の親子上場解消のこのタイミングだけでなく、前々から、その主たるベンチャーキャピタルの皆様とは、やはりお互い目が黒い間は、ともにこの市場を変化させていく、進化させていく役割を果たそうと。そういったときに、ぜひフォースタートアップスの株主となってくれということは、ずっと話をしてきたんですよね。
また実は、フォースタートアップスを立ち上げるとき、またはその成長する過程の中で上場を目指すときに、日本を代表するベンチャーキャピタルの皆様から、それもファンドから、ずっと自分たちにも投資をさせてくれというお話をずっと受けてたのですが、私達は、皆様から投資をしていただく機会が結果的になかったんですね。
でもそういう皆様とともに歩んでいるんです。それをどう表現するかということを考えたときに、グロービスキャピタルパートナーズ様、インキュベイトファンド様、ウィル様という日本を代表するベンチャーキャピタル群が、ファンドからではなくて、BSから持つ日本で唯一の事例だと思うんですよ。
吉田:いや相当珍しいなと思って。だから、ファンドの年限とかそういった規制というか、償還期限とかもないので、急にものすごい売られたりとかということも、基本的にはないというか、長期で持っていただけるという前提で、やっていただいてるということですね。
日本交通へのアロケーションが多い理由
吉田:あと事業会社側では、日本交通さんへのアロケーションが一番多いというのは何か背景があったりされるんですか。
志水:私達は、日本交通の子会社のタクシー配車アプリのGO様に関しては、ディー・エヌ・エーの1事業、そして日本交通のJapanTaxiを合併した会社なんですけれども、おそらく累計で見ると、3桁人数ぐらい、そこのチームに必要なメンバーをご紹介をしてきた歴史があるように思うんです。
ですので、そういったことを背景として、日本交通のトップである川鍋さんとの関係というのは、深くあります。そういった中で、川鍋さんが何をお考えかというと、やはり自分自身が日本の未来に貢献する役回りであるというふうにもお考えなので、そう考えたときに、フォースタートアップスの株主としてフォースタートアップスを支えることは、とても重要な役回りである、ミッションであるというふうにお考えになり、今回受けられているんですよね。
あとは、やはり昨今上場会社としての株の持ち合いというのは、減らす方向性にありますので、私達の株主として一つ重要なものは、未上場で、スタートアップのエコシステムビルダーとしての良い立ち位置をお持ちの皆様に株主になっていただきたいというのが前提でしたので、一番大きな比率を持ちいただいたのは日本交通ですが、それ以外も寺田倉庫さんなど、いくつか出てきますが、そういう狙いを持っています。
エムスリーとの提携について
吉田:ありがとうございます。上場されてる会社さんとしてはエムスリーさんや、ストライクさんなどがいらっしゃると思うんですけれども、それぞれ資本業務提携という形で、今後も提携関係を強化されていくということですよね。これは元々接点があったいうと感じなのでしょうか。
志水:そうですね。エムスリー様とはもちろん私達が人材をご紹介する先として存在をしていたことと、もう一つあったのは、海外の機関投資家が共通だったんですよ。以前からエムスリーのトップである谷村さんのこともお伺いしておりましたし、逆に谷村さんもフォースタートアップスのことをご存知だったんですよね。あるパーティーで2人とも出会ったのですが、機関投資家からお互いお話を聞いていたので、初めて知った感じは全くなかったです。それで、事業としていつか何かやりたいなと思っていたんですけれども、このタイミングだろうなと思って谷村さんに、フォースタートアップスの未来を一緒に作りたい、作ってほしいと話をしました。
やはり、ヘルスケアの領域のプラットフォーマーはエムスリーじゃないですか。スタートアップ領域のプラットフォームはフォースタートアップスだと思っているので、エムスリーを学びたい、共同でやれることはないかということで、一つ見いだしたのが、スタートアップ業界の経営者もしくは経営幹部の皆様というのは持ち株比率が高いんですよ。この人たちの健康管理が、スタートアップひいては日本の未来にとても重要なんです。
ですので、こういった皆様の健康管理をやる仕組みを一緒に作ろうというのが一つ。
もう一つは、エムスリー様はヘルスケア領域の会社群への投資をCVCで行っている。そういったところのバリューアップをフォースタートアップスも組んでやることは、人・お金・商流、これを全部組み合わせることになるじゃないですか。最強だねという話があったので、こういったモデルを一緒にどう推進するかということをエムスリー様とできるということは私達にとってもグッドストーリーになりますし、エムスリー側から見ても、自分たちにないスキームを組み合わせていけるので、これをやろうと。そして全社の健康管理は、うちにスタートアップデータベースが存在していて、スタートアップデータベースに全てスタートアップのデータが紐付いているので、ここをどう連携するか、今回合同でイベント行なったりもするんですけれど、そういう取り組みをやろうねと言っているのがエムスリー様との取り組みですね。
ストライクとの提携について
志水:ストライク様に関してはいわゆるM&A支援会社としては唯一、スタートアップ領域のM&Aを推進しようと、色濃く戦略を出されてるんです。やはり昨今の資金調達市場が拡大しても、東京証券取引所の上場社数を突然300とか400にできますかと言ったら、審査官を増やすわけでもないでしょうし、上場基準を下げることもできないでしょうから、そこの出口のね、規模感でいくと多分上限200ぐらいなのではないかなと思ってですね。 でも資金調達市場が拡大すると、出口をみんなね、もっと大きく作らなければいけない。そうするとM&Aは増えるんですよ。それを誰とともにこの市場を作れるかといったときに、ストライクの新井社長が推進されているイノベーションM&Aというか、スタートアップのM&Aをどう進めていくか、ここを共同で行うことに意味合いがあるんじゃないかと思ってですね、今回ご一緒することにしました。
吉田:ものすごく意義があることですよね。やはりEXITの多様化というのは、日本だと特に課題だと言われてきてたところでもありますし。
では、御社が繋がりがあるスタートアップさんで、例えばスタートアップ側がM&Aをしたい先を探してるであったりとか、もしくはM&AでのEXITというのも、視野に入れてるというときに、その買い手の企業さんをストライクさんの力も借りてご紹介いただいたりとかそういったことをやられていこうみたいな感じで考えていますか。
志水:そうですね。やはりこれもスタートアップデータベースが起点になる例ですね。今までは資金調達支援をしてたんですよね。でも資金調達支援は数%の資金調達の支援じゃないですか。でも、M&Aで100%のディールじゃないですか。これをどうプロデュースするかということに移行していけるチャンスが私達にあると思っていまして、ですのでここは次なる私達の重要テーマだと思っているので、そういった中でストライク様とご一緒できること、もしくは学べることを機会をいただいたということは本当にありがたいと思っています。
フォースタが長期的に実現したいこととは?
吉田:ありがとうございます。
最後今御社がやられてることというのは、成長産業支援というので、多分、あえてその人材紹介というところに絞っていないと思うんですよ。
今はハイブリッドキャピタルということで、その成長産業支援というのをやられてると思うんですけど、長期的にどういう世界観を作っていきたいなみたいな、例えば日本からのユニコーン100社できたら、自分たちのやりたいことができたというように、どういう世界観を長期で思い描かれてるのかみたいなところを、ふんわりした質問で恐縮なんですけど、最後お伺いしてもいいですか。
志水:そうですね。これは今の私達が対峙している新体制の部分にも繋がると思うんですけど、今のフォースタートアップがやっている人、お金、オープンイノベーションを組み合わせた総合スタートアップ支援という部分においては、今回副社長に恒田有希子を選任して、彼女に全てを任せようというふうに考えてるんですね。
私は社長として全社の経営も見ますが、もう一つ重要なテーマは、新たなフォースタートアップス、第2第3のフォースタートアップスをどう作るかということを全部組み合わせた、それがグループという言い方がどうかは別にしても、そういう体制をどう作っていけるかを、模索・検討・推進をする役回りだと思っています。私達は成長産業支援事業と言ってるじゃないですか。これには意味があって、スタートアップ支援業と言っていないじゃないすか。成長産業の中の一部がスタートアップだと思っているんです。私達はここから始めてるんですね。
これがどんな事業になるかということは、また今後皆様と、自分たちの中での整理も重要だし、対外的にもしっかりと整理した上で発表していきたいと思ってるんすけれど、僕は中小企業からもスタートアップからも大企業の新規事業からも次なる日本の競争力はどこからでも生まれるんだと思っていますし、どこからでも生んでいかないといけないと思ってるんです。これを起業から始めるのか、途中から参画するのか、カームアウトさせるのか。これはフェーズの問題だと思っているので、これを私達は全体を取りまとめて支援できる事業体。総合スタートアップ支援企業ではなく、総合成長産業支援事業体というふうに持っていきたい。さらに言えば、入口、いわゆる会社が生まれるところがあって、そこから、グロース、成長期があって、そして上場や、M&Aというような出口がある。この3領域を私達がフェーズごとにソリューションを全部持っていれば、新しいものを生み出し続けられる、そしてその成長をずっと支援できる事業体へ移行できるんだとも思ってるんですね。
これをどの順番でどうやって立ち上げていくかというのは、私の経営者としてのテーマだと思っていますし、人生をかけて取り組まなければいけないテーマなんだと思ってるんですよね。そのベースにあるのは全て、もちろん人やお金、オープンイノベーション、いろんなものを組み合わせますけど、でも根幹にあるのは僕やっぱり人の無限大の可能性なんですよ。何にでもなれる。でも何にでもなれないことを知らないだけなんすよ。なので、これをどう作るかということに挑戦をしたいなと思っていて、これを自分たちの事業戦略や経営計画の中にどう組み込んでいけるかというのは、また当然、全経営陣との会話の中で決まっていくものだと思ってるのですが、私個人として考えていけば、次なる日本の競争力をどう生むかの総合サービスどう作れるか、ここに挑戦をしたいと思っています。
志水社長からのメッセージ
吉田:ありがとうございます。ということで、今日はフォースタートアップスさんにいろいろお話をお伺いすることができました。最後に清水社長の方から、投資家の皆様へ一言お願いしてもよろしいでしょうか。
志水:親子上場の解消ということで需給バランスが一時崩れた形になり、皆様のご期待に沿えなかった部分があるんだというふうには思っています。
今私達の足元は国策がバックにつき、そして日本の未来は必ず新産業側でどういう成長戦略を描くかというのがとても重要テーマとなっています。そういった中で、フォースタートアップスは国内最大のスタートアップ支援企業として引き続き、足元は力強く成長しておりますので、それを皆様に随時開示をさせていただきながら、責任と役回りを果たし、皆様の資産形成に少しでも繋がっていけるそういう企業体へ変貌してまいりたいというふうに思っていますので、ぜひ引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。
吉田:それでは清水社長、今日は貴重なお時間いただきありがとうございました。
志水:ありがとうございました。