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欲本 #5 『山學ノオト』 青木真兵, 青木海青子 エイチアンドエスカンパニー|欲本日記

さきほど書店から帰ってきた。気になっていた本『ヤンキーと地元』がちくまで文庫化されたと知って、それを目当てに。その横に並んでいた同じくちくまの新刊も買ってしまった。『ルポ アフリカに進出する日本の新宗教』である。

レジに向かう前、この2冊を手に持ちながら、気になっていた本の実物を確認するために、しばらく書店をぶらついていた。

その本のなかに『山學ノオト』も含まれていて、検索機で探すも、データがなかった。それで在庫のあった別の本の棚を眺めていたら、あったのだ。『山學ノオト』が。(どうやら"やまがく"と検索したのがよくなかったらしい。正しくは"さんがく"なのだろう)

5冊目の欲本は、『山學ノオト』である。

この本は、奈良県東吉野村にて人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」を運営する夫婦の日記集である。吉野村の人口は1500人ほどらしい。

2020年に1冊目がでており、今年に5冊目が発売されている。書店で手に取りながら、「うわ、いいなぁ。ぜんぶ欲しい」と感じた。書店には2、4、5の在庫があった。全部はなかった。小規模出版だからか、1冊税込2000円ちょっとと高めで、5冊集めると1万円を超える。ぬお…

夫婦それぞれ本を何冊か出版しているようで、青木海青子さんの本だと『不完全な司書』という本も気になっていたところだった。青木真兵さんは『手づくりのアジール 「土着の知」が生まれるところ』という本を出されていて、この本も気になっている。それらの興味関心が『山學ノオト』を手に取って一気にスパークした感じである。

また、それぞれの日記集に添えられている言葉がいいのだ。

自分としては、ただ生産性のない日々を生活しているだけなのです。

『山學ノオト』より

日常を取り戻したいのだけれど、そもそも僕らの「日常」とはどんなものだったのだろう。

『山學ノオト2(二〇二〇)』より

なんだか僕は「言葉にできること」しか言葉にしていない気がしている。

『山學ノオト3(二〇二一)』より

社会との約束の下、寝て食べて動く。しかし、いつ約束したのだか判然としない。

『山學ノオト4(二〇二二)』より

山登りでは、一番ゆっくりな人にペースを合わせるものだと教わった。社会も同じだと思う。

『山學ノオト5(二〇二三)』より

そもそも、エッセイとか日記の本は、そこまで買わないほうである。ときどき買うが、予算の関係で後回しになりがちだったり、文庫化を待って買うこともある。とはいいつつ、ときどき「エッセイ読みたい」モードになって続けて買うこともある。

いまは、特にエッセイ読みたいモードというわけではない。でも、実際に本を手に取ってみて、添えられている言葉を追い、読みたくなった。運営している私設図書館について調べたりしているわけでもなく、直感的に「ちょっとこれ読みたいぞ」と心が言っている。ぜんぶ読みたいと言っている。

とはいっても、千円ほどの文庫を買うのとは違う。ぜんぶ買ったら1万円を超える。小規模出版っぽいから、絶版になったらいやだなぁと思うのもあり、一気に買ったほうがいいのか。となるとさすがに来月だろう。でも、来月いきなり1万か、いや、毎回それくらい初旬は買ってるぞ。いやまて、全部の在庫はない。通販も組み合わせないといけないぞ。取り寄せてもらうか。そんな感じで思考がぐるぐる回る。

とりあえず、ご夫婦がポッドキャストをやっていることを知ったので、これをしばらく聴こう。2014年から配信しているらしく、なかなかの量のエピソードがある。

欲本日記とは
ほしい本についての記録である。主テーマは「ほしい本」だが、関係のない話題にとぶこともある。「欲本」と書いて「ほっぽん」と読む。どうやら造語らしい。

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江里 祥和
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