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【Voicy】#今年の漢字 『進』会社の進化に、親族役員退任のすすめ(2021.12.13放送)

こんにちは、吉塚康一です。私は会社経営の傍ら近代史を研究し、「百年ニュース、毎日が100周年」という放送をお送りしています。本日はVoicy編集部が募集中の「#今年の漢字」というテーマで放送を収録してみたいと思います。タイトルは「『進』会社の進化に、親族役員退任のすすめ」です。よろしければ最後までお付き合いをお願いします。

進化の一年

さて「#今年の漢字」というトピックです。今年一年、令和3年を振り返りまして、もっとも自分自身を現しているなと思う漢字は、「進む」「進化」「進展」の「進」です。

私は普段、株式会社キュリエという会社を経営しています。サードパーティーのオフィスサプライ品、すなわちプリンターのなかに入っている消耗品を取り扱っています。会社は12月決算で、この12月で17期目が終了し、来年1月から18期目に入ります。思えば長く会社をやっているなと思います。そのなかでも取り分け今年、17期は変化の大きい年でした。変化というよりも進化という方が良いと思います。

ワンマン会社

具体的に言うと、ワンマン会社から脱皮する決断をしたことです。2005(平成17)年に三井物産を辞めて株式会社キュリエを創業し、16年にわたって、会社の取締役は親族のみでした。取締役がすべて家族という会社であったわけです。取締役が全員親族という会社は、中小企業では実際よく見られる現象です。取締役の名前がみな同じ苗字という会社です。その際は代表取締役のワンマン会社であるケースがほとんどです。当社もそうでした。

しかしその場合、取締役会が有効に機能せず、実質的にワンマン社長の意向のみで全てが決まってしまうため、重要な経営方針の決定の際、客観的な判断が出来なくなる、すなわち社長の主観的判断のみで決定が下される可能性が高くなります。

それが良いのか悪いのか議論はあるでしょう。カリスマ社長の意向が高速で反映される経営の方が強いと言う考え方もあります。会社の規模が小さいとき、猪突猛進で無理やりにでも市場を開かなくてはいけないときには、そのほうが有利かも知れません。しかし一定の規模になってくると、社長の器に応じて、限界がやって来ます。私の器の場合、限界はすでに到来していました。

親族役員は退任

会社にとって重要なのは利益であって、売上高ではありません。よって売上高を追求する意味はありません。しかし売上高は企業のオペレーションの規模を反映していることが多く、参考になります。当社の場合、昨年16期の連結売上高は約20億円でした。創業してから少しずつ売上が増えてきたわけですが、この20億円という数字で、自分のワンマン経営の器を超えたなと思ったわけです。

そして会社を進化させることを決断しました。今年2月25日に親族の役員には全員退任してもらい、新体制に移行しました。内部昇格の取締役1名に加えて、社外取締役を2名招き、取締役は4名。監査役も税理士法人から招き外部の監査役に就任頂きました。まさに「進化」の「進」であったと思います。

会社法はよく出来ている

新体制になって以降、取締役会が大幅に変わりました。毎月実質的で深い議論が展開され、そのうえで取締役の議決を取ります。会社法の362条では必ず取締役会の決議を経なければいけない事項が定められています。またそれぞれの会社が取締役会規定を設け、それ以外の決議事項も定めています。当社もそうです。

そして当たり前ですが取締役会の議決権は一人一票です。社長も一票です。社長の独断で決めることはできません。その緊張感があってこそ、経営が客観化され、良い方向に向かうわけです。

会社法で定める企業ガバナンスは、知れば知るほどよく出来ています。会社法の問題点を指摘する本や記事は多くあります。この点が時代遅れだとか、この点が実情に合わないとか、という意見です。しかし会社法は素晴らしい、という記事はあまりありません。

しかし私が今回改めて経営体制を変更したうえでの実感で言えば、長い歴史を経て、様々な問題を経験したうえで、たどり着いた現在の会社法には、会社を安定的に運営するノウハウが詰まっていると言っていいと思います。親族ばかりの取締役会というのは、せっかく用意されたそのノウハウを、自ら実質上無効化してしまうものであったと思います。

ということで、本日は「#今年の漢字」「『進』会社の進化に、親族役員退任のすすめ」というタイトルでお送りいたしました。もしご参考になったのであれば大変嬉しいです。そして是非是非フォローを宜しくお願い致します。以上「100年ニュース」「毎日が100周年」吉塚康一でした。ご機嫌よう。


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吉塚康一 Koichi Yoshizuka
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