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セーフィー佐渡島社長へのIRインタビュー(書き起こし)

吉田:皆さまお久しぶりです。今日はなんと、超大物ゲストにお越し頂きました。証券番号4375、セーフィー株式会社、代表取締役CEOの佐渡島隆平さんにお越し頂いております。本日はどうぞよろしくお願い致します。

佐渡島隆平氏(以下、佐渡島):よろしくお願い致します。

吉田:今回弊社からセーフィーさんの分析レポートを書かせていただいたのですが、それにあたって出てきた疑問点や佐渡島さんにお伺いしてみたいことが出てきたので、今回色々聞いていきたいと思います。レポートはこちらをご参照ください。それでは早速、お伺いしていきたいと思います。

創業経緯とビジョンについて

吉田:御社のことをカメラ屋さんと認識されている方はまだまだ多いと思いますが、御社は「映像から未来を作る」という非常にスケールが大きいビジョンを描かれているように思います。
どのような経緯でセーフィーを創業され、どのような世界観を作ることを目的に事業を展開されているのかをご説明いただいても宜しいでしょうか。

佐渡島:創業メンバーは私含め3人で、2014年10月に出来た会社です。もともと私はソニーの研究系の会社出身なのですが、世の中のデータとディープラーニングやAIによって新たなアプリケーションがどんどん生み出されていることを2012年頃から実感していて、その中で「何か世の中の新しいビジネスをつくるためのデータのインフラをつくれないかな?」と思っていました。
ただ、このまま研究所でビジネスをしていても、技術はすごいかもしれないけど本当にお客様に役に立つようなサービスや、それに紐づくデータをなかなか集めることが出来ないなとも思っていました。

2014年に、たまたま私が家を建てたんですが、そのときに「そういえば防犯カメラってすごく古い仕組みの中で出来ているけど、そこにファームウェアを入れたり、クラウドから知能を書き換えたりすることができれば、お客様に安価で使いやすい、かつ進化し続けるプラットフォームのようなものが作れるのではないか?」と思い、会社を設立しました。

ただ、「映像から未来を作る、家から町までをデータ化してあらゆる人の意思決定に役立つプラットフォームにしていこう」という構想を最初から思い描いていたわけではなかったのです。
データ駆動型社会がこれから来るのは分かっていたものの、最初はカメラ屋さんとして、「防犯カメラにファームウェアを入れたほうが売りやすいし、リカーリングができるよね」というところからスタートしたのです。
ところが、お客様のカメラの使い方を知れば知るほど、「自分たちはカメラを売っているのではなく、お客様の新しい働き方を我々にアウトソーシングしていただいているんだ」ということに気付かされました。自分たちのカメラを導入した後に、お客様の現場で色んなソリューションが生まれていたのです。
そういったものを見ているうちに、「みんなの未来をつくっていくようなデータシステムや映像のサービス」を展開していくことができれば非常にユニークだし、他の人が手掛けていそうで実は意外と手掛けていない領域だったりもするので、そういう大きなビジョンを掲げてやって行った方が面白いんじゃないかと思ったんです。
そうしてSONYグループから独立して、SONYさんやCanonさん、ORIXさんやNTグループさんなどの大手の皆様と一緒に、「大きなビジョンを実現するためにどういうチームを作って何をしていけばいいのか」といったことを共に考えながら、資金調達して上場に至るという形になっています。


創業から数年で名だたる大手企業を巻き込めた理由

吉田:NTTグループさんなど名だたる大企業を比較的初期の段階から巻き込まれていると思うのですが、映像データを使ってプラットフォーム化して社会をよくしていきたいというビジョンに共感して頂けたからこそ巻き込みが出来たという感覚があるのでしょうか。

佐渡島:もともとは、CanonさんやNTTさん等も、我々とは別のサービスを展開されていたんですよね。つまり、「映像をデータ化したり、新しいデータプラットフォームが出来るのではないか?」ということは、それぞれの会社さんも気づいてそれぞれなりに目指していたのです。
ですが、我々の製品は、圧倒的に低価格でお客様にとっても使いやすいUXで、更に拡張性も担保されているようなクラウドドリブンなシステム設計がしっかりとできていました。
結果的に、お客様目線で我々のカメラと他社さんのカメラを比較した際に、我々のほうが使って頂くケースが多かったのですが、そこで我々が「お互いに競争するのではなく、パートナーとして協業してやっていくことで、一緒にもう1つ大きなビジョンを実現していこうよ」と言ったことに対して共感していただけたのだと思います。

あと、我々は「Who What」とよく言っているんですけど、「誰の何を解決するのか」ということを非常に重視しています
例えば、「建設現場の課題を解決する」と一言で言っても、そこには色んな人が働いているわけですよね。ですが我々は、「建設現場の中の施工管理者の〇〇さん」というところまで解像度を上げたうえで、「その〇〇さんが今何に困っていて、そのWhatを解決できるか?」というのを現場に踏み込んで見にいき、お客様の不を解決していくというのを徹底しているんです。
つまり、大企業からするとWhoが「◯◯業界」となるところが、我々は「◯◯さん」に落ちるまで深堀して、エンタープライズのお客様を攻略していくということをしっかりやっています。
その上で、スタートアップっぽいアジャイルな仕組みで「お客様へ深く入っていくという」ことを繰り返していくことができれば、色んな課題を発見し、ソリューションを作り切るということができるようになります。大手の企業さんでもやはりここまではなかなか至りにくいのです。

なので、いきなりビジョンを共感していただいたというよりは、足元のプロダクトの価値がしっかりと形成されていて、徹底的にお客様に入り込むことで解像度の高い課題を認識できていたからこそ、他社さんともパートナーシップを築いていただいて、資金を入れていただいたり人を出していただいたりという形で色んな組み手を模索していた、というのが実状かなと思います。

吉田:ありがとうございます。これは私含め、全スタートアップの経営者がすごく参考になる話じゃないかと思いました。


成長戦略「現場DX」とは

吉田:御社が成長戦略のテーマとして”現場”DXを掲げて進められていますが、改めて”現場”DXとは何なのか、なぜ成長戦略として掲げられているのかご説明頂いても宜しいでしょうか。

出所:2022年12月期第3四半期決算説明資料

佐渡島:コロナ禍によって、例えばこういうミーティングであればZoomとかMeetとかを使うことでリモートワークは簡単に推進できるようになりましたが、現場で働かれている方にとっては、リモートワークは遠い未来でしかなかったんです。
そこに対して我々は、例えば施工管理であれば現場に行かなくても点検ができるとか、施工の品質を上げるというソリューションを提供しています。他にも、例えばフランチャイズを展開する店舗であれば、フランチャイジーに対して業務の教育を実施するのが難しい部分もあるので、そういったところを映像を用いることで、たった数人で何十、何百の店舗を管理できることもできるようになります。

なので、単にカメラを使って防犯や記録といった部分を解決するだけではなくて、現場の方が困っているところを、まずは「遠隔地から何ができるか」を解決していく。そして徐々にカメラの台数が増えてくると、今度は100店舗や200店舗を同時に見るのは無理ということになってくる。なので色んな人と見ることが必要になってくるわけですが、そうなると業務システムとして組み込んでいく必要があります。
そして、それでも映像を見切れないところをAIで解決する。こういった一連のことを我々は「現場DX」と呼んでいます。

2040年には、労働生産人口が600~800万人ほど減ります。これって大阪が1つ無くなるくらいのインパクトがありますよね。
で、実際に地方にいくと、働き手がいないということが喫緊の大きな課題になってきていると思うんです。その中で、映像やデータを活用していくことによって、例えば今まで3人でまわしていたお店を2人でまわせるようにするとか、10人で100現場持っていたものを、3人で100現場持てるようにしましょうとかを提案しているわけです。

こうやって、ただのカメラ屋さんではなく、カメラとセットでアプリケーションやサービスを提供することで、お客様側で既に顕在化している「働き手不足」という課題に深く入り込んだソリューションを、色んなスタートアップや業務ツールをつくられている会社さんと組み立ててお客様に提供していこうというのが、現場DXです。


佐渡島社長も驚いたカメラの活用事例

吉田:ありがとうございます。現在御社は、小売・サービス系、建設・製造系、ビル・不動産系と3つのビジネスユニットを立ち上げ、様々な業界で現場DXを進められているかと思います。その中で、佐渡島さんが「そんな使い方あったのか!!」みたいに驚かれたような事例とかがもしあれば、お聞かせいただけますでしょうか?

佐渡島:例えば、ある大手の洋服チェーン店では、今まで荷物を受け取るためだけに店員さんが朝6時に店舗に来ていたところが、荷物の受け取り処理をカメラだけで出来るようになったため、店員さんが朝早くに店舗に来なくてもよくなったという事例があります。
また、例えばあるお弁当屋さんでは、お弁当が売れ残ってしまうと捨てないといけないので毎日少し少なめに作っていたものの、お昼過ぎにお客さんが来たらもうお弁当がないという状態が頻発していました。
これがもし、タイムリーに来客状況やお弁当がどれくらいのペースで売れているのかが分かっていれば、2割作り足すことで廃棄ロスも機会ロスも防いで利益を最大化することができます。そういった目的でカメラを導入いただくこともありました。
「業務削減のためのツール」として弊社のカメラが使われるということはある程度イメージしていたんですが、「売上を上げるためのツール」として使われているケースが結構あるのは少し驚きでしたね。


現場DXを導入しやすい業界とは

吉田:「現場DX」が導入しやすい業界や、導入しやすいと思っていたけど実際は難しかった業界などがあれば教えてください。

佐渡島:まず、人がたくさん介在している会社には少なくとも導入の可能性が大きいと言えます。映像を活用して遠隔で仕事できるようになったりすることで、省人化の余地が大きいからです。

ただ、我々も事業をやりながら、「なんでこんなに飲食店や建設現場が伸びたんだろう?一方で、介護や不動産管理等、人がやっていて不があるのにスケールしないのはなぜだろう?」と振り返ったんですね。
そうする中で見えてきたもう1つの重要なファクターが、利用者のデジタルリテラシーです。

これはパソコンが出来るかどうかのデジタルリテラシーではなく、例えば建設現場で言うと、もともと現場監督者はものすごい量の図面を持ちあるていたところがタブレット1つに集約されたんですよね。そうすると、今度はタブレットで操作できる「見える化」の機能が欲しくなる。そのタイミングで、コミュニケーションツールであったり、我々のカメラが導入されたりしたんです。
また、飲食店さんなんかも、既にタブレットを使って注文することは当たり前になっていますよね。なので、そういうデジタルツールを利用することに慣れているお客さんが我々のサービスの付加価値を感じて使っていただいていると思います。

最近だと、保育の現場とかでもカメラの需要が一気に増えているんです。
やはり何かの問題が起きてカメラが必要とされているという瞬間になったらその業界で一気に伸びるんですが、先ほど述べた不動産管理や介護の現場等、そういった問題等がまだ顕在化していない間は、「人間がやるのが普通だよね」となるので、例え多くの人がかかっていてもなかなか啓蒙が進みづらいという側面があるんだと思います。

なので、我々としても、各業界のデジタルツールの活用度は注視しながら横展開を行なっています。


現場DXがどのように進められるのか

吉田:「現場DX」はステップ1からステップ5まであると思いますが、最初にお客様に入りこんでいくときにはいきなりカメラを使ったマーケティング強化等を訴求して入っていくのではなく、最初は防犯カメラの機能から訴求していくのでしょうか?現場DXが実際にどのように進められていくのかお伺いしたいです。

現場DXの5ステップ
出所:2022年12月期第3四半期決算説明資料
出所:事業計画及び成長可能性に関する事項

佐渡島:実はいろんなケースがあって、例えば我々は自社のEコマースでの販売をやっていたりします。売っているカメラは本体価格が2万円〜4万円くらいで、月々の利用料は1,000円台から使えるようになっています。
そのため、意外と大手のお客様でも、まずはEコマースでさくっと購入し、一度使ってみたという状態でお問い合わせいただいたり、ウェビナーを受講いただくことがあるんです。
そうしているうちに、お客様側でも徐々に現場での使い方が広がっていくのですが、これがある程度広がったタイミングで「いや、それだけじゃないんです。こういう使い方もあるんです。」とご提案させて頂くことで、大きな広がりがあるセールスになったりするんですよね。
なので、最初からトップ商談で、防犯でない価値を訴えて「映像の啓蒙」からスタートするパターンもありますが、Eコマースなどでまずは最小限で使っていただいて、「こういう風に使えば、これだけのマンパワーを削減できる」というイメージをお互い持った状態で商談することができると、営業の勝ちパターンに近くなってくるということがあります。

つまり、いきなり「工事をしましょう」とか、「全店展開しましょう」といった提案をしたり見積書を送ったりはせずに、まずは一旦ライトに使っていただくことでお客様側でイメージを持ってもらい、その上で先ほど述べたような現場DXの話をすることで、多くの台数を導入いただくことに繋がりやすいという印象を持っているということです。


広告宣伝投資について

吉田:なるほど。ちなみに、最近広告宣伝投資を積極化されていますが、先ほどの最初からEコマースで購入し、使ってみてからの問い合わせが増えているというのも、この辺りの広告宣伝投資が影響していそうなんでしょうか。

佐渡島:我々は今、パートナー経由販売と直販の割合が概ね6:4となっていて、CMを1回見たから何かのKPIがどうなるか、みたいなのはあまり細かくは追っていないんですよね。それよりも、意思決定者が「セーフィー知ってるよ」という状態を作っていくことを目指しています。現在CMに限らず、売上対広告宣伝費率10%程度の範囲内で、色んな広告施策を打っています。
例えば先日は、JRの電車の中に広告を打って、その掲載期間中に展示会を行い集客をしたりしました。
なので、ネットのアプリケーションみたいに、「CMを打ったからこのLTVになった、CACはこうだった」みたいに、色んな指標を深く追うというのはあまりやっていないです。「広告投資をしたからここを上げるんだ」というよりも、まずは会社を知っていただくことを目的に業界を絞って、「この業界にはこういうマーケティングをしていきましょう」といった感じで進めているので、そんな簡単にモデル化しているわけでもないですね。

吉田:つまり、広告パフォーマンスを精緻に見ているかというよりは、認知度が上がっているか、それにより営業効率の上昇につながっているのかといった点を主にモニタリングされているということでしょうか。

佐渡島:そうですね。ただ、当然これもターゲットごとにプロモーションの施策が全て変わってくるので、全てがそうというわけではありません。
例えば、小売店のお客様で、ニーズが顕在化している防犯カメラをネットで買いたいという方もいらっしゃるので、そこはネット広告による獲得単価等の色々な指標を毎週レポートしながら精緻に見ていたりします。一方でDXというケースではもう少し大所高所から見ながら指数を見ています。
つまり、全ての広告投資に対するモニタリングをざっくりやっているわけではなく、ウェブマーケティングの特定のジャンルの場合はかなり細かく見ているということになります。


Safie Oneについて

吉田:今年の9月に発売されたSafie Oneの話について伺いたいと思います。エッジAIを搭載したSafie Oneというプロダクトを発売されていますが、AI-Appをインストールすることで立ち入り検知、通過人数カウント、立ち入りカウントの3つの機能を使えるようになっているかと思います。このエッジAIのカメラの仕組みなんですが、これまでクラウドカメラを色んな場所に設置してきたことで溜まってきた映像データを御社のクラウドの中で機械学習してアルゴリズムを組んで、エッジAIのチップに入れて、カメラの端末側で学習したアルゴリズムに則って推論できるような仕組みになっているという理解でよろしいでしょうか。

出所:セーフィー社ウェブサイト

佐渡島:おっしゃる通りで、そのような仕組みは1個の完成形だと思います。お客様が映像データを見る目的は、それぞれ違いますよね。マーケティングで見る方もいれば、施工管理で見る方もいますし、商品の棚を購買分析の目的で見る方もいます。要は、映像を見るということには色んな価値があるということなんです。なので、究極的には1つ1つの見るカメラが違う知能を持っていく、個別化できるようにプラットフォームを作るということを並行してやっていると思っていただければと思います。
今回出しているStore People Detectionについては、お店の為のディテクションの具体のアプリケーションの部分を出すことで、集まってきたデータを再学習するとうことをやっているんですよね。それをやることによって、具体的にどのようなタイミングで何を再学習すれば、どれくらい検知の性能が上がって、それによってどのようなアプリケーションがお客様側で必要なのかが分かってきます。
エッジAIといってもここ1,2年少々で出てきた話なので、お客様の現場に踏み込んだ具体的な課題をどう解決できるかというところをお客様にアプリケーションとして出しながらも、それと並行して、事業開発をしながらどのようなアプリケーションがウケるのか、またどのようなAIをアプリケーションとして出すことで大きく労働生産性を改善できるのかといったことを見ています。
この両面から見ながら、エッジAIのデバイスとプラットフォームとアプリケーションという三層構造で捉えて、各業界の解像度を上げているところです。

吉田:なるほど。ちなみに、素人質問で恐縮ですが、今後様々なアプリケーションが出てくると思うんですが、その際は、カメラを交換するわけではなく、プラットフォームからインストールできる形になるのでしょうか。

佐渡島:そうですね。スマホのアプリと一緒で、インストールすれば機能が使えるようになります。我々のカメラは、まさに少し前のスマートフォンに使われていたクアルコムさんのチップセットを使ったカメラなんですよね。
なので、エッジであるカメラの中に違うアプリを書き換えることができる、そのフレームのことを我々はAI-Appと呼んでいるのですが、そういったアプリケーションをたくさん揃えてお客様の具体のニーズに応えていけるようにしたいというのが我々のプラットフォームの全体像なので、そこに取り組むということと、お客様の課題を解決するために再学習しながら深堀りいくことも同時にやっています。


AI開発の自動化/高速化/個別化とは何か?

吉田:3Qの決算資料の下記のスライドについて。右上のところで映像プラットフォームAI開発の自動化/高速化/個別化が可能なプラットフォームを実装ということが書かれており、これを行うことで低コストな個別AIを量産と書かれていますが、改めてこれが何を意味しているのかをお伺いしても宜しいでしょうか。

出所:2022年12月期第3四半期決算説明資料

佐渡島:AIって、バズワード的にはすごく広がってきている割には、なかなか皆さんが実感できるほどには社会実装されていないというか、まだまだ多くの人がAIのサービスを使うという状態にはなっていないと思うんですよね。で、それはある意味仕方ないなと思う部分があります。

AIは画像解析や音声解析といった分野では結構発展してきていて、徐々に社会実装もされ始めてきていると思います。そしてその次に映像の領域が進化してきているんですけど、皆さんがAIを使いたいとなると、まずお店に誰かがカメラを設置して、SDカードとかから映像データを引っこ抜いてきて、そこから学習を回し、再学習し、その上でコストを合わせていく必要があります。そこから全てのお店にカメラとパソコンを入れて全国津々浦々展開していくということになります。
つまり、AIのサービスというのは、社会実装するのが非常に大変なんです。だから、1つのAIを作るのに数千万かかってしまったり、開発側がどうしてもSIerのようになってしまうという社会の「不」があるかなと思っています。

我々のカメラが世の中に広がると、そこを開発環境として提供できるので、即データやニーズを掴んだ状態で、工事をすることなくAIのアプリケーションを実装できるようになります。
こうなると、まず皆さんにとってもデバイスをわざわざ置きにいくことはなくなりますし、AIを作るプロセス自体を自動化することで、「こういう課題を解決したい」というニーズに即座に応えられるようになります。
AIは、データを新しく食べさせると新しいモデルが出来るので、プリメイドで1回作ったモデルで足りない部分がある場合は、映像やデータで学習するこで個別化し、最適化して実装するということが出来るようになったわけです。なので、従来かかっていた社会コストや時間を圧倒的に短縮することで、我々以外のAI開発業者も個別化したサービスを出せるようになってくると、お客様としてはそれを選択するだけで問題解決がより早くできるということになってきます。こういったところは世の中でありそうでなかったサービスなので、ここを我々としてはしっかり投資して狙っていきます。


Safie Oneをこのタイミングでリリースした背景

吉田:御社は基本的には最初はカメラを使っていただくために戦略的にも課金カメラ台数を増やすことを優先すると謳われていたと思います。その中でSafie Oneをこのタイミングでリリースされたのは、「そろそろティッピングポイントに来たから今が攻め込むチャンスだ!」と捉えられているのか、それとも下地を整えるためにまずは実証的にスタートしているのか、どういった背景が影響しているのでしょうか?

佐渡島:まず、我々が応対させていただいているお客様にはアーリーアダプターの方も相当数いらっしゃるので、そこで出てくる課題ニーズに応えるためにタイムリーにアプリケーションのサービスを出していこうと思うと、エッジAIの技術が絶対に必要になるということは見えています。
また、半導体を買うにあたっても、MOQ(Minimum Order Quantity)といって最低限買わなければいけない量があったり、ディストリビューションしてその上にアプリケーションを載せていくためのサプライチェーンを構築していく必要もあるので、AIカメラを社会実装していくと言っても、今日言って明日出来るというような話ではないんですよね。
なので、このタイミングこそが、価格的にも、ユーザーメリットが得られるという観点からも最適なのではということで、エッジAIのカメラを比較的廉価な形でお届けすると決めたという背景になっています。

AIによって人の見る・聞く・話す・考えるというをカメラが代替していくことはニーズは絶対あると思っているんですが、BtoBですとKPIが厳しいお客様が大半だと思いますので、ソリューションとしてお客様の働き方の改革や省人化に繋げたり、確実にこの部分は利益貢献に繋げるといったことが我々の作っていくべき価値だと思うんです。なので、そこは積極的に先行投資しながら作っていきましょうという覚悟でやっています。

カメラを広く捉えていく、マーケットシェアを大きくするということは、売上も100億円ほどの規模になって少しずつできてきていると思います。
その上で、お客様にとっての付加価値が上がっていく領域というのは、しっかりとアプリケーションを通じたソリューションとして捉えていかないといけません。そこはある程度業界を絞りながらお客様のニーズを深く理解して、まずはアーリーアダプターのお客様に踏み込んで入って行って、その上でニーズ・価値を広く展開できるようにしていきたいと思っています。
なので、まだまだソリューションとしての出来は改善余地がありますし、社会実装による収益化ももう少し先になってくるかなと考えております。


営業体制の強化について

吉田:つまり、今後はある程度業種を絞って営業の方やパートナーの方が知見を貯めていくことで良いインソリューションを提供できるようにしていくという考えを持たれているということでしょうか。

佐渡島:カメラの量、つまり台数が出ていく業界もまだまだあるので、マーケットシェアは当然維持もしくは拡大していきます。
一方で、付加価値の高いソリューションを生み出す領域は一気に台数が出るわけではないので、そこは業種を絞っていこうと考えています。
なので、防犯カメラをクラウド化するところの成長率をトラクションとしてぐいぐい示しながら、その上に大きな付加価値を乗せていくということが理想的な絵姿ではあるものの、我々もマーケットの今の状況をしっかりと捉えながら、まずは防犯カメラをクラウド化していくという足腰の部分は強化しつつ、エンタープライズやソリューション営業に幅広くチャレンジしているという状況です。
なので、まだ始まったばかりですが、そこを深堀していくことが出来れば、量を追うだけではなくてより単価を上げていく領域にいけるのではないかと考えております。

吉田:なるほど。ということは、ざっくり今の戦略を2つに分けるとすると、様々な業種に食い込んでいきながらカメラの台数を伸ばすという戦略と、AIを使ってソリューションを業界を絞り込んでアーリーアダプタのお客様を中心に提供していく戦略という大きく2つの戦略があり、今の御社の営業体制の課題を挙げられているのは、前者に関してはエンタープライズ向けのお客様に食い込んでいく営業力や営業体制であって、後者に関してはソリューションパッケージを組み立てるところや開発体制が不足しているところに課題があるという理解で宜しいのでしょうか。

佐渡島:大筋、その理解で大丈夫です。

吉田:前者のエンタープライズ向けのお客様に食い込んでいくとなったときに、具体的に営業体制の課題としてはどういったところにあるのでしょうか。例えばECサイトで購入したお客様に「もっとこうしたら使えます!」などの訴求が弱くて、なかなか全店展開に至らないなどでしょうか。

佐渡島:幾つかポイントがあると思います。
幸いにも、我々のカメラのプロダクトがあらゆる業界・業種のお客様が何かしら必要とされていますが、昨今のコロナ禍において業界の裾野が広くなっているということがまずあります。なので、全てのお客様にアップセルや深堀りを一つ一つやっていくというよりかは、まずは広くアドレスをし、その中で「どんな業界のどんな人の何を解決できるのだろう?」ということをかなり小さい事例から大きな事例までかなり力を入れて取材しています。これは我々のHPに掲載している事例取材を見ていただいても分かるかと思います。

こうして「小さなお客様はこういう使い方をしている。大手のお客様はこういう使い方をしている」ということを見ていると、万人に共通して必要とされる普遍的なポイントはあるものの、大手のお客様だからこそ必要となるポイント、例えば「管理の精度を上げなければいけない」とか「もっと品質を上げなければいけない」等があると思うんですよね。

この大手のお客様の攻略という観点では、例えば、カメラが1,000台や2,000台入っているようなお客様にとっては、その映像を見切れないとか、もしくは店舗をより省人化していくためのきっかけにしていきたいとか、売上を上げるための1つのKPIの見える化ツールにしたいとか、お客様側で既にインサイトがあって、そのインサイトに応じて深く入り込んでご提案・ご提供していかなければなりません。

そのため、大手のお客様に対しては、まずは台数を何千台と入れて頂くことを何年かかけて順次やっていく。そうして見る環境が整ってきたら、今度は見ている方々のインサイトを抽象化して、その上で具体的にアプリケーションやオペレーションといった形で落とし込んで全店舗に活用できるように持っていくというコンサルティング的な要素も多く含まれてきます。
このように、エンタープライズのお客様を攻略するにあたっては様々なスキルが必要になってくることから、ある種総合格闘技的な要素があると思います。

「量を届ける」という観点からは、工事をするであったり、カメラを適切に調達してデリバリーするとかまずそういったところが必要となる。その上で、いきなり現場の人がカメラをフル活用できるかというとやはり難しいわけです。この点、経営トップの方にDXに関する高い視座があり、現場の方がそれをフォローするという状態になっている方が、やはりトップティアの会社さんを見ていても上手くいくことが多いように思います。

つまり、トップの方だけに営業して気に入っていただいても現場がついてこないのでは売上になりませんし、逆に現場の方にたくさん台数を入れて頂いても、トップの方にDXに関する理解がないとそれ以上の価値の提供は難しいといった要素が複合的に絡んでくるので、お客様の目線にあったパイプライン営業をしっかりとすることがまず大前提となってくるのですが、ここがまず1つ課題としてあります。

そして、それをやった暁に、お客様でも見えていないインサイトを我々もデータを見せていただいたりお話しさせていただく中で発見していき、そこにソリューションとしてご提案していくとなると、実はカメラではなく見る側のダッシュボードであったり、どう社内に通知していくかといったように、オペレーションのところに深く入っていく必要があるんですよね。

なので、ソリューション提案力や企画開発力が求められてくるし、その中で新しいカメラが生まれたりするんですが、そこのリードタイムは一筋縄には短縮できないので、時間もかかるし、そこに対応する人にも多面的な才能が必要となってくるということが、難しさでもあり課題でもあるかなと思います。


佐渡島社長が考える理想的な営業体制について

吉田:御社は壮大で素晴らしいビジョンとカルチャーを持たれている中で、そこに共感して入社される方もいらっしゃると思います。一方で、強い営業組織を構築するとなると、成果主義的なマネジメントに走るほうが寧ろ楽だという側面もあったりするかと思うのですが、佐渡島さんはそういった中でどのような営業組織を作っていこうとされていますか。ちょうど新しい執行役員体制の変更もあったと思うので、この辺りについてご教示ください。

佐渡島:たしかに、機関投資家の方や外の方とお話していると、「こういう優秀な人を早く取って、インセンティブ組織に変えた方がいい」というアドバイスは沢山いただきます。ただ、我々がお客様を理解して、ソリューションを寄り添って作り込んで、更に長い時間をかけてお客様と価値形成をしていくとなると、一概に成果主義的な要素で人を採ってくることでLTVの最大化を実現できるかというと、そうではないと思うんですよね。

ウェブのアプリケーションではあり得るかもしれません。ただ、我々は現場に寄り添って使っていただくので、現場の方のオペレーションそのものを改革しなければならなかったり、そのために経営とのカスケードをうまく繋いでいく必要があったりするので、我々のミッションに対して一緒に長くやっていこうという価値観のある人に入って頂く必要があると思うんです

これはもう皆さんお察しの通りかもしれませんが、LTVの長い商売というのは、お客様とある意味永遠にお付き合いできるというのが価値になってくるわけです。なので、我々は創業来一環して、「カルチャーフィット」にフォーカスを当てて採用を行っています。

「数字だけあげればいい、成果だけ出せばいい」という方が、LTVの長いバスに乗ってきて、「俺は高速道路を使いたいんだ!」というチームが出てきたとしても、お客様がそこについてこれなければ意味がありません。
ミッションやビジョンといった行先の同じバスに乗りたいという人に乗って頂くことが非常に重要だと思っているので、我々としては、お客様に寄り添い長期的な価値を一緒に築いていける方を中心に、一緒にやっていきたいと思っています。

ちょうど新しい執行役員体制のプレスリリースを出しました。
私自身、大企業にいて自分で起業したわけですが、ある意味組織人としてポンコツな人間だからこそ起業するということはよくあると思います。
そんな中で400人を超える社員が入ってきているということは、組織人としてポンコツな我々創業メンバーが、組織を作らなければならないといけないフェーズに少なくとも入ってきている。そのため、社長や取締役などの経営メンバーの視野・視座が、「ものづくり」というところよりも、「お客様の価値・組織づくり」に変わってくるというのが大前提となってくるわけです。
その上で、経営していくという観点では、0から100億までやりたいという方と、100億から1,000億のフェーズでやりたいという方は違って当然だと思うんです。なので、会社のフェーズに応じて経営体制も変えていかなければ組織の停滞を招いてしまうので、100億円が見えてきたこのフェーズで、次は1,000億を目指していくチーム作りをしていこうという一環で思い切って経営刷新をさせていただいたという背景になっています。


競争優位性について

吉田:競争優位性についてお伺いしたいのですが、私が御社のことを見た中では、既に色んなところにカメラが導入されていることで顧客接点や映像データが蓄積されていること、パートナー網が強いこと、エンジニアリングが強いこと、そして巻き込み力があること等が御社の競争優位性なのかなと思って見ていましたが、佐渡島さん自身は御社の強みに対してどういう考え方をお持ちでしょうか。

佐渡島:まず根本的な話をすると、仲間づくりをしっかりしてきたということが1つあると思います。
ひとえにプロダクトを作ると言っても、創業した当初は映像データをこれほど集めることは困難でしたし、だからこそ大企業と一緒にマーケットを作るということをやってきたわけですが、それができたのはやっぱり一緒に作る仲間がいたからこそだし、作ったものを広げていく仲間がいたからこそです。なので、そういった仲間づくりができてきたというのは1つあると思います。

その上で、プロダクト開発のリードタイムが短いというのもポイントになってくると思います。
例えば、我々の製品の中にはSafie Pocket2やSafie Entrance2、CC-2L等全部“2”がついているんですが、“1”はどこに行ったの!?と思われる方も多いと思います。ここがまさに我々の競争優位性の原点だと言えるのですが、1号機の機種はまずプロダクトアウトをして、そこからパートナー企業と一緒に徹底して作り込むんでいきます。要するに、MVPを明確にするために1は少量のロットだけ出しておいて、「これは本当にお客様の役に立てるものなのか、価値のあるもの、お金を払うものなのか」といったことを確認しながら、パートナー企業と一度全て作り直すんですね。
決して安くていいものが全て売れるというわけではなくて、やはりパートナー企業の皆様が気持ちよくお客様に届けることが出来るインセンティブ設計を行ったり、プロダクトの性能を徹底的に改善することで、お客様に商品が売れるようになるわけです。
このように、お客様やパートナー企業と連携しながら、プロダクト開発のリードタイムをどんどん短くしていけるということに競争優位性があるということです。

加えて、我々はこの「作って売る」というプロセス自体を、サプライチェーンの構築も含めてしっかりと磨き上げていくという点でも強みがあると思います。
例えば我々は、ハードウェアに組み込むためのOSとして「ファームウェア」を裏側でメーカーさんに配っているんですが、メーカーさんが我々のファームウェアを採用していただければ、我々が努力してお客様との間で価値形成したものに自分達のハードウェアを乗っけることが出来るようになるんです。つまり、メーカーさんとしても我々と組む大きなメリットがあるわけです。
そこに我々の技術優位性も乗っかってくると、メーカーさんも我々と一緒にやっていこうとなって、元々は敵であったところを味方に変えていくことができるようになると思うんです。

つまるところ、技術的な優位性は当然強みとしてあるんですが、顧客を巻き込んでサプライチェーンを作り込むことで参入障壁を築けているというところが、一番重要なポイントになるかなと思います。


「想像を超えろ」というカルチャーについて

吉田:御社のカルチャーに「想像を超えろ」というものがあり、佐渡島さんがセーフィーエントランスを歩きながら開けているのを見て「これが想像を超えるということか!」と大変興味深く拝見しました。
そういうプロダクトを作られるときも、最初から決め打ちして作り込むというよりかは、色んなお客様と商流のところから構築して一緒に作り上げてきているというイメージなんですかね。

佐渡島:そうですね。あれは社内で使っているSafie Entrance1なんですけど、とにかく自分たちが納得できるところまで作り込もうよというカルチャーがあります。社内で皆が「これだったら自分たちが使っていても最高にいい!」と思うからこそ、パートナー企業やお客様にお勧めができるわけじゃないですか。例えば顔認証でドアが開くという体験であっても、クラウドで開くなら1秒2秒待って開いてもいいのでは?とエンジニアが言ったとしても、「いやいや、そんなんいらんやん」みたいな話を何度も何度もするんです(笑)
やっぱり、歩きながらぱっと開かないと、感動ってないじゃないですか。感動していただくことがまず大前提ですし、その上で役に立つということがないとお金を払う体験にはならないよねと。なので、まだ全部が全部できているとは言い切れませんが、我々としては想像を超えるプロダクト作りを徹底しようという心がけを持って取り組んでいると思っていただければと思います。


スマートビルディングの構想について

吉田:今後の展望についてお伺いしたいと思います。現在ビジネスユニットを3つ持たれていますが、3つ目の「ビル・不動産」という新しいユニットでスマートビルディングという構想を持たれているかと思います。実際セーフィーベンチャーさんからMUSVIさんに出資されたりしているかと思いますが、このスマートビルディングの構想についてご説明いただいてもよろしいでしょうか。

佐渡島:我々は、「映像から未来をつくる」という、家から町までデータ化していくことで皆の意思決定を変えていくというビジョンを掲げながら、これまで警備会社、通信会社、デバイスメーカーと協働し、クラウドカメラが導入されるまでの商流のポイントを押さえてきたんですが、最後にスタートアップとして入るのが難しかったのが「設備として勝手に入っているケース」だったんですよね。
例えば、ビルの中に入っていったときに、TOTOやLIXIL以外のお手洗いを見つけ出すのは難しかったりしますよね。つまり、ビルの中に入る設備は、長期間の信頼性のもとにデベロッパーさんや設計会社さん、ゼネコンさん等で意思決定されていたりするわけです。
このビルの中だけで、数十万台のカメラが今後クラウド化できそうな領域として残されているので、圧倒的なポテンシャルがある。ただ、長期間築き上げてきた実績に基づく信頼性で導入の判断をされるので、スタートアップが入り込むのがめちゃくちゃ難しい。これが、ビル・不動産の領域なんです。

当社としては既に、トップゼネコンの皆さんに「施工管理」という断面で何万台も使っていただいています。その映像を設計の方や施工管理の方などが見たりするわけですが、その中でSafieというブランドに対する信頼性がかなり上がってきています。
そうすると、次のビルのリニューアルを行うときや新規でビルを建てるというときに我々のカメラをセットすることで、「これを使うことで警備費や管理費を落とせる」といったように、お客様の課題にフォーカスした管理ができるビル作りに踏み込める可能性が出てきます。
それが出来ると、LTVが非常に長いお客様に対してアプローチすることが出来るので、そこを1つ1つ具体的な形にしていくというのを、スマートビルディングという形でやり始めているわけです。

いきなり新規の大きなビルから入るというのはあまり考えていなくて、既設のビルでもリニューアル案件というものが結構あるんですね。また、オフィスのリニューアルとかは相当な件数があるわけです。なので、オフィスのリニューアル時に顔認証のツールを導入いただくこともありますし、ビル全体をリニューアルする際に、カメラによる入退場管理のシステムを入れさせていただくケースもあったりと、色んなユースケースがあります。
この辺りは非常に足が長いビジネスではあるものの、まだまだ残された大きなTAMが存在するので、そこをしっかりとパートナーさんと一緒に開拓していくことに注力しているのが、この新しいビジネスユニットがやっていることになっています。


佐渡島社長から皆様への一言

吉田:本日は色々お聞かせいただき、本当にありがとうございました。最後に、佐渡島さんから皆様に対して一言いただくことは可能でしょうか。

佐渡島:我々は一貫して「映像から未来をつくる」というビジョンを掲げていますが、色んな映像を活用することによって、新しい働き方や意思決定を生み出すことができるというのが徐々に具体的に見えてきています。
そこに対してしっかりマーケットシェアを取りつつも、高付加価値なソリューションを提供していったり、さらには世界に挑戦していくといった形で、まだまだ大きなテーマが残っています。
今後も投資を継続的にしていくことによって、キャッシュフローをしっかりと生みながらも企業価値を大きく上げていくという夢をしっかりと持っていますので、今日明日のビジネスだけではなく、ファンになっていただきながら将来一緒にマーケットを作っていくことを株主やステークホルダーの皆様と実現していきたいと考えておりますので、是非引き続きご指導ご支援の程、皆さんにお願いしたいなと思っております。

吉田:ありがとうございます。私としても本当に面白い会社だと思いますので、セーフィーさんの開示資料レポートも是非読んでいただけたらと思います。
それでは佐渡島さん、本日は貴重なお時間をいただいてありがとうございました。

佐渡島:ありがとうございました。