【Voicy】長い旅に出よ!社会人になる前に #やるなら学生のうち(2021.9.27放送)
こんにちは、吉塚康一です。私は会社経営の傍ら近代史を研究し、「百年ニュース、毎日が100周年」という放送をお送りしています。本日はいつもとは違いまして、Voicy編集部が募集中の「#やるなら学生のうち」というテーマで放送を収録してみたいと思います。タイトルは「長い旅に出よ!社会人になる前に」です。よろしければ最後までお付き合いをお願いします。
さて間もなく10月1日です。新規の大卒採用の場合、10月1日に内定式を行うことが慣例化しています。昨年は新型コロナウィルスの影響で内定式がオンライン化されたり、あるいは内定式自体を辞めた企業が多かったようです。しかし私はやはり内定式は学生から社会人へ脱皮するひとつの儀式として非常に大事なのではないかと思います。しかもオンラインでは味気ないので、やはり対面で、同期と肩を並べて、同期同士で交流し、いよいよ社会に出るのだ、という気持ちを共有する、非常に素晴らしい機会だなと思います。
古い話ですが、私も大学卒業を控えた1995年10月1日、非常に興奮して三井物産の内定式を迎えたことを思い出します。同期は160名だったんですが、内定式のあと確か銀座の数寄屋橋のあたりで、結構大人数と二次会といいますか、飲みに行きました。初めて顔を合わす人が大半だったんですが、内定式のあとですでに同期という意識が芽生えていますので、お互いすんなりと打ち解けて、いろいろ遅くまで話していたのを思い出します。
そこで話していた話題は、実のところ、今日のテーマ「やるなら学生のうち」というものだったと思います。内定式が10月1日に終わり、翌年4月1日の入社まではちょうど半年あるんですね。この半年どう過ごそうかと。入社したら仕事漬けの毎日になることはわかっていましたので、また覚悟もしていましたので、さて残されたこの半年どうしようかと。入る会社が総合商社だからということもあると思いますが、やはりこの時期、人生最後のチャンスというような感じで、長期の海外旅行に行く、という話が多かったと思います。
そのような話のなかで、私も同じ思いになりまして、三カ月間バックパッカーの貧乏旅行で中東に出かけました。非常に素晴らしい旅行になりました。私は今年50歳になりましたが、実際のところ、あれが人生最後のチャンスであったなと思います。今でもありありと思い出すことが出来ます。トルコ、キプロス、シリア、ヨルダン、イスラエル、エジプトと放浪の旅をしました。先日8月23日の私のVoicyの放送で「#いつか旅に出る日 内戦が始まる前のシリアへ(1996年)」というタイトルで話をしましたが、まさにこの就職直前の海外旅行でした。
まずおよそ日本から見て異質であるアラブの世界を体験したことは私の大きな財産となりました。日本を含めて多くの国が使っている数字をアラビア数字といいますが、アラビア数字と、アラビア語の数字は全く違います。外国にいって言葉が通じなくても、数字が読めると安心感があるのですが、数字も読めないと大変不安な気持ちになります。アラビア語は日本語とは違い右から左に書くのですが、数字だけは我々と同じで左から右に書きます。最初は何が何だかわかりません。車のナンバーはいいとして、商品の値札が読めない。当時はスーパーはあまりなくて、個人商店がほとんどなのですが、いくらなのかわからない。言葉も通じない。帰って来た御釣りを見て、ああいくらだったのかとわかる。このような体験はなかなかできません。
そしてもうひとつ非常に貴重な体験をしたことがあります。アラブ世界のほかに、そのアラブに取り囲まれたイスラエルを体験したこと、それはつまり民族同士の紛争の現場を体験したことということになります。実際にエルサレムにいたときに爆弾テロがおきまして、商店が一斉にシャッターをしめて、街に緊張が走ったことを思い出します。
またイスラエル・シリア・ヨルダン・エジプトと言えば、聖書の世界です。旧約聖書に描かれた古代の世界、またイエスが歩いた新約聖書の世界、これらを実際に体験すること、これは非常に貴重でした。百聞は一見に如かずと言いますが、理解が一気に進みます。またその後の中世の十字軍など世界史に登場する重要な舞台を歩けたことも財産となりました。
現在はまだコロナ禍が完全に収束したとは言えませんが、昨年の内定者とは違い、今年の内定者の皆さんは、この秋冬で世界が徐々にコロナのトンネルから抜け出して、海外に旅に出ることが出来る可能性が高いと思っています。もちろん状況の見極めは必要となるでしょうが、ぜひ海外旅行、それも長期の旅行に出て頂けたらなと思います。やるなら学生のうちです。
卒業単位が心配な人もいるでしょう。卒論が心配な人もいるでしょう。しかし学業の方は先生に相談したり、あるいはオンラインで何とか切り抜けたり、方法を考えてください。また内定企業からの宿題・課題も出るかとおもいますが、これも工夫して乗り切ってください。
私の当時の三井物産の内定者への宿題、といいますか、課題は大きく3つありまして、ひとつが貿易関係の実務の勉強、三井物産内部で作成された教科書のような本がありましてこれで予習します。ふたつめが英文のビジネスレター、これも同様に、社内のマニュアルがありましてこれで予習。みっつめはタイピングです。1995年の当時は今ほどPCが普及していませんでしたが、入社までにブラインドタッチで入力できるようにする、という課題でした。これらの課題も旅行に行きたかったものですから、とにかく短期間でクリアしてしまおうと思い、必死になってやりました。ダラダラやらずに一気に集中してやったほうが能率が高かったかなと思います。
ぜひ学生のうちに旅に出てください。アラブのことわざがあります。Who lives sees much. Who travels sees more. 長生きするものは多くを知る。旅をしたものはそれ以上を知る。人生を支える貴重な財産になるはずです。
ということで、本日は「長い旅に出よ!社会人になる前に #やるなら学生のうち 」というタイトルでお送りいたしました。もし宜しければ是非フォローをお願い致します。以上「100年ニュース」「毎日が100周年」吉塚康一でした。ご機嫌よう。
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