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Purple In The Parkの思い出

 ちょうど20年ほど前、98kgのわがままマシュマロボディのワタクシめは年上のDJ(デブ専)に恋をしていた次第であります。
 とあるデブ専イベント(デブが好きな人が集まるクラブイベント)で友達に紹介をされ出会ったのでありますが、出会った時に彼はイギリスへの留学が決まっており、彼がイギリスに行くまでの間、彼の家に入り浸り逢瀬を重ねた次第でありました。こんなワタクシにもそんな時代があったのであります。
 彼がイギリスへ留学し、1年ほどはメール(当時はLineなんつー便利なものはなかったのだよ。下手すりゃポストペットの時代だよ。)でやりとりを続けていた次第であります。1年ぶりくらいに法事で彼が帰国したため、やっと会えたのでありますが、法事が終わればすぐにイギリスに戻らなくてはならなかったわけです。
「俺と一緒にイギリスにおいでよ。」
…と彼に言われて、若かったワタクシは後先考えずにイギリス行きの航空券をその足で購入しに行った次第であります。(リボ払いで購入した。) 
 一足先にイギリスへ戻った彼を追いかけて、いざワタクシもイギリスへ!!英語が全くできないのでありますが、香港で乗り換までしてイギリスにたどり着けた奇跡。(香港の空港の乗り換えは空港内で電車に乗らねばならなかったが、とりあえず前の人に着いていったらイギリス行きの搭乗口にだ取りつけた。)
 そんな彼とはイギリスに滞在して10日目くらいに喧嘩になり、キレまくる彼を100年の恋が冷める勢いで静観していたら、今まで男っぽくてかっこよかった彼に「アンタ!そうやって黙ってるのがカッコイイとかって思ってるんでしょ!?」とゴリゴリのオネェ丸出しで怒鳴られ(しかもバスの中)甘い夢から覚めて破局した次第であります。

 今思い出しても、イギリスまでお金もないのに頑張って行った自分が哀れではありますが、テムズ川のほとりを散歩したりしたりしたことなどは、良い思い出としても残っております。

 そんな良い思い出たちの一つが、『Purple In the park』というゲイプライドに行ったことであります。どこで開催されていたかもよくわからない(英語ができないので、彼についてっただけ。)のでありますが、公園みたいなトコに屋台とかが出てて、さながら日本の『夏祭り』のような雰囲気でありました。
 近所のおばさんや子供とかもいる中にドラァッグクイーンとかがいて、今でこそ、ドラァッグクイーンが大衆の面前に出ることへの抵抗がなくなってきているとはいえ、当時では見たことのない景色であったため、大変に感動した次第であります。

「いつか日本もこんな感じでゲイプライドができる日が来るといいなぁ。」
…と思った若き日のワタクシであります。

 特設ステージではGrace Jones(グレース・ジョーンズ)とかYoko Ono(オノ・ヨーコ)とかがパフォーマンスをして(当時はグレース・ジョーンズが何者かわからなかったけれど、彼がそれを見たくて行った次第であります。今考えると貴重な体験でありました。

 最近の日本のゲイプライドでは浜崎あゆみやCharaなど有名なアーティストが出演したりして、いい感じでそれに近づけているのではないかと思う今日この頃です。しかしながら、露出が激しい衣装なんかを身にまとっている人も多くいるので、近所のおばさんや子供たちも…というワケにはいかなさそうな感じではあります。でも、ゲイカルチャーといえば(最近はよくわからないけれど、90年代は)クラブでハウスミュージック(オネェハウス…通称オネハ)聞きながら、セクシーなGOGO BOYとドラァッグクイーンたちのステージ…というイメージもあるので、それを「けしからん」と手放しで非難するのも、なんとなくできずに悩ましい今日この頃であります。
 しかしながらゲイプライドもこの先、さらに進化を遂げて、今のゲイプライドだけではなくて、着衣系ゲイプライドとかもできてくるかもしれない!と思う今日この頃であります。
 当時の『Purple in the park』みたいに子供が参加できるゲイプライドが日本にもあったらいいなぁ…と思います。(今の件のイベントがどうなってるかは知らないが)

 自分が若い頃、ゲイだと自覚した時に周囲にはゲイが全くいなくて(もしかしたら居たのかもしれないけれど、当時は今みたいにオープンしている人はかなり少なかった。)自分だけがおかしいのカナ?と不安になったこともあった次第であります。
 そのうち新宿二丁目で仲間を見つけて、本当に当時の新宿二丁目はありのままの自分でいられる「居場所」であった次第であります。
 ゲイプライドや新宿二丁目は当時の僕には「自分だけじゃない」と思える貴重なもののひとつでありました。

 でも今はゲイの人がメディアに登場したり、SNSがあったりするから、少しは当時よりはマシなのかもしれないけれど、仲間がいるよ…っていうのを知れる機会が早い段階であるといいのではないか…と思う次第であります。
 しかしながら、今は子供たちにLGBT+などの教育をするか、しないか…などと議論になっていて、難しいところではありますが(確かに、教え方間違えたらとんでもない事になりそうだしね。)教育とかではなく、「ここにいるよ。」と発信することが大事なのではないかと思う次第であります。
 また、ストレートの人たちにはゲイというものを見慣れてもらう…というのは良いのではないか…と思う次第であります。

 今ではテレビによく出ているドラァッグクイーンでありますが、テレビなどに登場する以前の時代にストレートの女性と新宿二丁目を歩いていたら、ドラァッグクイーンの人が交差点のところにいたのでありますが、それを見た連れの女性が「何あれ~!?キモチワル~イ!」と大きな声で言ったことがありました。
 その時に自分としてはすごくショックではあったけれど、そこで彼女を叱りつけても良いことは起きないだろう(叱られた…ということでゲイが嫌いになっちゃっても嫌だしね。)と思い「もぉ~!大きい声で言わないのぉ!」くらいに窘めた次第でありますが、もう15年くらい前の出来事なのに鮮明に覚えているくらいショックでありました。
 しかしながら、今では件のドラァッグクイーンの方は超有名タレントとして名をはせているため、もはや「気持ち悪い」などと言われることはないかと思う今日この頃です。
 このことからも世間様に「やんわりと徐々に見慣れてもらう」というのは、いい方法なのではないか…と思う今日この頃であります。

 いつの日か、老若男女問わずに参加できる夏祭りみたいなゲイプライドができるといいなと思っております。

 

 

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