ケアマネの仕事って? その3
前回(ケアマネの仕事って その2)の続きを書きたいと思います。
午前中に2件、利用者様宅を訪問したらだいたい昼前後になっているので事務所に戻って昼食を摂ります。
パソコンでニュースを見たり、同僚と雑談したり、経営者から出された課題(現状把握するためのデータ)作成をしたりしていると1時間あっという間に過ぎます。
午後からの最初の仕事は、要介護認定のための調査員の仕事です。
基本的には自分が所属している自治体の市民が調査対象者ですが、月に数件隣接している市や時にはかなり離れた市から認定調査の依頼を受けます。
私が働く市では新規申請は市役所の職員が行います。区分変更(認定期間が終わる前に介護度見直しをしてもらいたいケース)は社会福祉協議会の職員が行い、認定更新のケースは在宅のケアマネジャーか社会福祉協議会のケアマネジャーが行います。
実は介護保険の認定には結構な人件費がかかっています。認定調査員に支払う費用、主治医に支払う費用、審査会に支払う費用、データを集計するのにかかる費用などです。
自治体は正直言えば、新規、変更、更新の申請は少ないに越したことが無いのです。かなりの費用がかかりますので。各自治体は認定調査に一人当たり約1万円〜1万5千円程かけています。
国や自治体からすれば認定調査業務だけでも相当の費用がかかっているので効率化をして費用を抑えようとしていくことになります。
介護保険の認定の仕組みについて語ると長くなるので割愛します。
我々のような民間居宅介護支援事業所のケアマネは自治体から1ヶ月に何件認定調査の仕事を受けるかを事前に届け出しておきます。すると毎月自治体からその件数の依頼が来て調査の締め切りまでに訪問して、調査内容を市に提出するという流れです。
1件あたりの調査の報酬が後日事業所単位で支払われます。自治体によって違いがありますがだいたい1件あたりの調査料金は4〜5000円程度です。
私が所属する事業所では月に5件、調査の依頼を受けて5人で分担して、月に一人を担当するというかなりノルマの少ない方でした。
事業所によるのでなんとも言えませんが多いところだとケアマネ業務とは別に認定調査だけで5件とか10件以上を担当するということもあるようです。
認定調査のみを月に10件以上している方はある意味では調査のプロですね。もちろん月に一人でも対応したら報酬を頂いている以上プロなんですけど、書類を作成するスピードが数をこなしている人とそうでない人とは格段に違います。
マークシート的な項目もありますが、特記事項と言われる調査員が手書きで詳細を書く箇所があります。
その特記事項を無駄なく的確に記入することが調査員には求められます。
文章を見たらその方のイメージが出来るように記入します。どういった身体の機能障害があって、どのような生活上の支障と介護が必要かを分かりやすく書く必要があります。
どの程度介護の手間がかかるのかを見抜く力と文章力が求められます。(最低限の字の丁寧さも!)自治体によっては全てパソコン処理の所もありますが私がいた自治体は全て紙ベースでした。
個人的には初期投資はかかるでしょうがオンライン化した方が1件あたりの調査費用は安く出来るかと思います。もちろん個人情報を守るためにシステムを組むのに費用がかかるでしょうが。
調査をする際には実際に病院に訪問したり、在宅を訪ねます。
本当にいろんなケースに出くわします。
調査に拒否的な方や必要以上によく見せようとする方、訪問先で親子喧嘩が始まるなんてことも…。
まぁだいたいはスムーズに訪問出来ますので問題なければ15~30分程の滞在で済みます。たまにめちゃくちゃ話が長い方がいて強引に話を切り上げない帰れないケースもあります。
そして事務所に帰ったらなるべくメモした内容を忘れないうちに清書します。私はだいたい30~60分ぐらいかかっていましたがこれは本当に人によります。
連絡して移動を含めて一人に平均2時間ぐらいかけて約4000円のアルバイトをする感じです。
でも精神的には結構神経を使います。その方とそのご家族の介護の生活に大きく関わることになりますので。
主治医の意見書と認定調査員の調査書がセットになって認定結果は出ますが、主治医意見書より調査書の方が認定結果に与える影響力は大きいです。
認定調査の手引書が厚労省→各自治体→調査員に示されます。マニュアルに沿って調査するわけです。
勘違いされがちなのが、介護認定では病気の軽い重いはあまり重視されません。介護の手間がどれぐらいかかるかが問われます。
中度の認知症で10km歩ける方とステージⅢの癌で近所の買い物もしんどい方の場合、介護度が重く出るのは前者です。
実は癌の方の認定調査は非常に気の毒なことになることが多いです。特に進行の早い方はそうです。
認定調査は結果が出るまでに早くて1ヶ月弱、遅いと約2ヶ月かかります。進行の早い癌の方は結果が分かる期間までに介護度が一気に進むケースや場合によっては介護度が出る前にお亡くなりになるケースもあります。
ざっくりですが認定調査について、大まかなことを記載しました。介護保険を利用しようとすれば大原則としてこの認定調査受けなければなりません。
前にも書きましたが親が調査を受ける際には出来れば立ち会うことをお勧めします。ほとんどの方は軽い認定よりは重い介護認定を貰いたいと思います。
嘘をついて調査員を騙すことは絶対にしてはいけませんが、正しく調査してもらうために状況を補足できる方が助言することは適切な行為です。
介護の手間がかかったエピソードなどはそのまま調査員に伝えたら良いと思います。
最後に、親を別の自治体から呼び寄せた場合などのケースについて書いて終わりたいと思います。
その場合は親の住民票がある自治体に介護保険の申請をしないといけません。まずは自治体の介護保険の申請手続きを管轄する部署を自治体のホームページで調べて電話します。
事情で今現在、別の自治体にいることを伝えて、介護保険を新規、変更、更新したい旨を伝えます。
自治体や担当者によって対応は変わるかと思いますが具体的な方法を教えてくれるでしょう。
申請に必要な書類をダウンロード、印刷が出来るなら必要事項記載して介護保険証とともに郵送するだけで済むかもしれません。
親の所属する自治体からあなたの住む自治体もしくは調査を受けてくれる事業所に認定調査の依頼がされて、今回の記事のような感じで調査をしてくれます。
基本的には認定結果が出るまでに1ヶ月以上かかることを念頭においてください。
主治医から離れてしまっていて、主治医が意見書を書いてくれないケースなら、主治医の意見書を書いてくれる医療機関も探さないといけませんのでそれも念頭に入れておいてください。
ケアマネの中でも認定調査が好きな人もいるのかもしれませんが私はどちらかというと苦手でした。責任重い割に報酬が少ない気がしますので。
ということで、本日はここまで。
今日も長い記事にお付き合いくださってありがとうございます!
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一番最初は戸惑うかと思いますが認定調査から介護保険は始まります。必要を感じたらサクサクと手続きしてしまいましょう!
正直言って、調査員も感じの良い人、悪い人います。感じの良い人かつ、しっかり適切に特記事項を書いてくれる人に来てもらえると良いですね。