Guru return
双子の姉の女の子と植物園に行った
やるせない娘で優しく美しかったが
誰もそれに気づいてはいない
気づくものか、わかるものか、
わかってたまるか
だが、お前だけはわかってあげなさい
お前が悲しみにある時、彼女は喜びにある
春の夜の人のいない伽藍の底に
シンメトリーに双子の少女がいて
遊びとはいえない殺しあいのような
キャッチボールをしている
ぶつけあっては血の色の
泣き笑いの双子の野球だ
その姉の、ギリギリの思いを、怒りを、
やるせなさを、お前がなぜ人に伝えないというのだ、このバカ野郎!俗世間にのまれたか!伝えろ!伝えろ!伝えろ!伝えろ!伝えろ!
お前が、人に本当に伝えたいことだけを
お前は今から、彼女の綺麗な魂のみを
伝えたらいいじゃあないか
大丈夫だ、君なら、できるよ
伝道師よ!世界は、遊びとはいえない
殺しあいのようなキャッチボールなんだ
大槻ケンヂ「対自核」収録 Guru returnより
二年ぶりに戸田真琴という人について書こうと思う。正確には彼女の映画について…
二年前、とある友人から吉行さんなりの大森靖子の楽曲「M」の感想を読んでみたいと言われて書いた文章を貼り付けておく。
あまりにも思い入れが深い曲故に、自分の陳腐な言葉に落とし込みたくなくて半ば強引に手紙という体裁で戸田真琴と大森靖子という人達に自分が与えて貰ったエピソードを羅列しただけだが、有難い事に10月10日に大森靖子の公式なMVとして「M」が発表され、10月14日より「M」を含む戸田真琴の監督作品「永遠が通り過ぎていく」が再上映されている事で2年前に書いたオタクの駄文に反応してくれる人達も出てきたが
「M」のMVを観て少しでも何かを感じてくれたから、検索からこんな最果ての駄文に辿り着いたのであろう人達へ…正直まずは映画を観に行って欲しい。様々な理由により2年間上映されずにいたが、やっと観れる機会なのだから。自分も初日、二日目と池袋に足を運んだが、どうしても仕事の都合がつかなくて再編集された本編に間に合わずアフタートークだけ観て帰る日が続いていて週末にやっと観る事ができる予定だ。
この二日間アフタートークを聞きながら思った事だが「全ての芸術は誰かに望まれて生まれてきている」生まれた芸術に理解を示する人が僅かだったとしても、少なくとも作者の産み出したい(産み出さなくてはいられない)と望んだ気持ちがなければ形を成して世に出る事すらなかったのだから…。
泣く泣く途中入場してエンドロールでクラウドファンディングに参加した人達の名前を見ながら自己顕示欲ではないけど、そこに自分の名前を載せられなかった事を後悔せずにはいられない…自分も微力ながらクラウドファンディングには参加してるし、映画が生まれる前から誕生を望んでいた一人だが、金銭的な理由もあれど当時これだけの作品を産み出せる彼女の力量を信じきれなかった事に後悔してしまう(同じ後悔をZOC初の武道館公演にウルトラVIPとして立ち会えなかった事にも感じてるが)大森靖子も戸田真琴も本質的に「愛を与える人」なので逆に力になれる機会なんて少ないし、自分は音楽や映像や文章で誰かの心を動かす何かを表現できる人間ではないけれど、ただ日本人として生まれて辛うじて日本語で誰にも望まれていない駄文だけは産み出せるのでこうやって伝えていこうと思う。
そしてもし、この最果ての文章に迷い混んだ人…できれば「M」だけでなく「マリアとアリア」「Blue Through」を含む戸田真琴監督の一本の映画として観て欲しい、そんな願いを込めてこの文章を書きました。
※2022年4月1日より吉祥寺アップリンクを皮切りに全国の映画館でロードショーされる事が発表されました。本当におめでとう